いつも走りまわっていた女の子
白いシャツとブルージーンとスニーカーで
その頬は汗に光り
その瞳は深いように澄んで

あれは一九七〇年の十月
夢を追っていた時代

そしてここはフラワータウン
走りまわっている女の子 ユーミ
夢をみていられる街

フラワータウンでは時は動かない
時代の流れから取り残された三角州
そこではいつも子供達が走りまわり
鳥が唄い 猫が呟く
チューリップ畑は赤白黄色のデコレーション
風は心地良く髪をゆらし
高い空にはうろこ雲

そんな街に十歳のボクは住んでいる
ボクはいつも 駆けていくユーミの後ろから
息をきらついていく
ボクの日記はいつもユーミの事
  今日、ユーミと二人で星の砂海岸へ行き
  ました。沖には白い帆のヨットが風を受
  けて海をすべっていきます。僕は古く朽
  ち果てたボートの上に座り、波打ちざわ
  で遊ぶューミの姿をじっとみていた。
十歳のユーミと十歳のボク
このまま時間が止まっていれば
いつまでも遊ぶことができる
そう フラワータウンでなら時は動かない
十歳のユーミと十歳のボク
ボクの名は 健太

いつも走りまわっていた女の子
赤毛のアンと竹宮恵子とショパンが好きで
その髪は風にゆれ
その口元はいつも微笑んでいた

あれは一九七三年の一月
夢が去っていった時代

そしてここはフラワータウン
走りまわっている女の子ユーミ
いつまでも夢をみていられる街

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