ねぇ、もう見てくれた?「パステルユーミ」えっ?見なかったの。せっかくあんなにガンバったのに......。じゃあ、見なかった人のためにもういちど話すよ。
まず、あたしの名前は花園ユーミ家はお花屋さん。きれいなお母さんとやさしいお父さんの3人家族。
お父さんはふだんやさしいけれど、お花のことになると人が変わつちゃうのが困りもん。だけど、そんなお父さんが大すき!
大すきっていえば、お店で働いている恭平さんも、大、大、大すき!だって、とってもカッコいいんだもん。あたし大きくなったらゼッタイ恭平さんの恋人になるんだ。
えっ、なに?「魔法で変身すれば」って?それがダメなんだよ。だってあたしがもらった魔法は、変身することができないんだから。
でも、絵に描いたものを本当に出すことはできるんだ。あーっ、信じてないな。だったらいっぺん見てごらんよ。きっとあたしのファンになっちゃうから。いいね、約束だよ!
春だぞ!ステキな季節がやってきたぞ。レンゲ・菜の花・チューリップ。お花だってこれからが本当の季節。あたしも春になったら、いろいろやりたいことがあったんだ。
まずね、いっとう最初にやりたかったのはお花見。去年はお父さんの仕事が忙しくてできなかったけど、今年は「この日はなにがなんでもゼッタイ休む」っていう日を、いまから約束しているんだ。でも、なんだか危なそうだなぁ......。
でもね、もしダメになっちゃったら恭平さんが遊園地に連れていってやるって、いってくれたんだ!さすが恭平さん、あたしのこといっても考えてくれてるんだから。恭平さんと遊園地に行けるなら、お花見にムリに行かなくてもいいかなぁ、なんてね。ちょっとズルイかなぁ、エヘヘッ......。
それからつぎにやりたいことはねえ............えっなに?!?!もう終わっちゃうの!ヤダヤダ、しゃべりたいことまだまだいっぱいあるのにィ。エーン......。
どーも、はじめまして。ボクが三沢健太です。そのユーミちゃんとは小さいころからずーっといっしで、まあ幼なじみってところですね。
えっ?!?!?!?ユーミちゃんといっしょにいるときの苦労ですか?そう、いろいろあるけど、ひとこといってしまえば、ユーミちゃんは気難しいですね。いま怒ってたと思えばつぎこの瞬間もう笑ってるんですから、合わせるのに苦労します・・・・・・。や、やだなあ、そんな、やさしいとかなんとかじゃありませんよ。そりゃあきらいじゃないし、かわいいとも思ってるけど、でもそれだけなんだから。ホントなんですよ。
ハイ、つぎの話題。今後の抱負!!!そーだなあ、やっぱりもうじき夏だから、少しシェイプアップしてTシャツの似合う体になっておきたいな。予定ではみんなで海に行くことになってるから、そこでユーミちゃん、ボクの肉体美を見てビックリするぞ。そして夜の海岸をふたりで歩いてそれでもって・・・・・・。頑張るぞ!
真っ青な空。まぶしい入道雲。ひまわり、トンボ。麦わら帽子にセミの声がいっぱい。真っ黒になった足が、お日さまを吸って痛い。汗を実らせた産毛が、腕を金色に光らせる。作られたアスファルトの道路。白い街を、夢見る目つきの人たちが流れていく。
暑い!熱い!どこもかしこも体のなかまで煮たった空気でいっぱいだ!夏!夏がやってきたんだ!
あたし、夏って聞いただけて、もう心臓がドキドキしちゃって、体から飛び出していっちゃいそう。こんな気持ち、わかってくれる!?!?!?!だから「夏がきらいだ」なんて、ダラダラしている人を見ると、思いっきり腹がたっちゃう。シャッキリしろ!
感じないの?なにか起きそうな予感を......。
さあ、イヤなことは全部暑さのせいにしちゃってさ。思いっきり行こうよ。お日さまだって沈まないで、待っててくれるんだからさ。それに少しくらいハジをかいたって、夕立ちが洗い流してくれるはずだよ。きっと、ネ!
あのね、あたし、夏が終わったらみんなとお別れになっちゃうんだ。あーあ、やっと魔法にも慣れてきて、これからって思ってたのにガッカリだなー。でもね、短いあいだだったけど、いろんな人に出会えたおかげだいじなものをみつけたんだ。
なんだと思う?それは健太くんのやさしさ。見かけはムチャクチャだけど、ハートはすっごくステキだったんだ。
もっとも何年かたてば、きっと恭平さんみたいにカッコよくなるんだろうなあ。ねえ健太くん、もうヤツ当たりなんかしませんから、それまであたしのこと、すきでいて。お願い!そのときは、あたしもさ、スラリと背が伸びて、びっくりするくらいキレイになっているからさ。
えっ、ナニ!?!?!無理だって!!そんなことありませんよー。ぜったいなれますよーだ。こう見えたって少は背も伸びたし、ソバカスだって少なくなったんですからね!
あ、そこまで信じないんだったらいいよ。またどこかで会おうじゃない!それじゃ、それまでバイバイ! 戻る