『キネマ旬報 男優本 1979年』

映画のデビュー作は62年の全農映=大映提携「乳房を抱く娘たち」。高度経済成長に見捨てられた農村にスポットを当て、 農民の苦悩とヴァイタリティをずっしりと描き出した寡作だが、山本は共同化による酪農経営を目指す青年団のリーダーを好演した。 どことなく陰りのある真面目一徹の青年で理論家肌という地がそのまま映画のはまり役となり、同年、新藤兼人の目に留まり、 空腹の極限状態に追い込まれた人間たちを描いた「人間」の主役の一人に抜擢された。 その後松竹の中村登監督に起用され、63年「結婚式・結婚式」「鏡の中の裸像」に脇役で出たのち64年、 中産階級の出ながら家族に反抗して盲目の女を妻にする「21歳の父」に主演した。 67年には、父母のいない5人兄弟がそれぞれたくましく生きていく「若者たち」(森川時久監督)に主演。 批判精神と行動力に富む三男の大学生を好演、同年の日活「君が青春のとき」(吉永小百合共演)とともに「毎日映画コンクール男優助演賞」の対象となる。 「続若者たち・若者はゆく」69、「若者の旗」70の三部作にいずれも主演。 71年には日活の大作「戦争と人間・第二部」 74年には昭和初期という日本の暗い谷間に生きたプロレタリア作家・小林多喜二の青年時代を描いた「小林多喜二」(監督・今井正)に主演。 さらに75年には新大映旗上げ作「わが青春のとき」にも主演した。比較的童顔の明るい青年だが、映画では悲劇が多いのが目立つ。 舞台はハムレット戦争と平和などが代表作。テレビでも着実、真摯な演技を見せている。


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