丸山さんのしゃべりの面白さは、活字にすると半減してしまう。ご本人も「ソノシートにしなきゃダメですよ」などといいながら、何度か<バラエティ>に出ていただいたわけですが、今回のはライブハウスでの公開対談ということなので、これまでにない面白さを出せるであろうと思い、おじゃますることにした。しかも相米さんとの対談は初めてというのも、ちょっと意外で面白そうだった。 当日、丸山さんは重症の風邪がまだ完全に治っておらず、相米さんもゲホゲホと咳をしながらの対談となり、もひとつ調子が出なかったのは残念。会場のライブハウス<マーキー>は、西武池袋線江古田駅の南口北口には丸山さんの母校の日大芸術学部がありまして、満員の会場には丸山さんの後輩らしい学生さんたちも多かったようだ。司会は対談の企画者である下島三重子さん。この<マーキー>では毎月1回、若手映画人を招いて対談を行っておりますので、興味ある方はのぞいてみて下さい。

もしかして何も知らないオロカな人がいるかもしれないので、今回のゲストを改めご紹介しますと、丸山さんは「処刑遊戯」でデビューして、2作目の「親んだカップル」で相米監督と組んだこともあるシナリオライター。最新作は「化石の荒野」。相米さんは「親んだカップル」でデビューして、「セーラー服と機関銃」が2作目にあたる監督。ふたりとも昭和23年生まれ。

丸山 えー、丸山です。パチンコの話とか、子供の作り方とか、そういう話をしたいと思います。

(笑)

丸山 映画の話は、相米さんと一緒にいる時は、ほとんどしないもんですから、てきないと思いますので、あとで質問がありましたら、よろしくお願いします。

相米 えーと、丸山先生といる時は大体、分担がありまして、僕は黙ってて、丸山さんが聞いてくれる時だけ僕が話して.....。

丸山 僕の書いた作品は、去年の「ヨコハBJブルース」から市場に出回ってない――「BJ」は、あんまり脚本がよくなかったんでいっちゃうとミもフタもないんですけど、ホントはよかったと思ってるんですけど......  

(笑)

丸山 最近の日本映画では「セーラー服と機関銃」が一番よかったと思ってるんで、今日はその話をしたいと思います。

まず、相米さんが撮ったままのフィルムを全部使って3時間の映画でも作れるように、有名な監督になってもらいたいと丸山さん。「翔んだカップル」2時間版ビデオの編集をやってみて、劇場版を1時間46分に縮めざるを得なかった時の無念さは正しかったと思うけど、それでも1時間半なら1時間半に収まるホントのプロの映画を撮れるようになりたいと思おうとしている(ややこしい)ーーとヒッチコックの映画が好きだという相米さん。それから「翔んだカップル」での、ご両人の出会いのことやら、丸山さん脚本、「化石の荒野」のことやらを話して、「セーラー服~」の各シーンについて司会者が質問

あの辺は、監督が・・・・・・・

相米 え、うん、そうですけど・・・・・・・

丸山 あれ、監督が撮ったんでしょ?

(笑)

相米 子供というか、若い人にこびれるのはいいことであってね、こびれればいいんだけど、同じ精神年齢だとこびられないからこびるぐらい、早くオトナになりたいと思うんだけど。(笑)

丸山 でも、子供にはこびれないんじゃない?必死になってるからさ、こっちも。

ーーでも、モノを作る時には、これは何歳用とか・・・・・・

丸山 でも、映画やってる奴って少年ちゅうとこあるじゃない。いっちゃうとミもフタもないけどガキじゃないよ、少年よ。

(笑)

もっとエキセントリックな方かと思ってて、丸山さんにお会いしてみたら、夢見る少年というか、いつまでも夢を見続けているような.....

丸山 それじゃ、バカじゃないですか!?!?!

(笑)

丸山 やっぱり小さい頃から、夢見てる奴が映画やるんじゃない?責任感とか、一般常識とかもってない奴が、それで、すごい保守的な人が多いよ

相米  相手にきめつけないで下さい。前半はいいけど、後半は違う。

(笑)

撮ってる時の相米さんて、どういう感じですか?

