プロジェクトA子
              1986年 西島克彦 作  

プロジェクトA子



80年代後半のバブリーで軽薄でセーラー服と機関銃というクラーイ男の子たちの趣味を 1つにまとめきった、時代の産物である。これ一本で80年代のアニメシーンがどんなものだか分かりますよ。 全ては「うる星やつら」からで、学生たち(美少女)が武器持ってギャグチックに反体制に戦いを挑むみたいなのがウケて ミンキーモモという子供向けアニメでもそーゆーノリ(ミリタリー)がウケて、未成年の少年少女が戦うロボットアニメもたくさんウケて なんにせよ中学生高校生(たまに小学生)が破天荒に暴れ狂うというのがウケたとんでもない時代だった。 ある意味で子どもたちの理想、そして学生時代から離れられない大人たちの青春だったり、ロリコン趣味だったり、 ま、色々ですよ。そういうのが「プロジェクトA子」という怪作を作らせたんですな。   初めてアニメ映画が映画業界を震撼させたのが「宇宙戦艦ヤマト」。クオリティとしては「カリオストロの城」。 そして上に書いたようなTVアニメが出てきて、「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」でジブリ台頭。 軽薄なノリから、クラーイノリ、まじめなノリ、ロリコンのノリ、いろーんなアニメが登場。 しかしそれらもジブリも共通するのは、未成年が武器をもって戦うという一点。ここは共通した理念があった。   本作公開に駿が「女子高生が銃持って戦うようなアニメはダメですよ」と批判。 アニメオタク嫌いの男・駿の今日まで続くオタク嫌いの言動はここから始まっている。 気持はわかるが、アニメ映画はこういうのしか認めないというのは、芸術弾圧、ヒトラーを思わせる愚行。 (ちなみにオタク野郎Aチームからケンカ売られてのアンサーらしい) おそらく自分の地位を自覚しての言葉だったに違いないが、だからこそ注意して話をするべきだった。 そもそもは「プロジェクトA子」のような作品こそが、映画としてはスタンダードなのだ。 軽薄でオゲレツでバカやって、何にも残らないという、THE・大衆向けの映画だった。 もち、駿の気持もわかる。「やぶにらみの暴君」「太陽の王子ホルス」。こういう世代だし、 どの作品も入場料金以上の満足感と感動がありますからね。観客にとって非常に優しい人ですよ、真摯だし。 でもね、やっぱこういうバカ(A子)がないと、楽しくねーよな。   まず言っておくが、本作は時代のムードとその軽薄さとを、何にも考えずに観るという、ただそれだけの作品なのだ。 なので名作ではない、個人的に。 なぜか、C子にある。 もしC子が最初の設定どおり、これだったらば   間違いなく本作は大ヒット、名作で、続編は4本はくだらないだろう。 スーパー美少女登場というところで、ただそれだけの作品・・・に終わらない魅力が出たはず。 なのにこれはな・・・なんやねん。愛嬌なのか?なんとも言えないですよ。声はいいんだけどね。   とゆーワケで、ダーティーペアのケイコをもちっと美少女にした英子と お嬢様タカビ―キャラの鏡・B子の、ま、美少女なんだけど、両方一応古いイメージの美少女の戦いであって C子もなんとも言えないんで、すごい歪な・・・美少女?アニメーションなんだね。ギャルアニメだね。     やっぱりね、本作って海外でウケたことを考えるとですね、 あくまで80年代のノリのエキスだけが抽出されてたからなんじゃないでしょうか。 だから美少女すぎないという、80年代美少女のエキスだから。 そのソフトながら80年代のキャラと、映画全編の80年代が心地よかったんじゃないでしょうかね。   向こうのアニメの楽しみ方って、もちろん日本のようにキャラ愛を示す人もいるけど、 基本的に全編のクオリティ、どれだけ派手かってことなんじゃないすか? そういうところで日本ではちょっと惜しいな・・・みたいな。それがカルトというか歪というか。   A子もB子もガチっとしてて魅力的ですね。B子が一番魅力的なんですけど・・・本当に C子が初期設定だったら、満足度120%!わかるね?   でもこういうカラっとした雰囲気の作品って本当珍しいんで、好きですからね、雰囲気が。だから 満足お腹いっぱいという所なんじゃないですか。やっぱ好きでしょう。相当爽やかですよ。ヘタすりゃラピュタより?


