黒の奔流(松竹)


 松本清張バリの素朴な正義感に支えられたサスペンス劇だが、山崎努が大いにオーバーの極致の芝居を気持良さそうにやっている。殺人容疑の宿屋の女中(岡田茉莉子)を無罪にしてやった末、面倒をみているうちに関係ができてしまう。ところが彼が金持ちの娘と結婚しようとすると、岡田は居直って彼をつけ廻し、果ては自分は実は有罪だったなどと脅かす。これもまた女の怖ろしさだが、岡田の凄味もまた大変なもので、身の毛がよだつ。ついには『陽のあたる場所』的殺しに及ぶのだがこの山崎君、折角大力演なのにすべてが台無しになるのが可哀そうみたいだ。松坂慶子の金持の美的ムードが救い。

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