本誌連載「どてらい男」のテレビドラマの参謀役でおなじみの中尾彬。役どころは渋いが、なかなかどうして女には手が早いヤツ。それもウワサになるお相手は、いずれも大女優ばかりとあって、これまで華やかな話題をまき散らしてきた。本人は「ぼくは浮気できぬ男。みんな本気ですよ」というが、まずは、キラ星スターたち相手の"本気の味”を
ぼくの家庭観 宇宙人・真帆志ぶきの純粋さ 家庭は抑圧の場だ
八百人斬ったとか、千人以上やったとか、男は数を自慢したがるようだけど、ぼくはちがうぼくには浮気ってヤツができないんだよ。それに一生懸命になっちゃうと、セックスなんかしなくったって平気なんだ。一年中二年、女の肌に触れなくったって、どうってことはないものね。 だから、知っている女の数はそんなに多くないよ。でもね、負け惜しみじゃあないけど、浮気の味より本気の味のほうが中身は濃いっていうことですよ。もっとも、どちらがいいなんて比較なんかできやしないものだけど、量より質ということはいってもいいんじゃないの。 そのくせ、ぼくはウワサだけはよくたてられたねえ。吉永小百合、加賀まりこ大谷直子、藤田弓子岩下志麻、ぶきなんて名まえがならべば、それは豪華版だものな。でも、やった。やらないという、いわゆ男の話になると、打率はぐっと低くなりますよ。このなかで×人だけですからね。 ひどいヤツがいて、ぼくのこ有名な女優と遊んで、相手を踏み台にしているなんていうんだよ。そんなことはないですよ。ただ、有名な女優というのは、ジャリタレなんかとちがってなにかやっぱり魅力がありますよね。 魅力があるということは、セックスだけが目的ということじなくて、その相手と全力でかかわっていたいということなんだよ。やればそれだけで本当に触れ合えたと思うのは錯覚だよ。やはり、心がともなわなくちゃつまらないね。セックスなんてのは、粘膜と粘膜との摩擦にすぎないんじゃないかな。 だからぼくは、いまウワサになっている真帆ぶきさんとのことも、そんな形では話したくないんだ。正直いって、ぼくは彼女に惚れていますよ。こんなすばらしい女性が世の中にいるのかって思うほど、いまのとこメタメタに惚れていますよ。妻子ある男が、他の女の人に惚れちゃいけない、というのが健全なモラルっていうヤツらしいけど、これほど人間性を無視した話はないと思うんだ。女は結婚すると妻”という別の生きものになって、もう話なんか通じなくなっちゃうんだ。家庭というのはくつろぎの場なんかじゃなくて抑圧の場だ男が本当に触れ合える女性を求めるのは当然なんだよ。だから、相手の年齢なんて関係ありませんよ。それに真帆さんについていうなら、彼女は踊りできたえているからいい体をしているんだなあ。それはセックスという意味じゃないけどね。 あとでゆっくり話すけど、ぼくの初体験の女性も、日体大で体をきたえた抜群の女性だったんだよ。ぐっと体がひきしまっていましたからねえ。まあ、それはともかく、真帆さんには、いわゆる年齢なんかは関係ないってことです。それに、ぼくが惚れているのは、彼女の子どものような純粋さなんだ。 ぜんぜんなんにもこだわらないんだな。人をだますということも、だまされるということも彼女は知っちゃいないんだ。まあ、地球上にはもうこんな女性はいなくなっちゃったんじゃないですか。だから、彼女のことを、ぼくは宇宙人だっていっているんですよ。どんな血が体のなかに流れているのか見当もつかない。 彼女と知り合ったのは、昨年七月ごろだったなあ。ぼくが宝塚映画の仕事で宝塚にいて、駅前にある「かずき」というスナックではじめて会ったんですよ。酒を飲みながら話しているもう時間を忘れるほど楽しい人なんだ。それ以後ずっと、二人とも時間さえあれば会っていたんですよ。 汲めどもつきないという感じで、いくらでも話ができるし、楽しいんだ。セックスしているヒマなんかありゃしませんよ。それでも、もっと深く触れ合うにはセックスがなければならないのかもしれないね。だから、これから先はわかりませんよ。結婚するかもしれないし......。
