ラストエンペラーを5回も観に行ってしまった。 もともと中国には興味があったし、あの紫禁城でのロケと言うのも魅力の一つでもあった。 しかし、私が全く期待していなかった大きな感動は、皇帝溥儀役のジョンローンの演技そのものにあった。 全く自然だった。18歳の溥儀も62歳の溥儀も、外見からその内面まで無理がなく、とってつけたようなわざとらしさもなく、これほどまで演じられる人がいるのか…と、びっくりしてしまった。
 慌てて彼の前作イヤー・オブ・ザ・ドラゴンをビデオで見た。溥儀とは違い強い意志と強い実行力を持ったチャイニーズマフィアのボスを、まるで地で行くように演じている。 これが、同じ人間が演っているのか・・・。 彼の中には何人の人間が存在するのか・・・、いくつの顔を持っているのか・・・。 しかし、それは愚問であることにすぐ気づく、彼は、演じようとする人格そのものを演ずるのではなく、魂ごと乗り移ってしまうのだから。
 ただの美男子ならいくらでもいる。それは持って生まれたものだ。たまたま運がよかっただけだ。確かに羨望はあるが、魂を揺さぶられるような感動は、そこから生まれてこない。 しかし、ジョン・ローンはただ美男子というだけではないことは周知のとおりだ。 役者にさせんがための幼児からの厳しい教育(これは彼の周囲の人々の見識の高さに感心させられる)と その為に費やした努力、そして、その努力に対して余りある彼の才能と向上心、まずそれがベースになっている。 と様々な資料を読み漁り、そう結論を出した時、ようやく彼の演技に対する謎解きのきっかけが見つかったような気がした。
 しかし、これはあくまでもきっかけであり、彼は、まだまだ無尽蔵ともいえる世界を持っていそうだ。
 世界的スターというと、今までは欧米人が中心だったと思う。東洋人はほとんど無視されてきた。もっとも、実力があっても、その力を披露すべき場もなかったし、それを評価すべき絶対多数の人間もいなかった。
 結局のところ、ジョン・ローンは中国系アメリカ人であり、アメリカという世界に名だたる大船に乗ることによって、世界的スターにのし上がれたに違いない。 そして、東洋系とは言いながら、どう見ても欧米系とのハーフのような美貌は、日本人好みだったと言える。
 特筆すべきことは、こうしたことが全くの僥倖ではなく、彼自身の手によって引き出された天によるものが大きいということだ。 彼は生まれながらの中国系アメリカ人ではない。役者としての才能を全世界に開花させんがための、凄まじいエネルギーをもってアメリカへ渡ってきた。 そのエネルギーとは、彼のたぐいまれなる美貌であり、天性の才能と鍛え上げられた実力であったに違いない。その前には、東洋系というハンデなど吹き飛んでしまった。
 彼のあのキラキラ輝く眼差しには、底知れないエネルギーが潜んでいるようだ。それをセックスアピールと評する人もいるが、それだけでは片づけられない強烈なインパクトを感じてしまうのは、私だけではないと思う。 得体のしれない無限の魅力は、あの荒ましいエネルギーから発散されているのではないか。
 彼は、才能と美貌とたゆまない努力によって、今、東洋系では初めてと称賛される世界的スターとなった。私は同じ東洋系の人間として、このアジアの片隅から、彼に惜しみない声援を送りたい。 

ジョンローン讃 内藤厚子 28歳

1988年5月上旬



私もジョン・ローンとミッキー・ロークのもてはやされようには若干の疑問が…。二人ともすごくいい俳優だと思うけどこのことは強調しておきたい。 カッコイイ!とか素敵とかは思わないのよね。ジョン・ローンは「美川憲一」だし、ミッキー・ロークは指が太い!

中野翠の月島シネマ 第一回



それにしても、中国系の若きボスを演じるジョン・ローンがものすごくいい。きりっとした二枚目で、カリスマ的魅力もあり、白いスーツがよく似合う。 タイの奥地に入ってきたときの精悍な感じもいい。 彼の演じてるギャングの方はやることが少しせこいが、それでもローンは素晴らしいと見惚れてしまうのだからすごい。

採録 新藤純子


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