先月号からのつづき■シナリオライター、長谷川和彦氏登場一
長谷川 そうか、湯布院(映画祭)でも、この三人で馬鹿言ってたんだな。
丸山 割りと真面目だったですね。
荒井 この二人は真面目だった。湯布院では、荒井晴彦より内田裕也の方がシナリオが上手いという評判で、俺はクサってた。
長谷川 (笑)上手いかどうかは別にして、速いのは速いらしいじゃないか。
荒井 「十階のモスキート」三日だったらしい。
長谷川 俺かて昨日、ホン書けという話きたぜ。真面目な話、俺の映画ができるより、書いた方が早いんじゃないかと、一瞬ね、思ったりした。
丸山 俺、初対面で(長谷川氏に)"ホン屋として尊敬してます”なんて言っちゃった(笑)
荒井 いや、俺もこの人が書いてるから、書き出したところあるもの。監督になるなら、書ける助監督じゃないとアカンのかと......ライターとしては(書くスピードは)速かったんじゃないの?「青春の蹉跌」なんて一週間ぐらいでしょ。
長谷川 あれは、インが決まってたからね。うーん、速くはないけど真面目だったな。
丸山 俺なんか「青春の蹉跌」見て、東宝へもぐり込んでホン貰ってきて、一年間書くのやめちゃったんだから。原作をここまで無茶苦茶にしていいのかと(笑)
荒井 俺は久世(光彦)の「悪魔のようなあいつ」の方が上手いんじゃないかと思ったけど
長谷川 あの頃は俺も真面目に仕事してたんだなあ。
荒井 暗いなあ(笑)
丸山 いや、真面目な話、起承転結を金科玉条にしてるライター志望者としては、あの「青春の蹉跌」というのは、相当ショック受けますよ。つまり、原作というくらいだから、ある程度ホンに残るでしょう。ここまで脚本家の感性だけで書いていいのか、と。それで僕も「野獣死すべし」の時、原作はタイトルと登場人物の名前だけになってしまった。
長谷川 原作、嫌いだったからね。あそこまで嫌いな原作だと―――
荒井 それと��ホンなんて"という意識じゃないのかな。
長谷川 それより、ホンの方が、最終責任者の前という感じあるじゃない。映画(監督)は、自分がグズグズしてる分には、とりあえず人に迷惑をかけないという部分があるだろ。最終的にシンドイのは自分自身だと。だけど、ホンは書いて、クマ(神代辰巳)さんならクマさんに渡してしまえば、この人がシンドがるんだ、という自分より後にシンドがる人がいるからね。
丸山 だから(ホンを)直すんなら直せ、とういうのがあるんですね。
長谷川 俺はあった。脚本より面白くなければ、なんの為に俺以外の人が撮るのか分らないと思ってたね、口惜しまぎれに(笑)
荒井 それは、助監督がホン書く姿勢かな?
長谷川 うーん、そうなあ・・・・・・西村(昭五郎)さんがね、“ゴジ、このシーンのこことここ、明日までにいじってこよう”って、千円札をピラピラさせてやるぞ、やるから書いてこい”(笑)それに喰らいつく感じだったからね。そういう意味じゃ、書いたら映画になるんだということでしか書いてないから。で、結果、映画化されなかったホンってないものな。
荒井 俺や西岡なんかも割合、そうじゃない。
西岡 うん、まあね。
荒井 あなたはメジャー(日活)の助監督だけど、我々ピンクの助監督としては(笑)
長谷川 ああいうの、メジャーって言うのか(笑)だけど、俺なんかロマンポルノだから書けたんでしかないからね。最初、ライターがワーッといなくなって、岡田(裕)ちゃんとか伊地(智啓)とか、今迄一緒に助監督やってたのがプロデューサーになったでしょ。それで、とにかく女と男が出て5、6回やってればいいから、なんか書けよという書かし方だったから、それならひょっとしてと・・・・・・何書いてもいいのか、本当にどうでもいいんだな、と何回も念を押してね。貰ったお金も15万円だったから。