■証言真帆志ぶきさん
「彼とはいいお友だちです。それだけしかお答えできません」
=小百合ちゃんとの仲血で書いたラブレター
吉永小百合ちゃんのことかい?岡田太郎さんに怒られるかもしれないけれど、もう八年もまえのことなんだから、なにを話したって時効だな。ぼくにとっては、はじめてラブレターをもらった相手�≠セから、なんといっても印象的な人だよ。 彼女とはじめて会ったのは、日活の宣伝部の部屋だったよ。そのころの彼女は全盛時代でしたから、まぶしいほど美しく見えたのをおぼえているな。それにひきかえ、こちらは民芸で本数契約なんかしている駆け出し身分でしょ。社会的には天と地の開きがありましたよ。それでも、彼女って新劇に弱いんだほら「尊敬している人は宇野重吉さんだ」なんていっていた時代があるじゃない。そんなせいもあって、民芸の中尾彬だってまんざらでないわけよ。 もっとも、ぼくは女王さまぐらいに思っていたから、彼女に尽くしたなあ。だんだん親しくなるにつれて、彼女の秘書みたいなもんでね、どこへでもいっしょについていったもんですよ。こちらも兄貴よって、いい気持ちだったわけさ。 早稲田大学に通学するのだって、いつもいっしょだった。彼女の運転手さんといっしょに、講義が終わるまで車のなかで待っているんだから、ぼくもひまだったんだ。そして世田谷の家まで送って、ぼくは練馬のアパートへ電車で帰るなんて、バカなことを何度も繰り返しましたよ。 だけど、彼女の親父さんがおっかなかったし、彼女と二人っきりになれる時間はほとんどなかったなあ、本当だよ。でもね、運転手さんがいい人で、二人のあいだの連絡係をよくやってくれましたよ。 ある日、やはり早稲田からの帰りだったと思うけど、彼女、ぼくのを枕にして眠っちゃったんだ。そのときも運転手さん車を静かなところへ停めて、席をはずしてくれたんだよ。やろうと思えばカーセックスでも可能な状況におかれたわけだけど、ぼくはなにもしなかったんだから、われながらバカだと思うね。 ところが、寝顔をのぞき込んでいるぼくの頭に、彼女両腕がすっと伸びてきて引き寄せられちゃったんだ。ところが、ぼくのが触れた場所は彼女の唇じゃなく、オデコなんだな、これが。ただそれほかのどこもさわったりしてないんだよ。スカートをはいていたんだから、もうすこしなんとかと思うのが普通だろうけどー。 血のラブレター”なんてこともあったね。だけどあの手紙はね、内容はラブレターなんていえるものじゃないんだ。オランダロケに彼女が行ったとき、ナイフかなんかで指を切ったんですよ。流れる血を見ているうちにそれで手紙を書きたくなったから、血で書いたというんだよ。だけど、ぼくのところに着いたときは、赤い血がドス黒くなって、とても読めたもんじゃあなかったよ。おセンチな少女の発想ですよ。それでも、それがぼくにはかわいくってしようがなかったね。 だから、その後だいぶたってから、ひさしぶりに彼女の広島のロケ先に立ち寄ったとき、ぼくは猛烈に腹を立てた。ぼくにってかわいい妹のような彼女が、宿の浴衣のもいぎたなく乱して、お銚子をならべ、タバコスパスパふかしながら宿で酔ってるんだ。彼女にお熱をあげていることで有名だった助監スタッフをしたがえてね。 なんだかとても許せない現場を見てしまったような気がして「なんだ、その格好は!」って、ぼくはタバコを投げつけたのをおぼえていますよ。 「あとでオレの部屋へこい」なんていったんだから、オレもいい気なもんだよ。部屋で待っていたら、彼女、来ましたよ。そしてこちらはお説教。彼女はただ泣くだけなんだなあ。泣けば泣くほどいじめたいような気になってきましてね。わかるでしょう、この気持ち。そのとき、あまり彼女が泣くんで、二人のあいだに入ったのが、まだ新人だ渡哲也ですよ。彼女の慰め役で、以後、ずっとつきっきりだったもんね。彼女と彼とのウワサが立つようになったのは、それからのことですよ。