  (個性的に見えて没個性という個性)     (子供の頃 整形したワケではない)   (幼稚園の頃)   (アーパー)   (やっぱB子っすね) (対比)

声優はみんないいですね。 バイプレイヤーと言われる伊藤サンの唯一の一枚看板だと思いますよ、立派な作品ではね。 篠原さんは本作でデビュー。本作って最高のイントロデュースですよね。大人しくてぶっ飛んでてという 2面性ができます、という実力がね。そのあとはけっこう仮面とか色々やってたんだけど セーラームーンでまこちゃん役をゲットしてようやく落ち着いたという感じ。大人の色気が良い。   富沢さんはどこ見てもムードメーカー。どこ行っても面倒見の良さとボケっぷりで好かれる人です。 確かにこういうきゃぴきゃぴの役ってのは珍しいかもしれないですね。やっぱり セーラーマーズとか、すみれさんとかの強気なイメージが大きいですからね。 なんにせよ本作の主役3人を演じた声優は完全に成功と言えるでしょう。   あとB子一派がすごいです。郷里、小粥、鷹森、林原。 あさが一番かわいくて、いねが卑怯な面で、うめが愛嬌あって 真理が可愛いです。スタッフからも大人気。北斗神拳。   郷里と池本百合子のダブルキャスト。伝染るんですに出てきましたね。バレンタインデー。 あとは実は女だったキャプテンを演じた池田秀一。池田秀一はシャアしか出来ないとかいう クソみたいな風潮には本作が良い薬になるでしょう!   Zガンダムでアイドルだった池田がマシンガントークします。ひ弱に叫びまくります。おもしろい。 「理由なき反抗」「ジャイアンツ」「プラトーン」「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」とか 2枚目をやってる中で本作ですからね。相当ギャラが良かったか、楽しそうだと思ってくれたんでしょう。 この頃には既に声優業一本という覚悟が出来ていたんでしょう。


パート2 雑誌フェアリーダスト イラスト   セル画  

あと駿に言いたいんだけど、例えば本作のサービスシーンとかね いわばエロティックな場面色々あるわけですけども、ジブリの、例えば魔女の宅急便の下着姿のシーンとかね トトロの風呂シーンとかね、ヘンじゃないすよ、ヘンじゃないし、フツーなんだけど もしある側面から比べるとすればね、本作のが爽やかですよ。ホントに。本作はガッツリサービスシーンだから 本来そっちの方が「楽しい」んだろうけど、ジブリのが究極に「楽しい」っては、どうしたことですかね。   ある意味本作のはからっとしてるんですよ。それは強みですよ。 いくら軽薄と言われようとカラッとしてるから、何にも引きずらない。 でもクソマジメな方はね、何か残りますよね。良い意味でも悪い意味でもね。 まあ、こんな見方するのはオトナの悪い癖なんだよな。 子供の頃なんてのは何にも疑問なかったもの。やっぱり駿作品は基本的に子供目線ですね。はい。   それプラス女子高の幻想をぶち壊す、なんか匂いが伝わってくる作り。悪臭が伝わってくる。 女に幻想なしのカラっとした作品である。カラっとしてます。それがいい。 まあでも、ある程度アニメ観てる人向けの作品だったんでしょうね。結局。コケたらしいし。


声優インタビュー 監督インタビュー  

86年6月21日。アニメーション史上に残る歴史的な日になる。構想5年、製作年数2年、製作費5億円の超娯楽対策プロジェクトA子。 テーマ性を追求し、作家の個性を全面的に押し出すことにのみ創られている作品群の多い中で、あえてテーマを持たず アクション、ストーリー性のみ力を入れ、本来アニメーションの持つ特性を最大に生かし、SF・パロディ・アクション・ファンタジー 全ての要素を含んだ作品となっている。作画的にも音楽的にもすべてにおいて、エネルギーに溢れた一大プロジェクトとして、高い完成度を見せている。 (パンフより)


  

製作 吉田尚剛 プロジェクトA子は若い優秀なスタッフたちによって創られました。 いつの時代でも若者は歴史を大きく変えることの出来るエネルギーとパワーを秘めています。 新しいセンスと歓声によって作り出されたプロジェクトA子は時代の新たなアニメ・ニュー・ウェーブとなることを自部しています。 これからも創映新社は意欲的に新しいアニメ映像分野に挑戦していきたいと思っています。皆様のご声援を期待しています。




プロデューサー 野村和史 今回、「プロジェクトA子」の製作スタッフは監督の西島君、作画監督の森山君、メカ作監の増尾君等、みんな若いジェネレーションの活気溢れる作品となりました。 人物及びメカの素晴らしいアクション、それにぴったりとフィットする音楽、今回の音楽はリッチー・ジトー、ジョーイ・カーボーンの二人の共作で、 ロスアンジェルスにて録音をしました。我々の意向を十分に聞き入れてくれて、音質、音色等全て最高の出来と言えます。 アニメーション映画というジャンルを超えて十分楽しめる作品となっています。