荒井 でも、最初は時代劇「性盗ねずみ小僧」)でしょ。よく、そんな大胆な――
長谷川 いや、現代劇だと、また何書いてもいいということで枠が広がるじゃないか。何か本当に書きたいものを書かなきゃいけないのかと――そんなものはないからさ。
荒井 うん、それは危険な方向に行き易い。
長谷川 たまたま、時代劇のオープンセットが残ってたんで、それが使えるからと。で、男を主人公にしないと、どうも書けそうな気はしないから、それでポルノにするには強姦魔とか分り易い発想になるでしょ。で、鼠小僧は夜這い強盗だったということで、いけるんじゃないかということになった。
丸山 「濡れた荒野を走れ」なんか、なんでポルノなのって感じだった。百%男の話ですものね。
長谷川 あれをポルノにしようというのは無理だったな。しかし、あれでも(企画が)通ったものな。あれが流れて一年寝たのは、ポルノ的でないからという理由では全然ないからね。一本目の「性盗ねずみ小僧」は、曽根(中生)さんが撮ったんだけど、書き始める時、誰が監督かは決まってなかった。とりあえず、ホンをストックしないとロマンポルノのローテーションが狂うというところで書いたもんだからね。で、書き上がって4日もしないうちに劇場で封切ってるわけだよ。現に映画になって写ってるんだから、これは凄いリアリティあったね。書くのに2ヶ月くらいかかってるけど、なんだ、あれでもいいのか、と。その後、あんなに真面目に書いたことないな。ハコ書きというものがいるんだろうと、ハコ書きを書いていったら、岡(田裕)ちゃんだったか、(佐々木)志郎さんだったか忘れたけど“ゴジ、こういうのはハコとは言わないんだ。これがシナリオなんだよ��(笑)って言われてさ。そう言われれば、シーンが書いてあって全部書いてあって、それをハコ風に書いてあるだけなんだよ(笑)あれは楽しかったな、それまで長い間、映画の仕事やってても知的な部分にタッチしたことはあまりなかったからね。土方ばかりで。それで、辞書を片手に分らない漢字を引きながらね・・・・・・
荒井 東大受験以来だ。
長谷川 あの時よりは本気だったな。
全員 (笑)
長谷川 だって受験はお金くれないもの。あの時、15万円って凄いお金のように思ったよ。「八月の濡れた砂」に助監督としてついて、丸々三ヶ月準備から入れたらもっとになるけど――破格のギャラで15万円だったものね。ホンというのは、助監督やりながら家へ帰って書いていればいいわけだから。あの頃が一番楽しかったなあ。夢があって。
全員 (笑)
■シナリオライターと監督の関係は・・・・・
荒井 しかし、最近の助監督って(シナリオを)書かないみたいだねえ。
長谷川 根岸(吉太郎)とか相米慎二)が悪い癖つけたんだな。書かない方が上手くいくらしいというのは、あるんじゃないかね。
荒井 (ライターに)書かせるというね。
長谷川 うん。(ライターに)書かせる能力というのは間違いなく監督の中で大きいところあるよ。
荒井 そうだよね。面倒臭いから自分で書いちゃうというのは、たいした結果にはなってないね。
長谷川 今、西岡と始めつつあるわけだけど。書かせ方というのが良く分らないんだな。
荒井 そこでは、根岸とか相米はたぶん上手いよ。
長谷川 そうそう。あいつらネチョネチョとーー手前ら何もしないでね。結果、ライターを最後までおさえて自分の映画にしていくというのは感心するよ。
丸山 監督が(シナリオに)手を入れないというのは、新鮮な時ありますね。ここには手を入れるなっていうの、ライターとしてあるでしょ。準備稿か何かに監督が書き込んじゃって、こういう風にやってくれないかと言われると、カーッと来ちゃうっていう時あるでしょ。