やすらぎを感じてのめり込む
セックスの交流がない相手ばかりの話じゃしようがないね。でも、ぼくの場合は真剣に接していって、結果としてセックスがあるかないかのちがいだけでしょう。 ほかの男はみんなちがうらしいけどね。だから、ぼくは女を口説いたことないですよ。真剣話をしたり、世話をやいたりするだけでね。何度もいうようだけど、ぼくにとって、セックスしたいから、やりたいからってことが女とつきあう終局じゃないんだよ。こんなことを真剣になっていうとキザにしか聞こえないけどね。 大谷直子さんとの場合もそうだった。彼女とはNHKの「信子とおばあちゃん」の共演で知り合ったんだけど、やはり、最初は保護者的な立場でしかなかったからね。だって、彼女はそのころ川口恒と付き合っていたんですよ。若いし、彼女も真剣になるほうだから、二人の恋のために撮影のスケジュールがメタメタになっちゃう。そこで、ぼくがNHKの幹部に呼ばれて説教をおおせつかっちゃったのが、付き合うキッカケなのサ。だから、はじめは兄貴ぶって説教する役目だったんですよ。 そのときはそれで終わりましてね、あるときひさしぶりに大映の撮影所で再会したんですよ。「あら、元気」なんていっているところへ、家からぼくに電話。「男の子が生まれた」ってときですから、よくおぼえていますよ。彼女とはよく飲みましたよ。彼女って、きたないヤキトリ屋が好きでね、なりふりなんかかまわないタチなんだ。 そして、結局、いくとこまでいったわけだけど、あれが男と女の“出会い”ってものなんだろうなあ。相手にやすらぎを感じてのめり込む、とでもいうんだろうか、ともかく毎日でも会わなければ、区切りがついたよう気にならないんで、よく、仕事のあとで、彼女の家に行ったりもしましたよ。 でも、付き合ってみてわかったんだけど、彼女は拒絶反応が激しい女性ですね。あるときは、猛烈に女っぽくベターッとくるわけですが、そうでないときは寄せつけないってところがあったな。だから、キスひとつするにしても、イヤだというときは、グイッと頭をこちらにむけさせながらって調子ですよ。計算でもなんでもないんですよ。そんなことが半年もつづいたかな。短いといえば短いけど、激しい日々でしたよ。 女房は知っていました。二人の仲が週刊誌でさわがれて、彼女から家へ電話があったりしましたもの。女房が出て「直子ちゃんにもいろいろいいたいことがあるかもしれないけど。週刊誌でああいういい方は「よくないわよ」なんてね。 それがいつの間にか、松山省ニになっちゃってたんですよ。ぼくがよく行く京都の飲み屋で飲んでたら、二人が入って来ましてね。よく見たら、赤い半袖のおそろいのシャツを着てるんですよ。「あれ、あの二人、どうなってんの」って仲間に聞いた「おまえ知らないの、二人はできちゃったんだよ」っていわれちゃって、ぼくはピエロみたいなもんですよ。彼女もぼくにからんできて「あんたは冷たいんだから、私は省二と結婚するわ」ってわけです。そのとき、省二のヤツはやばいもんだから、すみのほうで知らん顔してましたけどね。 それで終わりですよ。でもねえ、ぼくは彼女は役者として立派だと思いますよ。ぼくは女優さんとしていちばん認めます。我が強く、たたかれてものしあがってくるって感じがいいなあ。 彼女とは、要するにぼくがフラれたって形になるんでしょうねえ。え?フラれたふりをするのがいちばんいい別れのテクニックだって?冗談じゃないですよ。ぼくはそんな小細工はぜったいできないんだ。
