ミーハー気分で映画監督になってはみたけれど

・・・監督自身に出ないんですか?

長谷川 オレは必ず二秒くらい出る。

「太陽を盗んだ男」にも出てました?

長谷川 出てたよ。アレがわからないと、トーシロなんだよ。ロードショーの頃はちゃんと拍手もきていたんだ。でも、そうゆうことを喜んでいるから、映画撮らなかったりするんだな。

(笑)何で出るんですか?

長谷川 オレはミーハーだから。映画やろうと思った原点もミーハーからきているんだ。それこそ「健さんと一緒にメシが喰えればいい」みたいな。たまたま、オレの高校の友達の兄キが「網走番外地」の助監督やっていて、見せてもらった写真に、そいつと健さんが写っているわけ。「アー、こういういいナァー」って。たまたま、その人が助監督だったから、オレは助監督になったんで、もし大部屋の役者だったら、役者になっていただろうね。

あえて、役者になろうとは思わなかったわけですか?

長谷川 実は文学座の役者志望で応募したことがあるんだ。当日、タイツはいて、踊らなきゃならないんでやめた。役者って趣味でやる分にはかまわないけれど、あんな、おかしくないのに笑ったりできるかってとこだね。恥ずかしい商売だから、恥ずかしいのが好きじゃないとできない。だけど、死ぬまでに一本くらいはあってもいい気はするな。主演・脚本・制作・監督みたいなヤツ。もう時効だから、言ってもいいだろうけれど、わりときっちりした役がきたことあるんだよ。その役を草刈正雄がやったりしてさ。

エー!でもわかる気がしますね。役者さんと二人でいても、監督の方が目立ちそうですものね。

長谷川 芝居しなくてもいいからね。今平さん(今村昌平)の神々の深き欲望」の沖縄ロケの時、スタッフとして参加して、弁当運びとかやっていたんだけれど、役者が足りなくて「夜這い青年A」をやらされたんだ。少くとも弁当運びよりは楽しいわけだ。今日は役者だから、天気待ちって寝っ転がっていてもいいんだもの。楽しかったよ。その頃、日活のベテランスタッフに「脚本や監督なんて誰でもできるんだから、お前役者になれ」なんて言われたんだ。

ぐらつきました?

長谷川 うん、ちょっとぐらついた。だけど今平さんの映画だったから監督が一番かっこよく、見えて、あんなに威張れるなら、いい商売だなあと思った。

わがまま言いますか?

長谷川 わがままなんてものじゃない。今から思えば、オレにとって最初の映画だから、監督ってのは誰でもあーいうものだと思っていたんだ。何してもいいんだもの。これは自分には向いていると感じたね。わがままの末っ子だから、上手に妥協点見つけてやっていくっていうのが下手なわけ、円満にやるのがだめなんだ、サラリーマンみたいのって安定していないとだめでしょ?オレみたいな銀行員いたら困るわけだ「昨日はない」って言ったのに、「今日は気分がいいから貸す」っていうのは困るよな。監督ってはそれでいいんだ。今日は気分がいいからOKってできる。普通の社会ってそれは許されないもんな。気にいらない理由も言わなくていい。そんな我儘が仕事だって。

(笑)お金にもなって

長谷川 マッお金はあまりもらえないけれど、リッチにならなくても、腹が立たないんだよ。それに五年撮ってなくても、一応、映画監督なんて言われる。そんな商売ないぜ、普通元が付くよな。

(笑)そうですね。

長谷川 そういう意味じゃ、社会的に存在している錯覚があるな

仕事作品が常に、映画館上映されたり、ビデオになったりして皆の中に残りやすいんでしょうね。

長谷川 ああ、そうか。TVのディレクターはよくそう言うね。たとえば久世さんなんかはオレよりもっと優秀な東大生で、インテリで稼いだのに、映画にコンプレックスあるね。って聞いたら、「映画は残るから」て。テレビは何局もあって、ほとんど日中、番組をたれ流しているんだから、それが残るとか残らないとかなんて考えられないって言うね。映画ってサ、〇〇監督作品ってあるじゃない。テレビじゃ、そうゆうのないもの。ライターの名前が最初に出てくるんだ。ライターがテレビに流れるのわかるよ。テレビに行ったら「先生」だもんな。局にずいぶん、知ってるディレクターがいるけれど、何しているかっていうと、撮りの前日に台本に、

