ナウシカは最後に鑑賞した作品。テレビでもちょっと目にしたことはあったけど 怖かったし、小難しそうだったので最後まで観なかった。でもオウムという名前を知って 5歳のころ必死になって動物図鑑を開いていたのを覚えていた。でも当然オウムはオウムだった。 高校のころDVD買って初めて観た。はっきり言って本作だけ宮崎駿作品の中では異色である。 本作だけはアニメファンも視野に製作されているから。つまり、それ以降の 国民遺産的な感じではなくて、もっとラフなイメージ。オタクっぽい?ともかく軟派だろうか。 冒頭のテロップでそれを感じた。いかにもアニメファン向けな感じ。新鮮ですね。 で、内容ですけど、やっぱり天才ですよね。宮崎駿。演出はうまいし、偏らないし、気持ちいいしね。 黒澤明と並ぶ人でしょうね。どう考えても。邦画が終わった80年代から宮崎駿が台頭してきたんですけど 彼の力をもってしても、そこから20年もたなかったんですね。千と千尋で燃え尽きた。 千と千尋は黒澤の7人の侍と同様、超えた作品ですね。超えるっていうのは、映画の十分な完成度っていうのを 一つ飛び越えたってことなんですね。それは何かしら意図しない結晶だと思うんですけど 高畑はやっぱり火垂るの墓でしょうね。やはり超えた作品を持っている人間こそ巨匠なんじゃないでしょうかね。 ナウシカの特攻が問題とされてますけど、あれは他にやりようがなかったというだけでね。 美学でもなんでもないんですよね。頭を熱くさせることはないんです、あの描写に。ただ彼女の献身?真心だと思います。 駿はナウシカを「人間と自然の両方を愛するヒト」と考えているんですね。いいですね。 ナウシカの立派なキャラクターは気位の高さにあると思います。 怒鳴りつけるシーンは、アニメだから可能にするキワキワ美しさがありますね。 ラピュタはテレビでやっているのをちょいちょい観る程度ですね。冒険活劇の到達点でしょうか。 含むところはありません。ただ主題歌と共に、爽やかですね。それはナウシカもそう。あれはイメージソングでしたけど。 ナウシカの予告Aで宮崎駿のテロップが出るところはいいですね。すべての始まりって感じで、格好いい。 最後のナウシカの愁いを帯びた表情もよかった。


火垂るの墓

トトロ。火垂るの墓と同時上映、すごい効果が出たと思うんです。どっちも昔の話ですけど でも火垂るの墓の涅槃があるから、トトロの朗らかさがより引き立つ・・・トトロはアニメだから美しいって感じがしますけどね。 トトロはアニメだから、でしょう。あの映画に現実の匂いはないです。ただ牧歌的な・・・その空想の美しさ。 もちろん街並みとか、当時を生きていないのにわかるんですけどね、でもあれはアニメだから美しいんだな。 素晴らしい作品だと思いますね。これが駿の「生きる」だと思います。メイちゃんとおばあちゃん。あの二人の 現実的な存在感と、さつきのリアルかつアニメっぽいイメージ、そして・・・曲もいいしな、開放感もあるし 安心するし、トトロもいいな。最初のメイとトトロの追いかけっこっていうのは、あれは駿の観察眼の天才なんでしょう。 子供ってああいうのありますしね。いやあ・・・トトロって、雨とか夕方の侘しさ、お母さんの病気、なんか・・・ ほんとう言葉にできないから創作があってアニメ、音楽、いろいろあるんでしょう。ともかく、ああいうの観ると 現実の凍てつくような殺伐には耐えられませんな。駿映画では最高に暖かい作品。




魔女の宅急便。駿ではナンバー1でしょう。説教臭さもなく、過去のノスタルジーもなく、 架空の、それこそ我々の夢見るファンタスティックが舞台なんですね。誰も死なないし、病気にならないし 恋や美しい背景、夢、魔女、オシャレ、ユーミン、すべてがあります。冒頭の爽やかさは桃源郷でしょう。 夜でタイトルがいい、風邪が治って爽やかで、トンボと会う一連がいい、怒って帰るのもいい。 俺はとっても好きです。愛してます。それはああいう世界観がね。俺だったらあの街で何してたかなあ。




ぽんぽこはかなりしっかりとした構成の映画です。娯楽もあり社会性もあり、それが十分にエンタメしている。 高畑と言えばコレと火垂るの墓です。彼らしくリアルタッチ。それがぽっぷなキャラで上手く中和されている。 ・・・中和・・・されてるか?たぬきたちの長老や攻撃隊、他多数は殺されたり、自殺したりして、かなり殺伐としている。 その過酷な状況を軽いナレーションでも中和。ラストの死出の旅は衝撃的。 声優陣は全員出色。力作です。ほんとうにずっしりとした社会派アニメ。




耳をすませば。近藤喜文監督。これは楽しくもあり、つらくもあります。楽しい部分。それは 中学生たちの青春、愛らしさ。彼らの表情や行動、学校生活。文句ありません。非常に爽やかです。 辛い部分。それはおもひでぽろぽろぶりの現代劇だということ。トトロや魔女の宅急便では現実逃避できたのが 本作ではきれいに現実の厳しさを描いたものとなっています。 もちろん、それと合わせて中学生の明るいエネルギーも放出されていますが・・・。 なんにせよ、ただのノスタルジックはありません、現在過去未来と向き合うべき映画となっております。




もののけ姫。駿作品では最も大人びた、重厚な作品。スケールも。この映画の上手いのは森の描写。 それは水のうまさでもあり深さ、暗さはそうなんだけど、特に雨降りの場面。すごいよなあ。 なかでもシシ神の張りつめた神秘性。ディダラボッチのシーンなんかも、遠目から見た異質、という表現がうまいんだなあ。 ラストの開放感、爽やかさも特筆でしょうね。ともかく神秘的です。そして・・・生きろ、なんだな。 ナウシカの続編は必要ないでしょう。本作で描かれている。自然により滅ぼされても、それでも根を張って生きていこう。 人間と自然とは、争い戦っていく運命にあるのである。そこから逃れることはできない。 駿のメッセージというのは、ここで完結している。これで駿の環境問題どうこうは、終わった。




千と千尋。ただ夢の世界へのいざない。俺はお祭り映画が好きだ。最初謎めき、徐々に人が増え、中盤楽しく サスペンスめいて、終盤寂しく、どこか懐かしさを残してエンド。本作はまさしくそれだった。 本作の超えている部分、全編出色だが、やはり最後、千尋とハクが帰るシーンにある。 二人だけ、寂しさ、物語の終わり。そして別れ。この一瞬のエモーション。 冒頭、本作の「大いなる」への誘い主だった像もなく、得も言われぬ感覚を残し、終わっていく。 それが空想だろうが現実だろうが、夢終わりの寂しさと思い出は消えることがない。 本作でジブリは終わった。後は耄碌爺の戯言に過ぎない。


 
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