証■大谷直子さん
「いっしょにお酒を飲むのも、仕事をするのも、オトナの男性とのほうが楽しいですね。中尾さんともよく飲みに行きましたよ。私は恋をするとなにもかもわからずつっぱしってしまうほうですから。でも、それも過去のことです」
川の字に寝た太地喜和子
こんなぼくだから、女を金で買うなんてことはしたことがないんだよ。つまんないもの。トルコ風呂なんていうのも、一度しか行ったことないよ。山内賢に強引に連れていかれちゃってね。そりゃあ、まあ、トルコに来ちゃったんだから、風呂にも入るし、マッサージも受けましたがね。おスペだ、ダブルだ、本番だなんて、とてもそんな気にはならないんですよ。 それより、トルコのことが気になっちゃって、こちらが気を使っちゃうんだなあ。「あんた。こんなことやってていいんp」とか「親兄弟はどう思うか、わかってんの」なんて、バカことを聞きはじめるもんだか相手だってイヤがって、本なんかやってくれるもんですところが賢坊なんか、本当サバサバしてるもんね。バスタオルをまきつけただけで「おい、どうだ」なんちゃってね。そうだ、彼は近く結婚するんだったな。この部分は書かないでくださいよ。 賢坊だけじゃない。他の仲間との男の遊びなんかも、ぼくはそばで付き合っているだけといケースのほうが多いんだなあ。たとえば、峰岸竜之介。彼とは一年ぐらいいっしょに住んでいたことがあるんですよ。そこに太地喜和子が泊まりに来るんだ。ぼくが目当てじゃないですよ。峰岸のところへ泊まりに来るんですよ。気をきかせればいいのかもしれないけど、ぼくが出て行く筋合いはないしね。しょうがないから、三人で川の字になって寝たなんてことはよくありますよ。 もちろん、手なんか出しません。だって、峰岸があいだに寝てるんだし、また喜和子は女房と同期生でしょ。たとえその気があったって、手を出すわけにはいきませんよ。 だから、しょうがない。ぼくは早く眠ろう眠ろうとするんだけど、とても眠れたもんじゃないんだな、これが。そりゃあ、ぼくがいくらセックスにそれほど興味はないっていったって、平気じゃいられませんよ。なんなら、そういう状況を体験してみれば、そのときのぼくの気持ちがわかってもらえると思うな。 太地喜和子って女性は、こんなふうにいうとすごくデタラメなように見えるかもしれないけれど、本当は気の弱い女なんですよ。それでも、なんとなくさまになっているからいいけどね。だから、十年来、友だちでいられるわけですよ。 友だちでいて、なんでもしゃべれるっていう人も多いです。岩下志麻ちゃんなんか、全裸のラブシーンをやった仲だか文字通り、裸の付き合いが出来るだ だから、仕事で京都に行ったりすると、よく朝にホテルで会ったりするでしょう。そうすると、彼女はダンナさんといっしだから、そう気やすく声もかけられないけど、食堂のテーブルごしに「ヤーッ」って、目で合図を送るんですよ。これで十分なんだなあ。 なんでもさばさばして付き合えるっていうのがいちばんいいんですよ。浜木綿子さんなんかも、若尾文子さんもとてもいいんだなあ。よく考えてみると、「リハーサルやなんかで、ずっこけて恥をかいている部分なんかみんな知っちゃっている相手なんですよ。そういう人たちとはもうそれでいいんです。セックスなんか、もう必要がないんですよ。だって、恥ずかしさもなにもない相手とは、どうにもなりようがないでしょ。志麻ちゃんなんかとは、あらためて、ラブシーンなんかがあると、おたがいに吹き出しちゃってね。これでは恋にもなんにもなりません。 でも、けっしてぼくはセックスがきらいなわけじゃない。やりたいなあ、いっしょに寝てみたいなあという女優さんもいないわけじゃないんですよ。たとえばね、怒られちゃうだろうけど、三智子さんなんかには、それを感じますね。ああいう人とは寝てみたいですよ。寝てみなきゃわからないって女性は、やっぱりいるもんですよ。
