アカデミー作品賞、監督賞を獲得し、今もって戦争映画最高の傑作と称されているのがこの「西部戦線異状なし」である。数度にわたってくりひろげられる大戦闘シーンのスケールと迫力、全篇をつらぬく戦争批判とヒューマニズムの感動戦争映画としてこれほど見事な作品はおそらく他にないであろうといわれている。
 監督は戦前に名匠の名をほしいままにし、戦後にも「激戦地」「戦艦バウンティ」「地獄の戦場」などの戦争映画をつくっているルイス・マイルストンだが、彼の名とともにこの傑作は映画史上に不朽の名をとどめている。
 一九三〇年につくられたこの作品は、同年わが国でも公開されたが、当時の検閲によって戦争批判のシーンがことごとく削除されたため、実際に公開されたのは全体の三分の二にすぎなかった。従ってこの作品が完全なかたちで公開されるのは今回がはじめてである。
 原作は「その後に来るもの」「凱旋門」「愛する時と死する時」なぞによって知られるドイツ出身の小説家エリッヒ・マリア・レマルクが世界壇にセンセーションを起した第一次大戦の記録文学。原作はかなり厖大なものであるが、劇作家として著名なマックスウェル・アンダーソン、ジョージ・アボット、デル・アンドリュースが共同執筆したシナリオは適度の省略と簡潔なセリフとともに賞賛され、「カサブランカ」などを手がけたアーサー・エデスンの撮影もまた見事なものである。
 おもな出演者は、最近「大いなる野望」「野望の系列」に顔を見せているルウ・エヤーズをはじめ、サイレント期いらいの名優ルイ・ウォルハイム、舞台俳優ジョン・レイ、コメディアンとして名を売ったレイモンド・グリフィス等だが、いずれも印象的な演技で高く評価された。(上映時間2時間13分)

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