線引いて(笑)

長谷川 あれで仕事が終わりなんだよ。あれには驚いた。オレは現場にはコンテ持って行かないんだ。面白くないから。現場で色々やって撮ればいいんだから。オレは助監督の時、一番さっそうとしていたから、能度でかくて、面白いヤツってことでスタッフに愛されていたんだ。ある新人監督とやっている時なんかは、ヤツはオレに台本隠すんだよ。それなのに皆、オレの所に聞きに来て困ったよ。でも、本当に力のある監督はそういうオレを上手に使っていたね、「バキさんの映画はゴジが監督していたみたいだ」って言われていても、見かけがそうなだけなんだよ。パキさんは言語障害みたいだから、「○×△」をオレがスピーカーやって、「そうだよな、パキ」って言うと、「xxxx.うん。」何言っているかわからないから、はたから見ているとゴジがしきっているように見えたけど、パキさんは固たる作家だから、オレなんか思いもしないような部分を入れて作ったりするね。そういう方がこっちも楽しいわけよ。そんな力のある監督とやる時はいいんだけれど力の無い新人・旧人の場合、オレは現場にいない方がいいわけだからロマンポルノの頃はよくサボったな。一週間のうち、現場に行くのが二日位で、必ず遅れて行って、前から居たような顔するんだ。あの頃、碁が強くなったな。十級から初段になったよ。もっとズゥーズゥーしくなってくると、裏にあった陳清波の打放して二五〇ヤードをポンポンしていたよ。そりゃ、やっぱりだめだよ。今、こうやって、苦労しているのは当たり前だよ。

最近のような面白い助監督さんいますか?

長谷川 五年も撮ってないから、わからないんだよ。五年の間に、皆監督になっちゃったんだよ。

撮ったものに対して、後悔はありますか?

長谷川 うーん......しないでありたいと思うが...間があくとするな(笑)なんてったって本数が少いんだからさ。辛いことに何年かたって、テレビで放映することになって、20分切ってくれってことで、また監督の目で見直すんだ。まるで歳くった出戻り娘に化粧してやっているみたいだね。もう、ちょっとオレも撮らなきゃだめだな。これから量産体制に入るからね。まアこれは冗談だけどね。アッ冗談と言えば、「太陽を盗んだ男」のプレミアショーで割りと評判良くて、皆に「こけたら、5年撮れなくなりますので、ヨロシクお願いします」って言ったら、本当に5年たっちゃったんだな。「ル・トゥケへの道」がレース中心の作品じゃない理由は・・・

全くのドキュメンタリー!

長谷川 そう、たまたまメンバーに「高橋がいて「どうせやるなら、うちの会社でやって、少しもうけよう。監督はお前だって、もう先方に話してあるから」なんて言うわけだよ。「お前らは遊びでオレは仕事で行くのかよっ」て。マ、仕事でもなきゃいかないけどね。応援でなんかで行くか。TBSになるまで、他ずいぶんタライまわしされたね。レースメインだと、三〇〇万円じできないのを知っていたからね。まして外国だし最後にTBSが「レースなくていいです。そのレースに向けて走る姿があれば、ってことで決まったんだけど、あんまり面白くないから、やめようと思ったね。でも、そうしたら、ヤツらは行けなくなるから・・・やることにしたんだ。でも、何もないところから、オレは番組を作らなきゃならないんだぜ。パリからルトゥケまでは四時間しかなくて、その四時間じゃ、どうやっても番組なんかできないんだ。それじゃ遠回りして行こうということになった。

ドキュメンタリー映画にしようという考えは?

長谷川 ただ、タレント共がオートバイに乗って出てます、なんてもの誰が金払って見るか。

ル・マンみたいな形では?

長谷川 ル・マンに出るわけじゃない。それに優勝目指しているわけでもない。その出演者のキャラクターを見せるってことしかないんだ

ルトゥケに行くまでの彼らのはしゃぎようと、コースを見て愕然とするその落差が大きくて、笑ってしましました。

長谷川 千人位の出場者の中で、ヤツラは一周できればいいというレベルだろ。(トップは12周)。そのレベルのヤツラがマジに青くなったりするんだな。根津(甚八)が一番青かったね。シリアスだもんな。ツアーの中で一番イヤがったね。「こんなもので来ているんじゃない」って思っているから。「このタコ!」って殴ってやろうと思ったけど、レースが始まるとヤツが一番かわいかったね。スジが通っているんだだから、エンジンがかからないシーンが長めに使えたんだ。

誰かが助けるのも拒否して

長谷川 あれは意地になっているんだ。いい顔していたでしょ?!?!?!

