若手俳優ズラリの新しいマフィア映画

1917年~30年代のNYを舞台に、マフィアに憧れ、暗黒街に夢と青春を賭4人の実在した男達ラッキー・ルチアーノ(クレスチャン・スレイター)、マイヤー・ランスキー(パトリック・デンプシー)、バグシー・シーゲル(リチャード・グリーコ)、フランク・コステロ(コスタス・マンディーラ)の成功への日々を描いたのが、この「モブスターズ/青春の群像」だ。
 昨年公開され話題を呼んだマーチン・スコセッシ監督による「グッドフェローズ」を思わせる内容だが、主役格を務める4人の"モブスターズ"の若手俳優陣には、いささか、めんくらった人々も多いのではないだろうか。こういったマフィア物作品は、アメリカ映画界でも、「ゴッド・ファーザー」シリーズに代表されるように、重厚に、密度濃く描かれてきたため、その完成度は非常に高く、娯楽芸術性を常に兼ね備えた作品が多かった。無論、そこで演じる俳優達も、アイドルスター俳優とはほど遠い個性派俳優陣が、のき並み出演していた。というよりも、ある意味で、屈折したギャング達の人生を笑顔が売りの俳優が演じては、とてもじゃないが、俳優にとっても、作品にとっても、大きなリスクを背負うことになるのは一目瞭然だ。だが、このようなアメリカ・マフィア映画を振り返ってみて、あくまでもコマーシャルに、娯楽に徹したマフィア映画�≠ェ皆無に等しいことにも気づき、本作品がその第一号と思うと、この若手俳優陣の華々しさに、拍手のひとつも送りたくなってしまった。
 この言葉を、今年7月、NYで俳優のインタビューの際に同席していた、プロデューサーのスティーブ・ロスと監督のマイケル・カーベルニコフに向けると、高らかな笑い声を上げた。「軽いギャング映画って言いたいの?(爆笑)確かにそうだと思うよ。なぜならね、私がこの作品を作ろうと思った時、なによりも、コンセプトとして大切にしていたのは、若い人達がもっと楽しめる、若い人達のためのギャング映画を作る"ってことだったんだ。だから、主役の4人の俳優達も、若くて将来性のある者にしぼったんだ。このキャスティングには本当に満足してる。もちろん、監督のマイケルにもね」


 監督のマイケル・カーベルニコフは、CMやMTVの世界で活躍し、本作品は映画界デビュー作品。スタイリッシュな映像美は、CM界出身の彼ならではのものだ。「実は、この初監督という大仕事を引き受けるにあたり、こんな裏話があったんだよ。ある日、突然、スティーブから電話があって、この『モブスターズ」の話をされた。それでね、彼ときたら、10秒数えるうちに"YES"か"NO"と答えろって。(笑い)で、なんだかよくわからないうち"YES"って答えてね、心の準備もなしに、撮影に入っちゃったから、すごくエキサイトした仕事になったよ。俳優達も、今をトキメクスターばかりだったしね」映画以前の、それぞれのドラマ
 プロデューサーや、監督の、新しい試みとなったこの作品。4人の俳優達にとっても同様だった。最近、日本でも知名度を上げ、アメリカでは若手トップ俳優クリスチャン・スレーターでさえ、大手映画会社の作品の主演は初のことだ。「主演ていっても、4人がみんな主演だからさ。でも、前作の「ロビンフッド」もそうなんだけど、大作に出演できるっていうのは、ボクのすごくいいキャリアになったよね。ビデオじゃなくて、スクリーンでボクを知ってくれる人も多いと思うし。
 プレッシャーっていうのは、まったくなかったね。ボクって、いつもそうなんだけど、リハーサルしたり、自分で演技の練習しているうちに、プレッシャーとかって意識しなくなっちゃうんだ。それと、今回の作品で言えば、他の3人が、すごく勉強してて、リサーチをよくしててね、ボクを本当にサポートしてくれた。4人みんなが作品に対して忠実で信頼しあってたんだ。映画の中の4人、そのままの姿だった。だからこそ、こんなイイ作品ができたって思えるよ。」
 それから4人とも、ただのアイドル俳優では済まされない、素晴らしい物を持っている。その個々の個性を生かして、キャラクターをうまく演じていると思う。尊敬する俳優を見習ったりもしてさ。ボクとリチャードは、ロバート・デ・ニーロを尊敬してるんだけど、仕事に入る前から役作りしたりとか、役に入り込むためのリサーチとか見習ってやってみたりしたんだ」
 この役作りのリサーチに関しては、リチャード・グリーコの徹底ぶりは、他の3人も圧倒されるほどだったと言う。モデルからテレビドラマ俳優になり、今や全米でトップアイドル視されているとい彼だが、この作品出演を機に、映画以外の仕事はせず、本格的に俳優の道を歩むようだ。「ボクが演じたバグシーを、実際知っている人に会い、話を聞いたし、警察にも行って、彼の犯罪ファイルも見せてもらった。彼等の本(「WEONLYKILLEACHOTHER』)も出ていて、それも読んだ。とにかく、くさるほどリサーチはしたんだ。だけど、写真もほとんど残ってなくてね。
 とにかくボクは、このキャラクター、ギャングを演じることにすごく魅力を感人を殺しても、なにをしても上手に乗り越えてしまう人生スクリーンを観ている人も、それを受け入れ楽しんでくれるわけじゃない?つまりさ、「ゴッドファーザー』にしてもそうだし、アル・カポネにしたって、悪いヤツ、男って、とてもロマンチックなんだよね。」
 そして、俳優として「ドアーズ」「ソープディッシュ」と話題作に出演はしているものの、4人の中で誰よりもこの作品で初の大役をつかんだコスタス・マンディーラはこう語る。「今までのボクの仕事の中で、いちばんの大役だからね。彼の本を読んだり、話を聞いて、ボクの演じるキャラクター、フランクの表情まで徹底的に勉強したよ。撮影中、1人で、家に帰ってからもレッスンしてた。もう無我夢中だった。でも、ホント、他の3人達と仕事ができてハッピーだったね。ボクがいちばんのニューフェイスだったけど、少しもつらい思いをしなかったし。みんなよくしてくれたよ」
 3人の熱意・熱演はうかがえるというものだろうが、パトリック・デンプシーにとっては、この3人以上に作品、キャラクターに強い想いを抱いていた。というのも、彼のキャスティングだけ、なかなか決定されず、パトリック自らが、監督のマイケルに会いに行き、出演許可をもらうことになった。「オーディションを受けても、なかなか返事が来なくてね、でも、ボクは、この役がどうしても演じたくて、マイケルに会ってもらい、個人的なオーディションをしてもらったんだ。で、すぐにOKをもらえてね。マイケルがスティーブ(プロデューサー)を説得してくれた。ギャングの中でのビジネスマンという、新しキャラクターを演じられて、本当に嬉しいよ。」「モブスターズ」は噂によるとシリーズ化も構想中とか。この4人の俳優達が成長して行く姿を見るだけでも、楽しみとなりそうな企画だ。90年代のハリウッドを支えるだけのスターに誰がなれるのか?!なにかと期待させる作品だ。

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