丸山 (きっぱりと)セクシーですよ。

(笑)

相米 (ウイスキーを吹きそうになる

丸山 ホント、誰が一番セクシーかといったらねーー仙元誠三さんですよ、撮影の。

(笑)

相米  今、目に浮かんだよ、いう前に。いうと思ったよ。

丸山 相米さん、セクシー。見てらんないぐらい。けなげて、

相米  ・・・。

丸山 現場って、1作目、2作目って、変わらなかった?

相米 うん。何も自慢できることないけど、今度の打ち上げパーティで、70人ぐらいの席が150人ぐらいになってね、なんでこんなにいるかっていうぐらいになるから、それはきっといい現場だからだと思う。それだけだね、あと何もないから......。

「セーラー服~」で渡瀬恒彦と風祭ゆきのからみのシーン。

丸山 あの、うらさびれた所でね、あそこまでは書こうと思えば書けると思うんだても、あそこをひろ子が見てるじやない。あそこまではダメだね。あれ、脚本にあるの?

相米 ある。

丸山 あそこまで撮っちゃう相米さんの、何ちゅうかな・・

相米 無神経なんだ

丸山 だから「んだカップル」で、いろいろいわれたんだよねーーふたりが2階いって寝てんのか寝てないのかって。監督に何度も聞かれたけどね、分かんないんだよね、どうなっちゃうんだろうって。

―丸山さんの女性観に関わってきますね。

丸山 うん、引っこみ思案だからね。

お見合い結婚だって......。(驚きの声と拍手)

(笑)

丸山さんのお父さんが校長先生で、教頭先生のお嬢さんとお見合いして、て、6月にお子さんがお生まれになるそうで。その奥さんが相米さんのファンで、最近何かにつけてカイカ~ンっていうんですって。

(笑)

丸山 (フクザツな喜び。ここで、もひとつ、自力で笑いをとらねば)俺はねえ・・・・・・「野獣死すべし」のライターだからね!

(笑)

(バカウケ、丸山さんの勝ち)

そしたら相米さんも、お見合い結婚したい気持ちになってきたそうで.....。

相米 ハイ、よろしくお願いします。

(笑)

丸山 だけど見合いつうのはねーーこういう話になるとノルけどねーーあれ、1回はしたほうがいいよ。1回でやめたほうがいいけどね。

――じゃ、1回で決まって......?

丸山 え、そんなことはない。だって、趣味の欄ってあるじゃない。履歴書にーー見合いって書いたもん。

(笑)

丸山 ウチのカミさんにもいってないけどさ、そいでこの対談、雑誌に載るらしいから、カミさん読むと困るからいわないけどね......3回目。

(笑)

相米 見合いってのは、あれかい、先に偏見もってたらダメかい?

丸山 ダメ!

金あったらするとか・・・・・・

丸山 金もってる人って、あんまり見合いしないんじゃない?あ、男はよ。

相米 男は拒否権ないんだからな。

丸山 相米さんの場合はそれじゃ、いつまでたってもまとまんないよ(笑)。でも、タイプは見合いだね。この人はけっこう猫かぶるのうまいから、見合いでうまくいく。

相米 よろしくお願いします。探して下さいよ。(客席に頭を下げる)

丸山 大体、女の人は見合いでどこ見てるかというと...なんでこんな話するんだ?

(笑)

丸山 どこ見てるかというと、やっぱり、顔見てるね

(笑)

(丸山さんがいうから面白い)

男の人はどこ見てるんですか?

丸山 だって女の人は無神経だよ、男のほうが神経質だよ。

無神経だと顔見るんですか?

(笑)

(これも丸山さんだから面白い。こんなこと書くと殺されるかもしれんな)

丸山 そうだよ(マジになってきた)男は大体、色情狂だよ、女は大体、無神経やない?そいで、まあ、「セーラー服」だけどねえ・・・・・。

(笑)

もはや「セーラー服」どころの話ではなく、丸山さんの苦節十数年、恥かき物語の始まり始まり...