長谷川 ああ、それはあったね。
丸山 それは相米さん、根岸さん、全然ないからね。
荒井 ないね。聖域じゃないけど、犯さないというのはいいね。
丸山 ライターが大事にしてるこのシーンは"というのは、良く分ってるみたいですね。
荒井 よくいるじゃない、凡庸な人で。語尾だけ直して、ホンを直した気になって、しかも共作で名前を出す。不愉快だよなあ。
西岡 誰か、言っておけば。
全員 (笑)
荒井 これ以上、仕事減らすのかよ。
長谷川 ようするに監督というのは、ライタに対してだけじゃなくて、どれだけ周りに甘えるのが上手いかっていうことあるね。甘える顔して、実は結構アコギなことやってるんだ。それが分っても嫌われない監督というのがいい監督なんだろうな。俺はすぐバレて、しかも――
荒井 そうなんだ。だいぶ分ってきたじゃない(笑)
長谷川 (笑)苦労したからね。ずっと苦労してるから。
荒井 アコギなことしても許されちゃうっていうんじゃ、お宅の根岸、相米がそうなんだな、たぶん。
長谷川 彼等は一人名前で、誰かのホンにしろ書いたことないから。その一線があることは随分違うことなんだと思うよ。
丸山 それは本当に感じますね。
荒井 言いたい放題言って、しつこいけど、或る意味ではライターを大事にするね。
長谷川 うん。ライターに尊敬の念というか、自分にはできないことができるんだというのは強くあるよ。俺なんか相米にわしら、何もない、どこの社員でもない。ホンでも書いてないと誰も撮らしてくれんぜ"と尻叩いてた時期もあるんだよ。
荒井 相米は、曽根さんと杉田二郎ネームで何本か書いてるよね。
長谷川 一本だろう。まるまる一人で書こうとしたのは。あれは曽根さんも良くないんだけど、相米がほぼ一人で書いたやつを、会社が色々文句つけたこともあって、インぎりぎりで他のライター入れていじっちゃったんだよな。その時は、俺も��監督と喧嘩しても一人で書けよ"って怒ったけどね。相米は例の調子で、まあ、まあって......そんなこともあって、ホン書くのがあんまり楽しくなかったんじゃないかな。
丸山 「翔んだカップル」の時、この雑誌で相米さんと対談して長谷川さんが最初の作品でライターと喧嘩ぐらいしなきゃ駄目だ"って言ってたでしょう。でも、相米さんって喧嘩できないんですよね。なんでですかね。
西岡 フニャフニャしてんですよね(笑)
丸山 あの人、悩んでる時に、本当に悩んでるようになるでしょ。
長谷川 軟体動物なんだよ。そうやって(ライターは)取り込まれていく、その取り込まれようが結構気持良いんだろうなあ。ライターと監督は、やっぱり生理的な関係になっていくじゃない。そういう感じがするな。
荒井 (丸山氏に)根岸は最初に傑作だね”って言わない?
丸山 俺は言われなかったな。最初とにかく黙ってるでしょ。どのシーンが良くて、悪いか、何も言わないですよ。あの人は。
荒井 書き上げて持ってくじゃない。一読”また傑作だねえ”なんて、言うんだよ。それから始まるんだ、グジュグジュと(笑)よーく聞くと傑作どころじゃない。ほとんど直しで。
丸山 相米さんは最初"ダメ!�≠ニ一言。どこかは言わない。”お前、ダメなものはダメだよ”って。それで三日くらい口聞かないんですよ。��飲もう”って酒ばかりになる。
西岡 僕なんかの場合、"今度はこういう風に書いてみるか”って。
丸山 アレ?それは良かったなぁ(笑)
長谷川 俺なんか今、西岡とやっていて、ま俺の方に遠慮があるな。
丸山 どこまで言っていいんだろうかと?
