断絶(CIC)

どうして、太平洋岸から大西洋岸へ、車をブッ飛ばすと名作が出来てしまうのか。私はこの道をソウル・ロード"と名づけたのだが『イージーライダー』『バニシング・ポイント』についで、ここではポンティアックとシボレー55年型が、二台ツレションで突っ走ってゆく。ポンティアックの方は、三十七、八歳の中年男ウォーレン・オーツが運転し、シボレーの方はロック歌手のジェームス・テーラーが二十七、八歳の世代を代する如く乗っている。この車には、メカニックというアダ名の男とフーテン娘も同乗しているのだが、この子、名を言うわけでなく、オシッコの時だけ大声でわめく。道中、ホモやフーテン、あるいは親を失った娘などがヒッチで乗り込んで来るが、これに対し、ウォーレン・オーツは、ひとり、ベラベラ、ありもしない自分の人生を語っている。
 彼にとっては、それが辛うじて生きる自己保証であり、ポンティアック以外に自分の存在を差し示すものはないのだ。
 やがて、このストリート・ドライバーのレースも、目的地に近くなってくる。中年男はフーテン娘にフロリダへ行って一緒に日光浴をしようと言う。今迄鋼鉄板のような顔をして女すら顧みなかったジェームス・テーラーの方も「オハイオは自動車の部分がやすいのだ」と下手な口説きで、フーテン娘にコナをかける。だが、娘にとって、ひとつのところに固定するということは、フーテンの奥儀に反しているのは言うまでもなく、レストランで、目尻のあった若者のオートバイにまたがって、あっさり、バイバイしてしまう。この映画の憎さというのは、そこで、フーテン娘が今迄御生大事にしていたズック袋がオートバイは乗るのに邪魔だとわかると、アッサリ捨てることだ。唯一の私有財産を捨て去る彼女に対し、財産にしがみつく以外、自分を表現出来なくなってしまった大人たち。
 そして、フーテン娘にふられたとわかると、何んとも嬉しそうな顔をする中年男のウォーレン・オーツ。お前と俺は、もう一緒なんだよと言わんばかり懐かしそうな顔をする。

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