■証言山内賢さん
「ぼくや高橋英樹浜田光夫なんかは日活でスター路線をひかれていたんだけど、中尾さんは路線のない目立たない俳優だった。そこで、彼は考えたすえに民芸に入ったんですよ。ぼくが彼と付き合うようになったのは、それ以後のことでね。よく飲みに行きました。それほど親しいってわけではないんだけど、われわれとはちがって、いわゆる男の遊びには熱心じゃなかったな。トルコ?ええ、そんなことがあったかもしれません」
「ぼくは、浮気のできぬ男。みんな本気ですよ」と、当人はいうが、それにしても、この人の��浮き名"は、いたるところで聞かれる。それも、相手はみな名の通った女優サンばかり。だが、当人はこうも語る。「ぼくだって、女優サンばかりを相手に惚れてるわけじゃあないですよ」で、今回は、シロウトさんの味などもまじえて、"本気の味�≠�
藤田弓子とのあいだ相合傘で送っていった仲
裸にしたらいい女と、裸にならないほうがいい女というのは、やはりいるもんですよ。それは、ただ足が太いとか、オッパイがいい形をしているとかいいプロポーションの問題じゃなくてね、絵になるかならないかっていうことなんだな。吉永小百合ちゃんが浴衣の裾をくずし酒を飲んでるなんて図は、絵にならないんだよ。ちゃんと太陽の子みたいにしているのがいちばん似合うんですよ。 そういう意味で、藤田弓子も、どこかさまにならないっていう感じの女性だね。同じ事務所にいて、同じ仕事をやってるんだから、あまりしゃべるのはまずいんだけど、付き合っていた当時、いつも背伸びしているような感じで、酒を飲んでもタバコを炙っても、無理してやがんなあって感じなんだ。 でもね、不思議なもので、そのへんがまたぼくの保護者意識をくすぐるんだなあ。彼女とは東映京都撮影所のまえにある喫茶店で、山口に紹介された最初でしたよ。そのときは「はじめまして」って、あいさつしたぐらいだったんだけど、二、三日たってからの「感京亭」という中華料理屋でばったり会って「このあいだはどうもってわけですよ。 彼女は文学座の京都公演で来ていて、ぼくの親しい加藤武や江守徹太地喜和子なんかともいっしょなんです。で、大いに飲んで、喜和子が北大路欣也とデイトがあるので最初に帰り、加藤も江守も消えちゃって残ったの二人だけ。しょうがないから相合傘で送っていきました。 それからいっしょによく飲みましたねえ。うちのマネジャーが独立するときには参加してくれたし、それから以後一年間ってものは、ほとんどぼくの仕事の相手役は彼女だったもの。これでなんとかならないほうがおかしいんじゃないの。だって女といっしょにいる時間より、彼女といっしょにいる時間のほうが圧倒的に多かったからね。 大谷直子はベッドでは拒絶反応をしめしたり、逆に激しくべタッと来たりするほうですが、彼女の場合はもっとですね。いまでは、彼女の演技やいろいろな発言を見たり聞いたりしていると、どこか開きったようなところが出てきて、成長したなあって思うんだけど、当時はまだ大人になりきれないっていう感じでした。 彼女の頭には、つねに太地喜和を意識している部分があっ女房は大人だったって、なんとか自分の幼い部分をくずそらくずそうとしているっていう感じだったなあ。でも、喜和子が男遍歴をべらべらしゃべってもサマになるけど、彼女がしゃべったのではぜんぜんサマにならないんだなあ。
■証■藤田弓子さん
週刊誌でもう何回も話しているので、中尾さんのことについては話したくないなあ。だってもう終わったことでし中尾さんを者としてしていましたし、私にとっお父さんのような時期もたしかにありました。いまでは同じプロですけど、お仕事の関係でめったに会いません」
恋人デアルコトヲ放棄!!