そう。

長谷川 完走したヤツが720人くらいいて、アイツは720着位だったからな。あれは勝ち負けのドキュメンタリーじゃなくて、タコがどのくらい頑張れるかっていうドキュメンタリーだから。当日だけカメラを4台入れたんだ。オレは少しサボる気もあって、ヘリコプターにしたんだけど、その日は30台くらいヘリが飛んでいて、オレらのヘリが一番安いんだじじぃの個人タクシーみたいなヤツでサ。(笑)

低予算ですものね。(笑)

長谷川 ツアーの間、やらせは絶対にしたくなかったんで、カメラをズーッと回しにしていたんだ60時間分回しちゃったよ。40分の番組で100%のうち1%しか使えないんだ。あとの99%は捨てる作業なんだ。撮っている最中はいいんだけど、編集が大変で、番組とビデオ2本作るのに2ヶ月かかったよ。ラッシュ見るだけで10日間だもの、最初見たのを忘れているんだ。印なんか付いているんだけど、何の為に付けたかナァッって感じ。やっぱ、長いものつめるのは大変だなあ、とそれにテーマが無いから、見つけなきゃならないんだ。ただ、それは逆の作業だから面白いよ。それにドキュメンタリーって充電できるね。ドラマってのは自分に溜ったものを放電する作業だね。オレはカラッポの間は充電の仕事をしていればいいと思っているんだな。だからドキュメンタリーやってきて、後悔はないよ。後悔するのは仕上げしている時、「何でこんなの見ているんだ」って。昔「ワールド・ナウ」って番組やっていたんだ、人の行きたい所に行っていたね。用意された企画書なんて無視して、行きの飛行機の中で、ガイドブックなんか見てるわけ。(笑)「ワァー、メキシコにも牛があるんだな。」とか、そんないいかげんに行くわけ。実に楽しいね。映画っていうとクルー50人くらいで行くんだけど、オレ達5人でいいわけ。オレはレポーターも兼ねてるから、オレが楽しきゃいいんだよ。番組の予算もい少ないし。仕上げさえ無ければ、仕上げを人にまかせるいいかげんさがあれば、本当にいい人だよ、オレは。

そこまではできない?

長谷川 なんか真面目にやっちゃう。視聴率3%くらいの番組を2ヶ月かけてるんだ。でも、あれは面白かったね。オレはドキュメンタリーはビデオ以外では撮る気がしないね。

フィルムに対するこだわりは無いですか?

長谷川 テレビで見せる限りはビデオでいいんだよ。3/4までだったら編集もできるよ。

本編の監督ビデオをそこまでやる人っていないんじゃないんですか?長谷川それはオレが本編撮っていないからだよ。

(爆笑)

長谷川 本編の監督やっている時は、神様にならなきゃだめなんだよ。ドキュメンタリーも独裁者になるんだけどね。たとえば、ドキュメンタリーの時は隣り組のガキ大将でいいんだけど、映画の方は、生徒会の会長くらいにならなきゃならないんだ。そのめんどうくささはあるね。とにかく、充電と放電とを交互にやるのが理想だな。オレは交互の片方が長過ぎたけれどな。(笑)ムショまで行ったし。ムショでも充電したし刑務所ドラマっていうのはどうだろう・・・

どのくらい、入っていたんですか?

長谷川 半年だけどね。ほとんど満期。もっと悪いことしてくればよかったよ。

何もやることは無いんでしょ?

長谷川 そんなことはないよ。作業だよ。1日8時間労働外にいた時が夢のようだった。立っているのが苦しくて泣いたことがあったもの。ワルばっかり集められて、一番チェックが厳しいアルミ工場に入れられてたからね。最初の3週間は東京拘置所で、1日2言しか言えないんだ。朝と夜の点呼。八八四番だったけれど、突然ドアが開いて「番号」って言われるんだ。こっちは正座して一言「八八四番」。するとまたドアがバタンとまる。それが1日2回。他に何も言うことが無い。独房だし、これは辛いぜ。

格子じゃないんですか?