丸山 またァ、今日はうまいと思ってきたのにィ・・・・・・いや俺の作品は、軽いじゃない。人間も軽いし、みんな軽い。なんで軽いかっていうと、中学の時3年間、ピンポンやってたんだよね。

(笑)

以下<バラエティ>では何度も紹介した話が続くので、カットします。

丸山 そんなわけでね、見合い結婚でね、現在に至ってますよ。

(笑)

丸山 今度は相米さんの生い立ちを

相米 生い立ち・・・あの、生まれて、あの、今の年になりました。

(笑)

昔のことはみんな忘れたといってケムに巻くという・・・・

相米 いや、そうじゃなくて、ホントに覚えてないです。健忘症っての、知らないですか?ちゃんと忘れてくんです。忘れていくのもエネルギーであって、ホントです。

丸山 忘れていくのもエネルギー・・・

(よくいうなァという顔でニタニタする)

ここで会場の客との応答に入る。

客A どうしてあんなヘンな映画「セーラー版〜」)を撮ったんですか?

相米 やっぱり、ヘンでしたか。正月に、にっかつの池田の「天使のはらわた・赤い淫画」を見てねーー長期的に見ると、あいつが一番才能あると思ってたから。やっぱりうまいね。で、あいつに“お前はヘンタイか”っていわれた時に、ちょっと傷ついたけどね。そんなにヘンかねえ?僕はヘンだと思ってないんですよ、全然。それがやっぱり欠陥なんですかねえ。

どこをヘンだと?

相米 いや、映画のセオリーにないことだからいけないーーいけないというのは池田はいい意味で言ってくれたんだろうけど、いわゆる映画じゃない、らしいですよ。

そうですか?ホントに自然に撮ってるのに......

相米 それを自然と思うのが、もうヘンタイらしいですよ。

(笑)

相米 あいつにいわれて初めて、そうかなと思ったね。ほかの人に何いわれても動じないほうだから。

丸山 あの、「んだカップル」もヘンだった?

客A 少し、ヘンですね。

丸山 今度のは本格的にヘンだった?

客A 「組んだカップル」は、ホラ、シナリオがいいから......

(笑)

相米 どうも、丸山さんにかわって、ありがとうございました(笑)。じゃ、今度の脚本はよくなかったですか?

客A あ、田中陽造さんのシナリオ、いいですねえ。(この人かなり役者やのオ

相米 じゃ、やっぱり映画がよくなかったんだ。(笑)

客A ホメ言葉で、ヘンだったと。

丸山 でも、ヘンなのが少なくなったよね。あなたのいってる意味のヘンな映画が

客A またおふたりで・・・・・・

丸山 やりますよ!「団地妻・怒りの鉄拳」ちゅうのを。

(笑)

(やっぱりプロやの)

丸山さんはロマンポルノとか、書いてないですね。

丸山 うん、俺は女はねえ・・・・・。

客A お見合いの映画書いたらどうです?

丸山 うん、オリジナルでね、書いたんだけどねーー「ふたりぼっち」という。

(笑)

(誰も信じてない)

丸山 いや、ホントよ。仕事なかったから。1日だけの話ね、お見合いしてね、1日中ふたりでウロウロしてね、そいで何とかなるという...

結ばれるんですか?

丸山 結ばれようとするとね、男のほうがダメになっちゃうんだよねーーよくある話よ。

(笑)

わりと、自分にあれして書いたんですか?(大胆な質問)

(笑)

丸山 (さすがに答えに困る)・・・・まァねえ、オリジナル・シナリオになると特に、自分を書いちゃいけないっていわれるけど、でも書くわな、やっぱり。書いて書いて書きまくってね、それから出てくるものを(笑)・・・・磨いてかなきゃいけないんだ、黒光りするまで(ヤケクソ気味である)

(笑)



次は、一観客としての発言。「雷」を見た丸山さんはこれを20歳ぐらいの時に見たら惚れるだろうなと思いながらも、スクリーンとの距離を客観的に感じてしまう。タイクツしてしまう困った映画だったという。別の意味でもっと困ったのが「駅」

丸山 あれ、タイクツしないんだよ終わってからナンダ?!?!?と思うけどねこれが困ったね。はっきりいって、この映画を作った人たちには悪いけど、あれはもうテレビジョンだよね。木村大作さんの撮影はステキだけどさ・・・・・・

相米 バツ!