藤田弓子について話し出すと長くなっちゃうんだなあ。ともかく、二年間という長い歳月でしたからね。ぼくも彼女も、そういう仲であることをけっして人に隠すようなことはしなかったし、それは隠さなければならないことではないと思うんだなあ。 ぼくはいつもいうんだけど、自分の気持ちに誠実に生きることが役者にとっていちばん大切なことだと思うんだ。役者でなくったって、社会とか人目とかを気にして、安全第一という生き方をしている人間を見ると、自分とは無縁の存在だなって気がするんですよ。 だから、ぼくは役の上でも悪役なら進んでやりたいという気持ちなんだ。善良なものからはなにも生まれて来ませんよ。安定してブクブク肥って腐っちゃうだけだもの。 悪のなかにしか、いまは可能性なんてものは見出せない、というのがぼくの考え方なんです。 女房は、そういうぼくの生き方を認めてくれましたよ。弓子とのことも、当然、知っていたんでしょうけど、なにもいいませんでしたものね。 でも、事務所の忘年会があって、女房を誘っても来なかったのが、弓子と付き合い出したら、その年にかぎって「わたし行きます」っていうんですぼくには反対する理由なんありません。 で、二人が頭を合わせたとき、ぼくは正直いって、女房のほうが立派だと思いましたね。弓子のほうがおかしくなっちゃって、むきになってぼくに絶縁状をつきつけちゃった。 「私の貴方ノ恋人デアルコトヲ放棄シマス」 笑ってすませてくれれば、本当の大人の付き合いができるのと思いましたけどね。女房はあとで「ことしはわざと行ったのよ」といって笑っていましたが、これは完全に大人と子どものちがいだと思いましたね。 それから以後は、仕事が別々になって、ほとんど顔を合わせていませんね。それでも、最近のことですが、ぼくが銀座のレストランで真帆志ぶきさんと食事をしていたら、マネジャーと二人で彼女が入って来たことがあるんですよ。たしかにこちらに気づいたはずなんですが、パとすぐ出て行っちゃったな。あとでマネジャーに聞いてみた「混んでいるからよそへ行きましょう」ってことになったらしいんです。 でも、彼女は当時とくらべればずっとよくなりましたよ。まだ意識だけが先行して、芝居がそれについていけないという感じだけど。役者というものは生きざまでしかないんだっことを頭じゃなく、体で気づくようになればいいんだと思うんだ。
■証言茅島成美さん
「彼は純粋な人です。彼がいうこと、やっていることというのは、本質的には正しいということもわかります。だから、私は彼との結婚生活を五年もつづけることができたのでしょう。しかし、理解はできても、現実の問題として、彼を許せなくなってしまったのです。いまはただ、子どもが大きくなっても恥ずかしくないような、立派な役者になってほしいと思うだけです」
ぼくの初体験の人恋文をソッと手渡した人
ぼくだって、女優さんばかりを相手に惚れるわけじゃないんですよ。初恋の女初体験の相手も、みんなシロウトでしたと。それでもみんな、どこかバァッとめだつ華やかさがあるんだな。そして、惚れたらただひとすじってところは、最初から変わっていないですね。 それに、ぼくは早熟だったな。千葉県木更津の酒屋の長男坊に生まれたという環境のせいもあ恋人を背負って病院へるんでしょうが、小さなころから映画が好きで、映画からいろいろな知識を仕入れちゃうんですよ。だから、初恋の人も映画館の娘。酒井和歌子さんのようきれいな女性でね、小学生時代から高校にあがるまであこがれていたなあ。 もっとも、手も足もでない、口もきけないプラトニック・ラブで、最近、テレビの初恋の人ご対面のような番組で会えるはずだったんだけど、放送の日が相手の結婚式の翌日だったとかで会えずじまい。相手のご主人は「行ってきなさい」っていってくれたらしいんだけど、やは結婚初夜の翌日じゃ具合が悪かったんだろうね。まあ、初恋なんて、みんなそんなものなんでしょう。 初体験の女性は、高校の一級上の人なんですよ。千葉女子高から転校してきて、最初のうち制服が間に合わないとかで、ただひとりちがうセーラー服を着ていたものだから、めだったなあ。ぼくのほうも生意気ざかりで、先輩で教育実習に来千葉真一を仲間といっしちょに殴っちゃったりする暴れんでね、そのうえ、白のフラノでつくったダスターに、白絹のマフラーなんて格好しているわめだつ者同士の結びつきなんですよ。ぼくとしては、めずらしく積極的にアプローチを試みたわけですよ。 彼女は体育のバレー部に入っていて、授業が終わると部室に行くでしょ。すると、ぼくは図書館で出てくるまでじっと待ってるんだ。出て来たらすぐ飛び出して、廊下で鉢合わせするようにいつもやるんですよ。いやでも彼女はぼくという存在に気づきますよ。