週刊少年サンデーで昭和55年にスタートし高橋留美子原作の「うる星やつら」。アニメの方は、翌年の昭和58年10月より、フジテレビ系で放映が開始さたちまち人気番組となった。そして、今年の2月には劇場用のオリジナル版が公開さこれもまた評判を呼んだ。
このように原作マンガからテレビ化されて成功を収めた典型的な例が「うる星やつら」といえる。アニメでは登場する人物や場所もストーリーも、ほぼ忠実に原作通りになっており、原作をそのままアニメに生かしたとみることができる。
しかし、実際にスタートするとなると問題もあったようだ。「連載中の原作物をアニメ化するとなると、原作の方がスタートが早いですし、原作ファンの個個のイメージがあり、スタートしてから半年は高橋先生のファンから非難の投書がありました。もっともこれは原作アニメのもつ宿命のようなもので、オリジナル物と違い原作物はなかなか演出の余地がありません」と、スタジオぴえろの押井守監督は語る。「うる星」の原作は、何といってもキャラのユニークな面白さと、SFメカが日常にふんだんに出てくる奇抜さとが、ギャグとなって表現されている。
それらをアニメではどう動かしているのか興味深いところだ。
「奇想天外なお話ですから、それをそのままアニメにするとすぐファンにあきられてしまいます。まず、ベースとなるものは生活感覚がなければ話はもちません。「うる星」は奇想天外があたり前のものとして起こります。しかし、何があっても人生は変わらないという感じで話を進行していきます。脇キャラにしても、原作とは違うセリフを言わせてみたり、違う表情をさせてみたりして、それらの小さな動きの積み重ねが、アニメの「うる星」となっているわけです」と、押井氏。
マンガは絵とふきだしのセリフで話が進行していくが、アニメの方はその絵が動き、セリフが声となって立体的になっている。とくに声は絵柄同様、ファンのそれぞれのイメージがあり、重要なポイントとなる。声のイメージでキャラの持雰囲気も変わり、強いては作品全体のイメージを左右することになるのだ。
「うる星』では、あたるを古川登志夫さんが演じているが、彼もまた押井氏と同様、声の演技に苦労したようだ。「始めの頃は、あたるのイメージと違いすぎるという原作ファンの声があり、ずいぶん悩みました」と、古川さんは語る。
結局、録音監督にその場でアドバイスを受けながら、1話ごとに自分なりにくふうをしたという。
マンガでは、誌面を目で見て読みこんでいくが、アニメはテレビの画面の流れを見ていくと同時に、耳からも音を聞く。このように、「うる星」という1つの同じ作品でありながら、マンガとアニメとでは見る側の感覚は異なってくる。
原作マンガとアニメとは全く別の作品とはいえ、原作に忠実なアニメ作りをするということは登場するキャラクターが個性的であるがゆえに、アニメの作り手側にはさまざまな苦労があるようだ。戻る