■村川透監督

「人間の情念ね、青春の情念よ。これをキチッと描かにゃ映画にならない。たとえ悪党どものドラマだって、それを支えているのは人の情念なんだ。またそれが〈真実>なのだからね。そしてそれだからこそ、面白いんだよな。」

昭和12年3月山形県楯岡市生まれ。福島大学経済学部卒。日活にて神代辰巳監督らの助監督を経て、「白い指の戯れ」でデビュー。最近作は「最も危険な遊戯」「殺人遊戯」。

「映画はね、暗闇の中で見るもんなんだから、より悪のほうが魅力に満ちて見えるのはしょうがないよね。「白昼の死角」 いいタイトルだね。妖しくって美しく、いろんなイメージが浮かぶよ。 勧善懲悪なんて興味ない、人は説教聞きに映画館へ来るんじゃないんだ。 いかにヴィヴィッドにスクリーンの上の人間たちが生きているか、それを楽しみにお金を払ってくれるんだ。 応えなくっちゃプロじゃないよ、おツリをつけて返さなきゃあ。ドラマに息を吹きこむのは人の情念さ、映画屋たちの、面白いものにしてみせるって情念よ!」



■夏木勲・鶴岡七郎

「ナミのヒーロー像にはない、人間らしいリアリティが、この岡七郎のキャラクターの中にあってね、主役だから ウンヌンということより、役者として 演りがいのある〈モウケ役〉ということだよね。そう、燃えなきゃウソだ。」

本名夏木勲。昭和14年12月東京・千住生まれ、 慶応大学仏文出身。東映「骨までしゃぶる」「牙狼ノ介」で本格デビュー、最近作は「野性の証明」「悪魔が来りて笛を吹く」。

「冷徹ながら野性的でね、鶴岡七郎にはある種の羨望さえ感じる。いや、僕とはそう似てないですよ。でもね、役者ってのは、演りだしたらその人に自分自身がなりきろうとするでしょう。鶴岡ってのは自分で自分の規範を作りながら、それをテコに生きぬいた。誰にも止められなかった。そんな<男>がフッと自分の中に流れこんでくるみたいでね。何かグッと熱くなるんですよ。それを映画を見る人に伝えられたら、と。これからもいろんな役柄に出くわすと思うけど、これほど魅力ある<男>には、そうカチあたれないぞ、と思うんだな」



■千葉真一・太田洋助

「この太田ってのはヤクザでね、鶴岡らを陰ながら助ける役だ。活動場面を一手に引き受けてるんだが、楽しいよ。しかも出演者が同じ年代の連中で、歯むきだして演技合戦してるようなものさ。映画の面白さはこうでなきゃあ」

昭和14年1月福岡生まれ、日本体育大学卒業のご存知アクション・スター。「組織暴力」「日本暗殺秘録」「直撃!地獄拳」ほかバリバリのアクション映画に主演。最近は時代劇へ演技の幅を広げ、海外に通じる自主作品作りに意欲満々。

「ダブダブの背広にド近眼のメガネをかけて撮影所を歩いてたら、”あんた誰”っていわれちゃったよ。”多羅尾伴内じゃないんだョ!”といってやった。愉快だね、こういうユニークなジャンルの映画がもっと増えなきゃ駄目なんだ。こう演じてやろう、これはこうしてってエ失する欲を出すような、ね。 いつも同じような映画をこさえてるんじゃ、自分で自分の首を締めるようなもんだ。俳優はもともと欲張りな人間なんだ。その欲をうまく生かして乗せてって、スクリーンの上で楽しく踊らせる企画をどんどん生み出してこないとね!」



●岸田森・隅田光一

「ハタから見ると悪役かもしれないけど、自分にとっては善い役なんですよ。悪の側から世の中を見ると、そっちが狂ってるんじゃないかなんて、これは実に楽しい。正義漢なんて演りたくないですよ、リアルじゃないんだから・・・・・・」

昭和14年10月東京生まれ。ご存知、日本で唯一の(?)吸血鬼俳優。悪役の側に傾いたのは岡本喜八監督の「斬る」での殺し屋役で味をしめたから、とニヤリと笑う。無論、代表作は「血を吸う眼」「血を吸う薔薇」ほか「歌麿~」等。

「悪に賭け、悪に生きる青春っていいコピーですよね。これが10年前だったら疑問符をつけられたと思う。それほど今生きてる人間たちは悪になじんできたんだね、哀しいけど。 実にチャーミングに聞こえる。昔はドラマの悪役というと動物的でゴツイ人のもちまわりだったけど、最近は痩せて弱そうだけど頭の切れるのがボスの座にいる、という構成になってきた。おかげさまで私の出番が多くなってるんだけど(笑)、リアリズムに近づこうとしたら実際そうなんですよね。時代をリードするというとちょっと尋常じゃないけれど、そんな悪の行為、悪人像をしっかり描いてみたいね」



■天知茂・福永検事

「人間には人並じゃないことをやってみたいという願望がある。ドラマは人の出来ないことをやるから夢があるんだ。最近の日本映画がつまらないのは夢がないからだよ。そうさ、悪の夢>だって十分に魅力的なんだよね。 」

昭和6年3月名古屋生まれ。ご存知TVの「非情のライセンス」等のハードボイルド・ヒーローで有名だが、過去、「東海道四谷怪談」「地平線がぎらぎらっ」の傑作に主演している。

「実は高木さんの原作が出たとき、すぐ読んでね、ああ鶴岡を演ってみたいと思った。それから何年たったのかな、今は年からいって無理ということで、検事側にまわってしまった、残念だよ(笑)。僕は昔から宮本武蔵をやるなら佐々木小次郎の方が...といった癖があって、ピカレスク・ロマンものをどんどんやってみたかったんだな。アイラ・レヴィンの「死の接吻」とかね。日本には歌舞伎における白波もの”のような伝統があるのに、日本映画は昔からこのジャンルをモノにするのがヘタで、企画の幅を徒に狭めていたんだ。ようやく、面白くユニークなものが生まれる地点を見つけたわけだ成功させたいね。こういう悪党たちがスクリーンに跋扈するドラマをどんどん生むことによって、演技の水準もあがるんだ。悪にまわる方が、人間は多面的だし、難しいし、だから演りがいが出るんだ。」



■成田三樹夫・小岩恭三

「ホントね、ダマされる方の役はひさしぶりだよ。いつもダマす方なんだから、楽しいよ、ここは面白くやれそうというシーンが多いからね、今回は、オーバーでなくオーバーに助演者ってのも結構難しいんだぜ!」

昭和10年1月山形生まれ。ドスのきいた低音の魅力で大映時代に悪役の座に君臨。「ある殺し屋」等の傑作を引っ下げて東映の「仁義なき戦い」シリーズに出演、「野性の証明」「柳生一族の陰謀」等、一度見たら忘れられない個性。

「ナントカ映画祭の助演賞とかにありつくんじゃない、”脇役演技”の面白さを支える地盤がゆるんできているのは確かだね。映画の豊かさってのはそんなオーソリティ向けのものばかりじゃない。たとえ1カットでもウナらせてみせたい!という助演者らが映画にふくらみを与えるんだものね。そういう目配りの利く監督やら観客が少なくなってるから、よけい頑張ってやろうかいと思うんだよ。でも熱演なんてのは演技じゃないんだ。反応だよ。反応。自然体でスクリーンに入って、ドラマの中でどう反応するか。悪玉だろうと善玉だろうと、生ききらなくてはね。」


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