総監督鴫野彰

PROFILE

国際映画社で『ななこSOS』の監督を務めた後、『チックンタックン』から、スタジオぴえろの仕事に参加。その後、「魔法のアイドルパステルユーミ」「おそ松くん」などの監督を担当。現在はスタジオぴえろのデジタルアニメーションルームの室長を務めながら絵コンテを描いている。



一鴫野さんは、どういう経緯で『パステルユーミ』と関わることになったんですか?

鴫野 僕は、『ユーミ」をやる前は『星銃士ビスマルク」をやってたんですよ。で、『飛影』に入って、第2話をちょっとだけやったんです。そのころに、この話がきて、それで抜けちゃったんですけど・・・。前の魔法少女シリーズは、ほとんど見てないんですよ。で、急遽この話があって、そのときにはほとんどのスタッフが決まってて、監督ぐらいが決まってなかったんじゃないのかな。だから、だいたい話ができあがってるところから入ったんで...。そういう状況だったんで、前の話が結構マジメっていうか、結構シリアス系な話だなぁというぐらいしか知らなかったんですよ。だから、僕としては前のがこうだから次はこうしようっていうのが、ほとんどなかった・・・考えもしないで入っちゃたんです。

一特に思い出に残っている話数というのはありますか?

鴫野 第15話の『妖精がくれた音楽会』・・・ユーミがバイオリンを弾く話ですね。あのときの、ユーミが練習しているときのバイオリンは、僕が自分で弾いたんですよ(笑)。それを思い出しました。練習のときにギーギーいってるやつ。僕も、家にバイオリンがあったんで、ちょうど練習してたんですよ。それで、当時は新坂スタジオで録音をやってまして、そこに持ち込んで録ったのを思い出しました。

一実際に演出してみた感想としては、いかがですか?

鴫野 もう、遠い昔のことですからね(笑)。でも、やっぱり、女の子ものっていうのは、非常に難しい感じがしましたね。この作品の後が(男の子ものの)「がんばれ!キッカーズ』だったんです。それは非常に燃えてできたんですけど、『ユーミ』は、どうやったらいいのかなっていう感じが結構ありましたね。だから、自分としては、あんまり納得のいく作品ではないんですけど・・・。もうちょっと、なんとかできたんじゃないのかなっていうのはありますね。

―『ユーミ』の前に女の子ものをおやりになったことは?

鴫野 ほとんどないですね。『ななこSOS』っていうのがありましたけど、あれは男の子向けの作品なんで、どっちかっていうと・・・。だから、女の子の心情を描くっていうのはやっぱりわかんないですよね。男にとっては(笑)。

一作品の中でも、かき丸とケシ丸が「女心がわかんないのね、アンタは」みたいなセリフをよく言ってますけど、じゃあ、それはもしかすると監督の心情だったりして・・・(笑)。

鴫野 結構、どっちつかずな作品になってしまいましたね・・・「エミ」 でもないし、『マミ』でもないし・・・。どういう方向に進んでいいのかが大体つかめたのは、第17話の『ユーミちゃん気をつけて』のあたりじゃないかな。「あ、こういうのがいいな」っていうふうに自分では思いましたけど。ちょっと童話をパロってっていう、そういうのが・・・。『エミ』からすれば年齢層は下がるでしょうが...。「ユーミ』は多少年齢層は下ですよね、『エミ』とかに比べれば。だから、そういう方がいいのかなって・・・。小学校6年から中学生ぐらいの女の子っていうのは、やっぱりちょっと描きづらいですよね。

もうちょっと、こうすればよかったかな、というようなことはありますか?

鴫野 もうちょっと一生懸命やればよかったかな~っていう(笑)。まあ、あの当時は一生懸命やってたんでしょうけど・・・。でも、たとえば「魔法の時間」の設定が結構いいかげんであるとか、わりと性格的に、そういう細かいことを気にしない方なんで(笑)。

今だったら、こうするだろうな、というのは?

鴫野 最初から『ユーミちゃん気をつけて」みたいな感じで話を作ってしまいたいですよね。全部、童話のパロディーで・・・。なんか、バラバラなんですよね。で、結構、演出によっても違ってきちゃつてるし・・・。片山(一良)君なんかがやると、やっぱり「エミ」とか、そんな感じが残ってるんで・・・。立場(良)さんもそうですよね。話自体もそうだけど、演出的なことも結構バラバラで、そのバラバラなのがやっぱりいちばんいけなかったんじゃないかなっていう気はしますけどね。

総集編の構成は、かなり凝ってましたよね。

鴫野 総集編は、なんか楽しかったような記憶があります(笑)。バンクを使って、いろいろ混ぜてやるっていうのは、それなりに楽しいんですよね。

―セリフを変えたりとかして、結構苦労したんじゃないですか?

鴫野 ま、そういうのを考えるのが楽しいんですよ。

―『ユーミ』は、今までの魔法少女シリーズとは、あえて違うものをやろうとした作品じゃなかったかと思うんですが?

鴫野 確かに、今までとは違うことをやろうっていうことで僕が選ばれたと思うんですけども...。それはそれで、うまくいけばよかったのかもしれないんですが...。新しいものがちょっとだけ見えてきて・・・。続いてれば、もう少し方向性が見えたのかな、と・・・。

特に、最終回の話とか、もうちょっとヒキがあってもよかったんじゃないかという気がするんですが。

鴫野 全然なんにもないですよね(笑)。突然ですよね。あれも結構、シナリオ変えて、コンテ変えたと思うんですよ。だいたい、1話って、すぐ作業に入っちゃいますよね。作品が動き出したら。で、2クールぐらいは知らないうちにどんどん流されていくっていう。それが終わったころから少しずつ、「あ、こんな感じ」って・・・。そうして、アフレコやったりなんかしてると、また、だんだん自分の「こういう方向がいいのかな」っていうのがわかってくる・・・ちょっと遅すぎたのかもしれないですけど。

魔法少女シリーズに限らないんですけど、まず1クール、やりたいことは2クール以降って聞きますけど。

鴫野 そうですよね。あんまり長く続きすぎると、また飽きてきてダメなんですよね。これも、2年ぐらい続いてたらもう全然違うものになったかも知れないですね。そういう意味では、締めくくりの作品ですよね。

魔法少女シリーズは、一旦これで終わっちゃうわけですが・・・。

鴫野 みんな私のせいです(涙)。

鴫野さんにとっては、いささか心残りのある作品ということですか?

鴫野 「キッカーズ』も・・・なんか「キッカーズ」のことばっかり言ってますけど(笑)・・・『キッカーズ』も半年で終わったんですよ。半年ぐらいで終わったものって結構心残りになりますよね。「おそ松くん」みたいに2年もやってると、「燃えつきました」っていう感じになるんだけど・・・(笑)。作品やった後って、なんか満足感っていうのは少ないですよね。いつも後悔してしまうという・・・。だから、作品のことを後から話すのは非常にイヤなんですよ、グチばっかり出てしまって(笑)。

戻る inserted by FC2 system