くるみ割り人形
                               1979年 中村武雄作

くるみ割り人形

日本のディズニーを作りたいというサンリオ社長辻信太郎の野心がまたユニークなエンターテイメントを完成させた。 サンリオってどうしても日本的な風土から突破できなかったっていうんだよな。 ワールドワイドな展開と思いつつサンリオのキャラって超日本的だしな、目ぇ小さくて海外にはウケんらしいし キャラクターを使ったアニメでもなんでも地味で暗くてディズニーらしいスカッと爽やかなもんないし だからサンリオピューロランドもディズニーっぽいけどキャラクターが全体じめっとしてるんで、ビッグヒットにはならんわな。 最近じゃサンリオもクロミだのポムポムプリンだのシナモロールだの日本的キャラの極みみたいな連中出てきたけど 当時はせいぜいがキティとかマイメロ、ボタンノーズとかだし、でこいつら何考えてるかわかんないし それがそのまま不気味さとか怖さにつながって、ディズニーキャラみたいに朗らかな印象がね。   日本=暗いということでなく、日本的に突き抜けないと。今では突き抜けたんだろうけど。 70年代当時サンリオは躍進の年で、キティが誕生し海外での事業展開をはじめ、アニメ・実写映画製作も手掛けて 日本ではキタキツネ物語が大ヒットを記録するなどサンリオの名が徐々に知られ始める。 そんな中で79年、本作が誕生した。辻は言う。ストップモーションアニメは徐々になくなっていく。 そこで日本が丹精を込めて作れば世界に堂々と公開できる。   

お祭り映画

本作のユニークな点でもあり弱点でもあるのは、ある種、日本的なお祭り騒ぎな作品にしたため それこそ当時の角川映画のようにあらゆる要素をごちゃまぜにし、散漫なできになったこと。 大作だから気負ったのか、海外でも日本的なムードは受けると思ったのか。 中でも本編90分のうち10分近くを消費した会議シーンね。    世界の知識人たちがどうすれば姫を眠りから覚ませるのかを討論しあうんだけど その連中が個性的なのはもちろんのこと、なぜならば彼らの声をやっているのが 当時の人気タレントばかりだから。なのでその人たちのことを知っていれば、または興味があれば めちゃくちゃに面白いシーンなんだけど、そんなこと知らない外人からすれば なんでこんな不必要なシーンをずーっと延々と流すのかという不評につながるのは当然。    個人的には本作のピークだと思うけどね。ある種の。バカ面白い。  やっぱ当時のタレントはテレビ絶頂ということもあり時代もあり、厚みがあるよな。個性的で。 急に歌いだしたりとか11pmとかの内輪、テレビネタ入ってて、わかれば最高におもろい。   あとは実験的シーンとか芸術シーンとか頑張ってるけどね。パレードシーンは見どころだけど 実写のバレエシーンはちょっと長いかな。人間の証明のファッションショーシーンのようでね。   実験と言えば音響がよくなかった。色々試したりしたんだろうが、声の加工がな。 つまり加工しすぎるあまり何を言っているのかわからないシーンがいくつか出てくる。 女王の声はオール加工だから、非常に聞き取りずらい。   最悪なのはそいつが死ぬ際の 呪詛のような言葉、それを受けてくるみ割り人形が大人から人形に変わってしまうという 作中最も重要な場面が、音声加工のせいで何言ってるのかわからず、何故急にくるみ割り人形になったのか まるで理解できないという・・・。   醜いくるみ割り人形・・・はナントカわかるけどほかの言葉がまったく。 会議シーンも音楽と言葉のミックスがあまりうまくいってないところあったし ねずみとのバトルシーンもね。 岸部シロー演じるネズミが猫に追いかけられる短いシーンがあるんだけど シーンとのつながりがちょっと不親切でね。しかし岸部シローあれだけの出番でよく出たなって。   あれもまた角川映画的な部分だな。 日本的な風土から突破できなかったというのは、やはり内輪ネタに走りすぎたというか

人形アニメとしての代表作

アニメーター真賀里文子の代表作で、こういう大作で自分のアニメーションをやれたってのは運がいいですよ。代表作ですよ。 日本的と言えば、動きにキレがあるね、つまり海外のフルアニメーション的な動きでなく 割と見得を切るというか。ねずみとのバトルシーンは頑張っているんだけど、音楽と併せたカットのせいか 上手く伝わってない、または理解が追い付かない場面があったりしたんだけど、粗削りなパッションがあるわな。   =  少なくともジョージパルの海賊船の頃のバトルより鮮麗されて、立派ですよ。 しかし大作だからかチャンスを無駄にしないようになのか、それともやはり日本的なごちゃまぜ具合なのか ともかくワンカットワンカット色んな物を入れ込んでアニメーションしているからそれは超人的な手間と情熱が見えるね。 ネズミとのバトルシーンは粗削りだろうが敵味方入り混じる戦争を人形アニメでやる凄さを画面濃度で魅せてくれるし   会議シーンの暴れっぷりもね。あの豚がかわいいな。       ああいうのいいよな。人形アニメは動物がかわいいわ。ああいうゆるいのが。 遊びなんかな。あいつもっと出してほしかったけどな。ネズミとのバトルシーンとかにも。 パレードシーンは音楽と合わさってこれが日本人による人形アニメーションだっていう気概を感じるね。 キティも特別出演で。お菓子とか妖精とか、これがファンシーでファンタジーで女の子の夢だってさ、 力強く、迷いなく、徹底的にやってくれてるから、日本人がクラシックを使って芸術をやるってところで気恥ずかしさがないんだ。      
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