戻る
キネマ旬報1988年度ベストテン 6位 125点 1位のトトロは332点 内訳 10点4人 9点4人 8点4人 7点 6点 5点2人 4点 3点1人 2点1人 1点2人
石坂昌三 日刊スポーツ調査室 一位 「劇映画がアニメに敗れた年であった。アニメには感情移入など無理と思っていたのを『となりのトトロ』で訂正させられたが、十二月、埼玉の桶川まで行ってみた『火垂るの墓』には涙止まらず。 憎くて壮絶美のB29。焼夷弾の炎。あの飢餓地獄。体験派としては、今の劇映画では再現不可能と脱帽した。昭和を語るとき、忘れてはならぬ空襲の惨劇三作で上位三本は決まり。」
河原畑寧 読売新聞編集委員 二位 「アニメの年だった。『トトロ』を一位にしたら、二位は『火垂る』、三位は『アキラ』と自動的に決まってしまった。」
高橋總 映画評論家 三位 「涙、涙の『火垂るの墓』」 「あの戦争で飢えて死んだ少年が、気になる妹の消息を案じて亡霊となり、我々に再び残酷な戦争の追体験を余儀なくさせる『火垂るの墓』は、 アニメだからできるディテールの利いた演出を逆手にとって、悲しみの極点にまで、作家の魂が深く注がれた秀作である。 アニメだからというのは、例えばその四歳の女の子、節子のキャラクター、あるいは飢えのあまり佐久間のドロップの代わりにおはじきを口にくわえてしまうという下りのディテール デフォルメでもあるなどで、実写でそれをやるとおそらくわざとらしくなるのではなかろうか。 兄と妹が生活する穴ぐらもそうであるし、すごいと思ったのは、節子が池の水面に映った自分とジャンケンをして遊ぶシーンをやや円形のショットでさりげなく見せる高畑演出である。 孤独、空腹、そして心細さ、寂しさといったものを全部背負わされた四歳の女の子が、そんな自分自身の影と遊ぶしかなく、それでキャッキャと笑っているのである。 これも実際の子役では演技できるものではなかろう、この四歳の女の子を決して忘れないでおこうと思う。 アニメは、ディズニーのそれからファンタジーが何よりも主眼のジャンルではあったが、高畑勲の『火垂るの墓』はアニメの可能性として、実写の劇映画の分野に入り込み、 なおかつアニメだからできる特異性を駆使して、一つのエポックメーキングになったような気がする。
八十八年は『となりのトトロ』と『火垂るの墓』という突出したアニメの傑作があったことでほかの実写の劇映画が割を食ったことはあるにせよ、 実際、日本映画の低迷ぶりを図らずも露呈してしまったのは確かである。」
北川れい子 映画評論家 十位 「『火垂るの墓』はアニメなので意識的に10位にしたが大切な作品だ。」
大森望 SF評論家 二位 「『トトロ』のように大好きだけど入れたくない作品がある一方、嫌いだけど入れてしまう『火垂るの墓』のような作品もある。 監督賞はあれこれ迷ったけれど、高畑アニメのリアリズム路線が頂点を極めた火垂るの墓の名演出に軍配が上がった。」
山田和夫 日本映画復興会議事務局長 一位 「監督賞は『となりのトトロ』の宮崎駿にも出したいところだが、高畑監督のアニメ演出はやはり劇・記録・アニメの全ジャンルを通じて特に称揚したい充実ぶりに。」 村川祥邦 東京新聞映画記者 三位 田山力哉 映画評論家 二位 浜野優 映画評論家 二位 山口猛 映画評論家 三位 本誌編集部 一位