作品としてはもちろん別物ですがやはりシリーズからの影響は免れませんね、 今回、パート4はぼく自身のうる星やつらが出来たと思っています。影響と言えば押井さんからはいろいろ勉強させていただきましたね。
 僕が長い間思っていたことを、今回の作品で描いたつもりでいます。劇場で見て、よく分からない難解な作品だ、と思われる方もいるかもしれませんね。 でも、僕としては説明づくのうる星はやりたくなかったという思いがあるわけです。
うる星にたいしての僕なりの思いがあるんですね。今までの作品は、ぼくの思っているうる星と違う、ということを去年あたりからはっきり感じ始めました。
 具体的には、ぼくはうる星のスラップスティックの部分には、あまり興味をひかれなかったんですね。 逆に、人間関係の微妙なところが、ぼくにとっては面白いわけなんです。
 シリーズは長期間の蓄積があるので、そこから自然に人間関係やキャラクター像が浮かび上がってきますね。 そこに僕の表現したい思いをぶつけてみたんです。それで、今までもやもやしていた部分が、今回の作品を作ることによって、ぼく自身の変化をはっきり意識した、というわけです。 だから、このパート4はだいぶ思い入れの強い作品だと思いますよ、ぼくは思い入れで綴れる作品と云うのは好きですね。
 その思い入れは、僕の場合、ノスタルジックなものが多いんです、もちろん、ノスタルジーに浸ってしまっては何もならないですけど、 そのノスタルジーの痛みを伴ったドラマを描きたいと思いますね。
 土地に意識があるという話は昔から好きだったなんです。土地には昔から民話や言い伝えなどが数多く残っていますね。 それはみな、歴史の裏側にいる無名の人々が残したものだと思うんです。僕はそういう、無名の人たちが好きなんですよ。 その人々のいろんな思いが、残留思念みたいな形で土地に吸収されてるんじゃないかと思うんですね。それが積み重なって、思考力を持ち始めても不思議ではないんじゃないかと。
 画面では、友引町が徐々に思考力に目覚めていくところは、かなり力を入れました。 俯瞰で観た友引町が巨大なコンピューターに見えるとか、色々シンボライズしています。
 ラストの方で、友引町が思考するところがあるんですが、好きなシーンだけにもっと突っ込んだ形で描きたい題材ですね。 友引町から見れば、宇宙人のラムは異質な存在なんですね。それで超能力やみんなの記憶からラムを消そうとするわけです。 そして、ラムと友引町の思考が対峙することになっていきますね。
 ラムが だんだん普通の女の子になっていくところは意味を持たせてあるんですよ。 小鳥と話すシーンのラムは、閉じたうる星世界の象徴として描かれています。 小鳥と話せなくなって、街の騒音に気づくラムは、止まっていた少女の時間からとうる星世界からの解放なんですね。
 僕はラムがうる星の因果律だと思うんですお、その因果律がなくなってしまった時、 ラムを再確認することで、彼女の存在は初めてリアリティを持つんじゃないかということですね。だから、ラム自身をみんなが認めるために必要なことだったんです。
(あたるのラムへの想いがはっきりしてくる?)そういう形では描かれていませんが、暗示的に入れてありますね。 例えば、変化した友引町で面堂家と水乃小路家の戦争の中で、あたるが闘わずにひたすら走るシーンがそうなんです。へとへと になるまで走り続けるという、肉体を賭けることでしか表現できない、行為に現れない想いもあると思うんですよ。言葉や理屈じゃないんですね。
 倒れる寸前あたるがラム…と呟くのは、彼の精一杯の愛情表現というワケです それが、テレパシーのようにラムに届くというシーンに続いていくことになります。
 今までの3作品まではゲストキャラが事件を起こして、その結果お互いの気持ちが近付くということだったんですね。 今回はそのパターンではなく、あたるが自分自身で気づいていくというわけです。面堂やメガネも同じように自ら、自分 の中のラムを発見していくわけです。うる星は探っていくとラブストーリーになるんですね。
 (ラムのビキニスタイルが少ない?)そうですね、ラムのコスチュームはセーラー服やジョギング姿が多くなっているのは確かです。
 実はラムのビキニスタイルで作品の関心を引きたくなかったという思いが僕の中にあるからなんです。 それと、ラムの魅力はビキニ・スタイルだけではないということなんです、やっぱり、作品そのものを見て欲しいと思いますね。
 (面堂としのぶの出番が多いが)やっぱり面堂としのぶがぴったりするだろうと、ただそれだけですよ。
 僕はハードボイルドが好きなんですね。それで夢のシーンの面倒はもう、徹底的にかっこよくしましたよ。 まあ、面堂のキザぶりを見てやってください。
 しのぶは大正時代の夢見る文学少女と言う感じですね。例の怪力ぶりは見せないで、しっとりとしたしのぶもいいんじゃないですか?しのぶの願望ですから
 でも、今回のしのぶは重要な役になっているので、注目してほしいですね。物語のカギになる台詞はしのぶが一番多くなっていますので、お聞き逃しなく。 戦争シーンは破壊活動よりもキャラクターの内面に重点を置いて描いたつもりです。その戦争は、元の友引町に 戻りたいために始めたものですから、その辺を踏まえてみて欲しいと思います。
 戦争シーンよりも、個々のキャラクターの心の動きなどの方が、よりうる星を楽しめる素材になるはずです。エンディングを観終わったときどう感じてくれるかですね。
 (エンディングには過去のキャラクターが出てくる?)今までのパート1から3までのキャラクターが総出演します。懐かしいキャラクタが登場するので、ファンの方に喜んでもらえると思いますよ。 途中で席を立たないで、ぜひ最後まで見て欲しいですね。
 彼らを登場させたのはぼくの中ではこのパート4でうる星は全部描いたと言う気がしているからなんです。 うる星の要素はすべて注ぎ込んで作ったつもりです。
 この作品で僕のうる星は終わったと思っています。それだけ力を込めた作品なのでたくさんの人に見てもらいたいですね。
 僕は映画と言うのは、観客とのキャッチボールじゃないかと思うんですよ。 うる星と言う、ぼくの投げたボールをどんな風に受け止め、どう返球してくれるか楽しみですね。うる星という作品は、皆捉え方が違うと思います。 それで、一人一人がそれぞれのうる星を作品から発見して返して欲しいですね。


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