音響監督 本田保則   青春ニキビ映画「プロジェクトA子」 プロジェクトA子ご覧いただき本当にありがとうございました。 いかがでしたか?正直のところ、ただエンターティメントのみを追求したA級映画となりえたかどうか心配です。 でも、この映画がとてもまじめに娯楽と取り組んでいたことは紛れもない事実です。 音楽は存分に立ち振る舞ってくれました。 プロジェクトA子は今、たくましく独り立ちしていますが、皆さんの眼で確かめてやってください。 きっとどこかにはにかんだ表情を見せている筈です。 恥じらいもはにかみも、この映画は正直に描き出しています。青春ニキビ映画なのでしょうか?


  アニメック 1986年 7月号 アニメック編集

「4月号のプロジェクトA子のページには読者の賛否両論が寄せられた。 アンケート結果もベスト7ワースト7という堂々たる成績であった。 プロジェクトA子が今後どんな評価を受けるのかは想像できない。 ただどんな結果になっても「いやあ映画の宣伝だからいいことしか書けないんですよ」と逃げる気はさらさらない。 たまにはこんな映画があったっていいじゃないですか。理屈ばかりの退屈な映画はあまり好きじゃないんです。 見た人だけが楽しめればよい作品なんですからアニメックは、「乞うご期待!」とだけいっておきましょう。 いや、やっぱりA子の世界なら Coming Up Soon!!ですね。」


・・・ ファンロード   月刊OUT 1986年12月号 南田操のアニメDJ 『激突 ラピュタ VS A子!!』

86年夏のアニメは熱かった!名作「ラピュタ」が旧世代を代表するならば 快作「A子」は新しい世代を担うパワーだ。アニメは相乗効果で盛り上がるもの。 この熱気こそ次に続いてほしいと願う。


ラピュタ VS A子 

「例えるなら『ラピュタ』は手間暇かけてじっくり煮込んだビーフシチュー。 『A子』はよく冷えたコーラ、というところ。どちらも必要で心地よいものだ。この二本は好対照だと思う。」 「『A子』は、サービス精神旺盛な独りよがりな作品。『ラピュタ』はグーニーズ。」 「結局、何も考えないでひたすら画面を見て楽しむという点では、『A子』も『ラピュタ』も同質だと言えるでしょう。」


A子っこ

「絶対に『A子』がいい。あのパワーは未来へ突き抜ける力だ! 『A子』はアニメでしかできない。 『これからはセーラー服で機関銃を撃って…といった作品を作っていてはダメ』と言っていた宮崎氏への挑戦とも思える『A子』を、 私は現代的センスにおいて「ラピュタ」を完全に超えた作品だと思います とことんミーハーなキャラ。金田調とも違うハイスピードアクション、個人的センス、確かなデッサン力、アニメ界の明日を担う力がここにはあります。 多くなビデオアニメに感じる『閉じた』印象を受けないのです。 むしろ内側に向かって凝集した作り手たちの集合意思がばーっと外へ向かって爆発した・・・といった『開けた』印象があります。」 「『A子』は初めてのB級パロディアニメではないだろうか。今まで真にパロディB級と呼べるアニメはなかった。だから評価したい、このA子を。」 「充分な作画水準、知らない人にはそれなりに、知ってる人にはより以上に楽しめる作品でした。 『ラピュタ』とは別の意味で王道をこなしきった作品だったと思います。」


「アニメ雑誌での投稿イラスト」 ・・・ OUTビデオチェック

「映画として公開されたが本来の性格はビデオ作品そのもの。例のセーラー服+機関銃パターンの極めつけで、作品以前の欠点が目に付くのは事実。 しかし、邪道も極めれば王道になるかもしれないという妄想を抱かせてくれるだけのパワーは、確かにあるのではないか。」


掲載号の表紙および特集記事は本作の劣化版「活劇少女探偵団」。 違いは一目瞭然。プロジェクトA子はしっかりとした「映画」であった。

         

読者からの「こんなもん紹介してどうするの」という風潮と、宮崎駿の発言に抵抗してか 各アニメ雑誌は本作をこぞって特集、取り上げた。身内感覚と批判することも出来ようが、 ここには確かに愛情があった。マイアニメはここから一年持たず潰れた。 プロジェクトA子は反権力アニメでもあって、古き良き時代を記憶するメモリアル・ムービーだった。


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