学生が押しかける
新宿大映狩野副支配人の話では「封切前は『江田島』というタイトルを見てピンとくる層が少ないのではないかと危ぶんだが、フタをあけたら、若い人とくに学生が押しかけてきたのには驚いた」という。
その学生の声を新宿で聞いてみると「バーバリズムにたいする郷愁とでもいいますか、強い規律を求めたいぼくたちの気持にぴったりです」(早大四年生)
「兵学校生徒はあのころの女学生のあこがれのまとだったそうですが、いま実在するとすれば私たちだって夢中になります。きちんとした制服、礼儀正しい男らしさ、なんといってもごまかしのない生活態度に感激しました」(女子高校三年生)
青春は常に変らず・・・
この映画の大当たりを石原慎太郎氏は封切前から予言したという。
「『江田島』に描かれた人間像は、われわれのまわりにいるどの人間よりも美しい」美しいから時代を越えて感動する、と石原氏はいう。そして「現代のあまりにも無秩序ななかに生きている若者たちは、その生理的な若さから全体主義的統率感に対する渇望をだれでも抱いていると思う。その渇望が制服をつけての行進を、たまらなく美しく感じさせるのだ」
「あゝ江田島」を監督した村山三男氏は「老人が涙を流して見中年男が拍手した、こういったノスタルジアは私の計算の中にもあったが、映画人口の大半を占める若い人たちが感動したということは、私は青春というものが、いつの時代に変わらないものだと改めて考えさせられた。ロカビリーに爆発するエネルギーが、兵学校生活に対する共感をよんだのではないか」
ところで、この映画で生徒を演じた本郷功次郎(立教大在学中)、三田村元(日大本年度卒)の両君の話は面白い。
「相当な猛訓練だったが、ちっともつらいとは思わなかった。演技を離れてとけこんだ感じだった。しまいにはもし自分があのような戦時下であったなら、喜んで死んだだろうとさえ思った」(三田村)
「きちんと整列して歩く楽しさ、ぴったりとした制服をつける快感はかくべつだった。いよいよ江田島を離れる卒業式の日のスクリーンを見たとき、自分自身”おれは、なんといういい目をしてるんだ”と思ったほどだった」(本郷) 戻る