長谷川 三畳くらいのスペースで、ドアには小さな窓しか付いていない。寒かったよ。頭は丸坊主にされてね。どうせ刈られると思っていたから、野郎共に刈られるくらいならって、送別会をやってもらった時、昔に髪切ってもらったんだ。中には泣いている女の子もいたりして・・・オレも、もらい泣きしちゃったよ。(笑)

アッハハハ。

長谷川 初めて、坊主になったよ。ほぼ二分にしたんだ。百人近くいたけど遠慮するんだな。チビチビ切るんだ。(松田)優作だけがガツーンとやって、そこだけ、エグレたようになっていて、後でプロの人に直してもらったけど、修復できなかったよ。これイイと思っていたら、そんなもんじゃない。もうコリン、コリン。優作以上。全部ツルンコ、ツルンコ。

バリカンですか?

長谷川 そう。鏡も無い床屋で、やっているのも囚人「おめェー何やったんだ?刑期は?」って聞くから、「六ヶ月」って言ったのを六年と聞き違えて、「殺しか?」だって......。

(笑)

長谷川 (笑)すげェ所に来たと思ったね。坊主ってあんな寒いなんて思わなかったし。夜中でも、指にツバつけて風向きがわかるんだよ。

窓が開いているんですか?

長谷川 窓には、ガラスも入っている。要するに合ってないんだ。オレ暑いのは大丈夫だけど、寒いのはだめなんだ。壁にはタレントの写真が貼ってあるんだ。自分で持ってったんですか?

長谷川 バカ言うなよ。

前に入ってた人が・・・。

長谷川 違うよ。全部そうゆうのって、看守が貼るんだよ。奇数房はその子の写真で、偶数房は富士山だったよ。偶数房じゃなくてよかったよ。(笑)

話しかけるんですか?

長谷川 それはしないけれど、ラジオだけが流れていてね。「水雨」だったよ。朝から晩まで

思わずホロリ。

長谷川 イヤそういうことじゃ泣かないんだよ。ガキからの手紙もらった時に泣いたね。手紙だから「おとうさん」って書いてあるんだ。白けるけど「おとうさんのいない毎日は退屈でつまりません」とかなんとかあるのを読んで、ガクっときたね。退屈だっていうのはリアリティーがあって、一晩泣いてたな。

友達だいぶできたでしょ?

長谷川 大変なんだよ。極道ばかりだよ。

刑務所でも......?

長谷川 こいつには恩だなってヤツはいるな。体力あったからなんとかなったけれど38才がじじだっていうのがムショでわかったよ。大体22-25才の体力のあるヤツがのしているんだ。オレはそれがわからなかったから。とにかくオレに話しかけてくるヤツで面白いヤツとつき合っていたんだ。それが大体、名主だったな。あるヤツが英語教えてくれって来たんだ。子供に刑務所に行くって言えないから、「とうさんはお仕事でアメリカへ行って来る」ってことにしたんだけど、「自分英語の成績が1で全然だめだって言うんだよ。何しろ、I・MY・MEがわからない。「ThisisaPen」みたいな基本から教えてやったら、必死に覚えていたよ。それで、ショージってかわいがってやっていたんだ。ナント、そいつ大ボスだったんだ。大ボスの先生だから、オレ、偉い人になっちゃったわけ。面白いヤツラがボスってことがわかって、すいぶん楽になったな。別格扱いで、ソイツらが告白したけれど「今度、映画監督が来るから、皆でシメてやろうぜ」て言ってたんだって。でも、オレはそんなこと知らないから、「ヨォー」なんてやっちゃったしな。

(笑)

長谷川 運動の時間になると、オレぐらいの年の人はボーっとしているんだけど、オレ、すぐにピッチャーで四番打ってたな。三塁にヘッドスライディングとか、一生懸命やるんだよ。で、思ってたより、インテリにじゃなくて、バカだってことがわかって、近づいて来るヤツが増えたんだ。人間関係ができると、人間と生活している気になるからな。絶対に刑務所ものは撮ってやるからな。見とれ!ムショ帰りのきっちりしたヤツ撮ってやるから。で、その為にはもっとまともな長い刑務所へ行かないとな。

(爆笑)

