三田村元

司会業一年生




  「役者は台本にもとづいて演技すればいいし、スタッフも相手役も、いちおうプロでしょ。なんとなく、すいすいと仕事が運ぶんです」
  ところが・・・と頭をかかえる三田村は、いま司会業一年生。はじまったばかりの「インスピレーション・クイズ」(NET)と悪戦苦闘中だ。といって、そのきまじめさが視聴者になかなか好評、まずは順調なすべりだしというべき。
  「本番で出題される問題について、前の晩、百科事典で調べているんです。ヒントを与えて回答者のインスピレーションを呼び起こす、いわゆるカンを誘いだす役でしょ。こんなむずかしい役はありませんよ。最初は、気分的にあがっちゃって冷や汗のかきどおし、こうなると、きまって視聴者からお小言が殺到する。きびしいったらありゃしない」
  一年八か月余りレギュラー出演した「鉄道公安368号」(NET)の松山公安官の役が、ちょうど終わったとたん、司会者の話がころがり込んだ。
  「特別にむずかしいことはないから、ともかくやってみろといわれたんです。ふだんから多勢の前で話をするのは得意じゃないし、いつになったらたどたどしさがとれることか・・・・」
  昭和十年十月、名古屋市生まれ、日大工学部卒。三十四年六月大映入りの三田村は、初の司会業に
  「つまらないテクニックを使うより、ぼくはぼくなりの人間味で勝負していくといった心境です」
  と語っている。 戻る inserted by FC2 system