長谷川 うん。(レナード)シュレーダーと(太陽を盗んだ男)やった時というのは、これは特殊ケースで、海の向うとこっちで、IとYOUしかないような、英語という都合のいい言語でやり合うわけだから、割りと気障なことも言えるんだよな。"この脚本には愛がない”なんて平気で言えちゃう。日本語というのは、会話でやっていく時、その回路をどこで見つけるかが分らないところあるね。
丸山 照れちゃうからね。それに、話してる間にエクスキューズ入れられるところあるでしょ。語尾を否定にするか、肯定にするか。やっぱり若い監督も、田村孟さんとかとガッチリ組んでやるべきなんでしょうね。若いライターとばかり組まないで。
長谷川 どうなんだろうねえ。孟さんという人も特殊だけどな。だけど今や、テレビ書かないのは、この二人(西岡氏、荒井氏を指して)だけみたいな映画界の状況があるとすると別にテレビ書いたからどうだじゃないんだけど――予測の立たない時間を一緒に付き合ってくれる人というのが、物理的にいないだろう。それは監督の甘えなんだろうけど、あの人ならば、まだ海のものとも山のものともしれない段階でも一緒にグジャグジャ話してくれるんじゃないかという人がね。あの時、俺にとっては田村孟さんしかいなかった。今回もかなり悩んでさ......ともかく今一番若くて元気なのは誰か、そいつは今、忙しいのとか言いながら、よく聞くと、全部うちの会社のもので忙しいんだ。それならちょっと割り込めるんじゃないかと・・・・・・
西岡 狡いんだよ(笑)。うちの会社のをやってくれて有難う、俺のは一番最後でいいから何んとかならんか”なんて言っておきながら、すぐ電話かけてきて俺(刑務所に)入るから、その前にシナハンでもしておかないとな”って。ゴジさん、いっちゃん最後でよかったと違いますか。皆んな押しのけてね。挙句の果てが「人魚伝説」まだ書いてなかったら、俺のを先にやれ、なんて(笑)
長谷川 弱ったもんだ(笑)
丸山 若い人と、相米さん、根岸さん、今度大森さんとやって、気持はいいんですが、こういうことばかりやってていいんだろうか、という感じありますね。ジェネレーションの違うベテランの人とやらなくていいんだろうかという思いがあります。
長谷川 ベテランでも可能性のあるベテランというのはいいんだけどね。それと、ベテランというからには、我々が幼少の頃、憧れた映画を一本や二本は作ってるじゃないか。それと現在とのギャップというのはあるんだよな。
西岡 それはありました。誰とは言いませんけど(笑)
丸山 それで、夢のゴールデンコンビは、いつ頃入るんですか?
長谷川 入るのは・・・・・・そう難しいことじゃないんだよな。
西岡 入るまででしょうね。
長谷川 ワッハハハ。
荒井 (西岡氏に)湯布院で言ってたじゃない。来年、半袖になる頃じゃないかって。
西岡 2回ぐらい長袖着た頃じゃないかな。
全員 (爆笑)
荒井 今年、(湯布院映画祭で)ゴジを呼ぼうと思ったらしい。それで、大分刑務所へ移管させようという話があって。実行委員に一人、刑務官がいてね。
長谷川 そんな病気みたいなこと考えおって(笑)刑務所をナメとんのか(笑)しかし、根岸や相米に”お前ら、ホン書かないと生き残れる監督になれんぞ�≠ニ言ってた時期もあったけど、今や偉そうなこと言えなくなったよな。
荒井 あいつらの戦略は、気心の知れたライターを掴まえて、グジュグジュやった方が、何か見つかる可能性はあるんだ、という......いざとなったら(ライターを)捨てりゃいいんだというのが、どこかにあるんだ。
長谷川 それと相米にしてみりゃ、ホンで表現するのは不得手だと、自分で確信持ったんじゃないかな。俺が「太陽を盗んだ男」を書いてた頃に、あいつと、今うちにいる黒沢(清)君と、二人傍にいてやったわけだ。で、あるシークエンスを、ヨーイドンなんて言って始めると、黒沢は若いからバンバン具体を書く、俺もまあ書くわけだけど、相米は、理論みたいな論文を書くわけだ。
丸山 そうそう。
長谷川 "お前、なんぼ学生運動家くずれでも今はシナリオ書け”って。こんな観念的なこと幾ら書いてもしゃあないんだって。