(笑)

相米さんは今、言語障害だそうで、バツかマルかと・・・?

相米 生きてますか、死んでますか。

ーーとしか使わないんですって。

(バツは「翔んだカップル」で、すでにセリフとして使われております。)

相米 「駅」つうのは、円谷の遺書が出てきた瞬間に、正常な神経もってる客は席を立つべきだよな。

丸山 だよな。

相米 あれを立たないで、俺だって見てた。あの神経が信じられないな。

丸山 でもね、あれで「キネマ旬報」の賞もとったしね、よろしいんじゃないですか?

相米 ま、よろしいんじゃないですか。

丸山 「BJ」よりは、お客さんも入ったし

入ったというなら「セーラー服~」のほうが入ったでしょ。

丸山 あれさ、お客さん入ってる時って、やっぱりうれしいんじゃない?虚心坦懐に・・・

相米 ...それ以外に、映画って何かありますか? 昔の映画って、席をいかにうまくとるかってやってたでしょ。ああいう映画の見方でなきゃ、やっぱダメだな。

丸山 そいで1個だけ空いてると、壊れてたりね、椅子が。

(笑)

丸山 東京きて一番びっくりしたのは映画館がきれいなことね。トイレの臭いがしないじゃない。大体、フィルムってのはトイレの臭いがついてるもんだと思ってたもん。

(笑)

丸山 そいで学割ってのがあるのが感激したなあ。

田舎はないんですか?

丸山 いや、関係ないもん。高校まで引率だもん。喫茶店も入っちゃいけないんだからね。そうよ、マジメだったんだから。

相米 俺なんか中学の時から、モギリのおねえちゃんと仲よくなって、タダで見せてもらってたぜ。

丸山 ヘンタイだ。

相米 だって、そうじゃなきゃ。お金なかったもんね。

「セーラー服~」の後半、ストーリーを説明しなければならないために、つまらなくなったのではないか?ツメが甘かったのではないか?という質問が何人かの客から出た。

相米 話が分からんでもね、見てもらえるかどうかーー賭けようというふうにしちゃうのね。それでできる映画もあるだろう半分居直るわけね。それでツメが甘いといわれるのは百も承知でやってるんだけど、そういわれるとアマノジャクなんだな、じゃ、またやっちゃおかなと思い始めるんで、不安になるんだよね。(笑)

客B 暴走族のシーンがすごく好きでね、あの辺で「翔んだカップル」の曲がチャカチャカ入ってくるのも面白いなと......。

相米 でも、あれも中途半端なんですよ。ホントはね、新宿全部というか、伊勢丹なら伊勢丹の全部をアメリカ映画みたいにライティングできてね。ふたりのアップからドーンといっぱいまで引けなきゃいけない。(笑)

(ホッーというタメ息まじる)

時間ですので、終わりにおふたりの今後の展望を語っていただいて・・・...

丸山 今日は、あまりタメにならない話でごめんなさい。またどっかで脚本・丸山昇一という看板をご覧になることがありまし名画座でもいいですから見ていただきたいと思います。それから1日も早く、相米監督ともう1本やりたいと思ってますので、その時はまたよろしく。今日はどうもありがとうございました。

相米 えーと、何でもいいから今年も、もう1本撮ろうと思ってますから、えーと、見て下さい。

対談終了後。「いつまた黙りこんじゃうか不安だったよ」と相米さん。それから丸山さん宅で奥さんと初対面。ますます、お見合いに意欲を燃やすのであった。「今日はこの家庭を破壊するゾォ」と叫んでいたが、結局おとなしく帰ったのであった。蛇足ながら、「ヨコハマBJブルース」で松優作が女の部屋の鍵をジャラジャラもってるのは、相米さんがモデルだという説もあるぐらい。モテる人ではあるのだが、モテるのと結婚とはまた別次元の問題なのであった。ひとまわり年下の奥さんをもらった丸山さんに対抗して「よし、俺は45歳で18歳とお見合い結婚するぞ」と決意を固めた相米さんであった。そんなわけで、現在17歳の女性の方、その時はひとつよろしく。

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