そんなこんなで親しくなりましてね。いっしょに梅見に出かけたり、すれちがったときに、連絡メモを交換したりするようになって、そのうち、学校中だれ一人知らない者はないぐらいになっちゃいました。そうなると、先生も公認でね、「おい中尾彼女がケガをしたから病院に連れてってやれ」 なんていうんですよ。彼女がグラウンドのローラーで足を引いちゃったときで、ぼくは彼女なあ。を背負って、病院まで連れて行ったこともありましたよ。それ駅のむこうにある病院でね、女子高の連中が駅にむかって帰ってくるなか、ぼくは彼女を背負って逆にすすむんですよ。さすがのぼくも恥ずかしかった それでも、彼女が高校生であるうちはなにもなかったんです。ただひたすらにきれいな付き合いでしたね。彼女が日体大を受験したときは、ぼくは高校さぼってついて行きましたし、アパートさがしに奔走したしましたから、本当に献身的だったなあ。 彼女も卒業するときは、教科書を全部ぼくにくれましてね。漢文の読み方なんか、ぜんぶ書いてあるんで重宝しましたよ。
■証言■千葉真一さん
「高校時代のことは、もうよくおぼえていないな。二級下に彼がいて、教育実習で教えたことがあるらしいんだけどった殴られたなんてことは覚えてないなあ。むし奥さんだった茅島さんのほうが、ぼくは親しいんです。東映で同期生ですからね。このあいだも共演したと働かなくちゃ食えないってこぼしているのを聞いて同情したなあ。中尾という役者の生き方の問題はともかくとして、責任の問題が残っていと思いますね」
セックスに夢中な時期 体操や踊りで鍛えたいい体
彼女が卒業しちゃってからは、週に一度は東京の池尻にあるアパートに逢いに行きました。あるとき行ったら、彼女はカゼで寝てましてね、ぼくが必死になって看病しているうちに、なんとなく変になって、はじめて結ばれたんですが、なにせ童貞と処女でしょ。これはも悪戦苦闘ですわ。二人ともガチガチに震えて、どこになにがあるんだかさっぱりわからないんですよ。一時間ばかりかかって、ようやくというのが正直なところだったな。 いい体をしてましたよ。体操童貞と処女の悪戦苦闘で鍛えていますからプロポーションもいいし、いわゆるしまりもいい、おそらく初体験だからじゃなくて、構造からいえば、最高の女性だったんじゃないかなあ。なにしろ、体操なり踊りなりで体を鍛えている人は、すばらしいですよ。 でもね、いろいろなテクニックを教えられたのは、ぼくがまだ売れない役者のころ、世話をしてくれた芸者さんなんだ。体験の彼女とは、高校時代から数えると五年間もつづいたんだけど、彼女は体操の先生になるといって、役者のぼくをやはり見捨てていった形なんですよ。そのあとに出会ったのが、この粋な芸者なんだな。 売れない役者の身を嘆いて、ひさしぶりに木更津のバーで飲んでいたとき、粋な組さんに「いっしょに飲もうよ」と声をかけられて、盃を重ねるうちに意気投合し、そのまま彼女の部一屋にまでついていっちゃったんですよ。 それからはもう軟禁状態で、彼女に囲われちゃう形なんだ。彼女はお座敷に出かけるぼくは炬燵に入ってビールを飲んで、帰ってくるのを待つという毎日なんだな。 夜中に彼女が帰ってきて帯をとくと、そのあいだから一万円がボトボト落ちてくるんですよ。そしてぼくに「おこづかいないんでしょ、持っていきなさい」なんてくれるんだ。こんないい時期はなかったね。セックスだって、いたれりつくせりでね。疲れればイクラとウニのお寿司をとってくれるって具合いでしたよ。 そして「そこはこうするのよ」って、具体的なセックス指導をしてくれてね、四十八手表をおこづかいつきでしてもらえたわけ。 こんな生活がざっと一年ぐらいつづいたかな。あるとき、急にお見合いをするんだといって、郷里の仙台へ帰っちゃったんですよ。ぼくはトコトコ後を追いかけまして、気仙沼まで行って、二日間さがし歩いたりもしましたよ。 考えてみれば、ぼくはぜんぶ女性のほうにふられているんだある意味じゃ、女のほうが見切りが早いっていうことかな。 だから、今後も女の人が離れていかないかぎり、たくさんの恋はできないでしょうね。二人の女性とダブってセックスも恋もできないたちなんだから、しようがないでしょう。でも、なんどもいうように、八百人斬った千人斬ったというようなプレイとしての浮気なんかはしたくない。男の話としては格好悪くても、社会の健全なモラルなんてものからは反撃されても、いつも本気の恋をして、自分に少しでもツヤが増すような生き方をこれからもして行こうと思いますよ。(おわり)(インタビュー構成/有島潤)
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