荒井 言われてるようだ、俺に(笑)
長谷川 しかし、こっちは逆に具体の中に浸りすぎて観念とか意味は見えなくなってきてるからどうだ、ここはこれでいいのか、この意味は”なんて言うと“うーん。まあいいかな"って(笑)あいつが言うと、次に進むみたいなことだった。だから、あいつが監督やってたんだろうな。
荒井 うん、そうなんだ。根岸もそうだよ。ただ一点。こっちに“お前、書けないだろ"と思わせるところが相当なところなんですよ。ライターにしてみれば、その強みを持たせられているのが励みになるんですよね。
丸山 そうそう。
荒井 根こそぎ持ってかれるとね。あの人自分で書けるから、最後には自分で書くんでしよ、みたいになって、殆んどやる気にならない。
長谷川 今、西岡とやりかけていて、その辺のところ。どうしたらいいか教えて欲しいよ。
荒井 西岡は打たれ強いタイプだから。だって、相米やって、次に池田(敏春)で、プロデューサーが根岸という、三人のグジュグジュを相手にしてるんだから、もう大丈夫だよ。
長谷川 俺がどうしても駄目なのはさ......沈黙に弱いんだよ。沈黙が続くと、なんか自分が悪いことしてるんじゃないかと思うんだよ。そこで何か面白いこと言って喜ばさなきゃいかんとかさ。
丸山 芸者になっちゃうんでしょ(笑)
荒井 初めて監督やるみたいじゃない(笑)
丸山 沈黙に強いのは、根岸、相米組ですよ。平気だもん。
長谷川 あいつら、人に気を使わないから。僕、気を使うから(笑)
荒井 クマさん、パキさんもそうだな。こっちが黙ってうなだれていると気を使って“ちょっと飲むか"とか"麻雀するか”とか、向うから言い出してくれる。根岸、相米は平気だものね。
丸山 部屋の隅っこに行って頭かかえちゃって、どっちがライターかっていう感じになっちゃうから。
西岡 (暫くの沈黙が続いた後)皆んな、ええ人ですよ。
全員 (爆笑)
長谷川 バカ!(笑)
西岡 付き合うてるのが、日活系の人ばかりでしょ。なんでやろね。
長谷川 結局は日活に一番たくさん子供がいたんだろうな。ええ年になってても。他の擬影所は、そういう子供みたいな部分を残した人は、とっくにいなくなっちゃったんだろ。それと、皆、本当に貧乏だったからね。東宝あたりの演出部のギャランティと比べると半分どころか、もっとギャップがあった。そうすると、いつまでも学生気分でいるわな。東宝なんかで、取り敢えず一本撮ったりなんかしてると、リアリティもって成城のどこに家を建てようかという気持になれちゃうんだから。
■プロデューサーとは・・・・・・
荒井 その夢のゴールデンコンビの製作はディレカンなの?
長谷川 ディレカンと又(山本又一朗氏)のところと提携してやろうということで......
荒井 あの人はどうなんですか。一度、会ってくれって言われて会ったけど、全然話が噛み合わないんでね。
長谷川 うん。ライターと一番接点を持ちづらい人だろうねえ。やってきた映画の関りようが、ャッ流の我儘主体でやってきてるだろ。難しいことも考えるけど、できるだけやさしい映画作ろうよっていう感じできてる。難しい映画―――というのも妙だけど、ちょっと理屈がありそうだったり、彼の理解度を越えるものは、メジャーじゃないからだ、と決めつけるんだな。
荒井 喋ってて“お客さんがいい気持で帰っていくのが映画じゃないか�≠ニ確信に満ちた感じで言われると、こっちは”だったら僕と逆ですね。僕は殆んどお客さんを悪い気持にさせて(笑)帰させたいと思うタイプですか"と。
長谷川 俺なんかがプロデューサーとして評価するのは、その辺の部分じゃなくて、俺にとってプロデューサーというのは足りないものをやってくれる人がいいわけだから――仕掛け方とかね・・・・・・だって本当の意味のプロデューサーって少ないだろ。銭のリスクまで自分で背負ってという――
荒井 監督と喋ってる段階は、それでいいかもしれないけど、ライターはそれじゃ違うんだという......
長谷川 それはそうだ。散文も韻文もやらなきゃいけないのが監督で、散文だけやってればいいのがプロデューサーだとすれば、ライターは韻文なわけだよな。散文と韻文の直というのは難しいよ。