長谷川 それ行ったら、もう映画なんか撮れないもんな。オレサ、刑務所始って以来のIQと学歴なんだよ。すると当然、図書なんかのホワイトカラーの職場にまわされるんだけど最終審査で、「あれは出所したら、絶対に刑務所のこと書く。実情を知られちゃどうしようもない。ってことで、結局はアルミ工場。そこには、名うてのワルとか罰帰りとかが集っているんだぜ。たとえば字の書けるヤツが書けないヤツに教えていると2人共罰なんだ仮釈もなくなる。

へエ

長谷川 運動神経で、仕事を分けるんだよ。ABCって。オレはAだったから、プレス工になって、次々に来る後輩に、教える能力ないのに教えていたんだ。そしたら指をプレスしちゃって。2mしかなかったよ。日常生活の比じゃなくて不便だったね。片手っていうのは。パンツも洗えないんだ。でも、オレのパンツを洗ってくれたヤツがいたんだ。暴走族あがりの千葉の自動車セールスマンでね。

それも罰に。

長谷川 そう。いいヤツだよ。自分の財産をかけて映画を創る人に私はなりたい。

フィルムとビデオの違いについてはどう思われます?

長谷川 差別というより区別して、使い分けたいね。映画やってない時はビデオやるって具合に。ビデオはここ何年かでスゴク進んだけど、映画は進んでない。だったら映画という表現はないだろうね。「20世紀には映画というものがあったんだ」ってなことになるよ。ただ、ビデオというものは大体、部屋で見るよな。それはプライベートな空間なんだ。昔映画館にはある種の夢を持って行くんだ。あの時間はお祭りだよ。一人でも、面白くないし、お祭りも一人じやできない。マ、映画館っていうのはかりそめの場所なんだな。1500円でスクリーンが自分のものになる。ビデオ空間は趣味的空間だ。音楽にたとえれば、映画がライブだったら、ビデオはリスニングルームだな。お祭りの場としての映画館は淘汰されて残るだろうな。ポルノ的なものは個人的に見る方が楽しいから、ビデオは残るよ。鶴田プロデューサという仕事は面白いですか?

長谷川 面白いよ。面白いことは好きだね。又もそうだけど、ただアイツはマイナーなものを肯定すると自分がだめになると思っているんだ。たとえば「自分が面白くないと感じた「二〇〇一年宇宙の旅」を素晴しいなんていう人間の80%はスノップだ。ゴジは友だちだけど、キューブリックは友だちじゃないからな」なんて言うんだよ。ヤツも、もう少し、マイナーとメジャーの区分けがうまくなって、もう少しドン欲になれば、もっと大物になれるのにな。ただホラ吹きじゃつき合わないよ。マア、日本じゃ、映画を創るプロデューサーは又と角川春樹、西崎(展)ぐらいじゃないかな。西崎はヤマトをやって、どこへ行っちゃったんだろう。「妖星伝」をやっているって話は聞いたけど・・・角川はね、本を売ることとして、映画も売ろうとしているんだけど、そういうのは面白いよ。だけど映画があまりにコケたら、また本に逃げるだろうな。

そうでしょうか?

長谷川 7年前に角川と対談する機会があって徹底して批判しまったんだな。きっと恨んでいるだろうな。でも、うちの監督(根岸、相米)も、ずいぶん、角川映画で食わせてもらっているから、そろそろ仲直りしなくちゃならないな。

そもそも、ディレクターズ・カンパニーを作った理由というのは?

長谷川 さっきも少し言ったけど、日本には銭のリスク背負って、独立してやっているプロデューサーが少ないんだ。大体が、今のプロデューサーってのが監督になれないから、プロデューサーやっているみたいだもんな。だったら、オレでもできるって、ディレカン作ったんだよ。映画は銭があると面白い遊びだからね。とにかく、オレは銭のリスクを負いたいんだな。又とやったら、リスクは負えない。だってゴジがいればいいって感じなんだもの。ただヤツが持っているアイドル企画じゃないと大きな予算はとれないんだ。一本あてないと、監督はだめなんだよ。

当てようとは思いませんか?

長谷川 当てようと思わない監督はいないよ。だけど、こういうのは(当たる、当たらない)くせだからな。当たるか当たらないかはいつも考えているよ。でも、決った方法はないんだ。「太陽を盗んだ男」以来、実に5年ぶりの監督としての作品は、前号で掲載した通り、オカルト的でなく、超能力超常現象を扱った冒険映画。脚本を書き終えたゴジ監督の頭の中を占めているのは、主役のことか、ロケ地のことか、お金のことか・・・。




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