色々と衝突の連続があって、佐川一政、鈴木邦男両氏とは決裂したので、一緒に仕事をすることはもうないだろう。私は出所して三年、およそ人に怒ったり腹を立てたりしたことがない「お人好し」だが、佐川氏と鈴木氏には、渾身の怒りを覚えた。作家になりたいのなら、人の名前をあちこちで使って出版社や編集部を苦しめ困らせたりせず、自分の事件を切り売りして商売の種にするのではなく、私のように十何年も苦しみながら勉強して、新人賞に投稿して勝負するべきだろう。マスジャーナリズムの、およそ最悪の一面である事実の歪曲やデッチ上げ、妄想や空想の勝手な挿入や人格肖像等の無断使用だけを己が人生の支柱として、マスコミ専門人間以上にマスコミの悪い部分のみを実演する肩書きだけの右翼にも愛想がつきた(第一、私は今、一水会に属していないし、出所してからも会長は現場にタッチせず、私も同会議長を務めたものの会長の下で働いたことは一切ないし、議長にしても会長の家来でも下僕でもなく、 監獄やセクト生活の一年は右翼生活の三倍に相当するので、およそ〈後輩〉でも何でもない)。
 だから、このトークもイーストプレスの共著(夕刊フジ他に何とほざこうが、この件は私が全面的に金銭のペナルティを、あえて逃げないで負って支払ったのであり、金を取ったのならユダのように沈黙していたまえ!)も世に出すつもりはなく、政治事件と刑事事件を一緒にセットで扱うようなやり方は断じて許容できない。ロフトの方は、平野氏が直接、「どうしてもたのむ」と言うので、この付加文章とセットで一応許諾した。ただ、これが最後である。 「夕刻のコペルニクス」の中でこのトークライブは、私や勝又、佐川氏が〈永山と逆に〉反省もしないで事件を〈得々として語〉、〈殺人を自慢>したとある。この点に関しては、佐川氏の批判文章!「鈴木は妄想病。もう、事実と空想の区別判断ができなくなっている。嫉妬もあるのだろう。言ってもやってもな いことを勝手に作って書くのは人権侵害である」は正しい。奥の結婚話や川村氏の演劇侮辱見学記(もう、鈴木氏の人生は右でも左でもサブカルでもなく、〈見学〉一筋なのである)にひっかけて、人の父が現に死寸前の重病の床にあるそのとき、私はともかく、両親を冗談の悪いネタにして激怒させ、父を怒り心頭興奮させることで殺して、全く笑えないジョークになっていないジョークで母を侮辱し、「SPA!」に訂正文を出し、母に対し「もう、お母さんのことや事件のことは書かない」と誓約しておいて、よりによって三島賞選考の一週間前に、事実と小説「調律の帝国」を妄想的に混同した取材もことわりもないデマをデッチあげるというネガティヴキャンペーンを行ったのだ!殺人か傷害致死かを争い、事実共犯の一人が傷害致死になっている微妙な政治事件、それも刑事的にも民事でも全て執行やケリがついている事件を<殺人作家>云々と、人の十七年の文学的苦労を台無しにする下品最低のゲスな表現に自己陶酔していつまで書き続けるのか?そのデタラメぶり故に右翼陣営さえから総スカンされ怒られ、ハンバーグを食ったの、鼻唄うたいながら相手をどうしたとか、そこまで〈作らなければ連載や単行本を<維持できないのだろうか?私なら、人を傷つけ、その両親を激怒させる程ひどい文を書くまで自らの才能に詰まったら、借金漬けになろうとマスコミの仕事を降りるが。
 82年の事件は、事件ではあるが、前述したように、殺 人事件ではない。この事件の微妙な内容から、よく考えずに<殺人>者佐川氏と仕事をして共犯の怒りをかったのも、イーストプレスの共著他を降りた大きな原因である。
 かつ、永山と逆に反省しないで事件を自慢したことなども当然ない。あの事件は、宮本顕治氏の粛清事件と同じく複雑政治事件なので、いつか長編の小説で総括するが、ノンフィクションやルポ、その他で〈商売した〉ことはないし、ペンでもトークでも、自慢したり正当化したりしたことはない。政治事件であるという自負はあるが、それを切り売り〉したり<商品>として生活の糧にしたりするつもりはないし、イーストプレスの共著を降りたように、とにかくペナルティを払っても、事件を売ったり〉正当化してこなかったし、また、しようとも思わない。永山も私も、同じく法治国家のルールの下で<刑を執行〉されたのであり、刑の執行の終了とともに、憲法で保障された〈市民権〉を回復した<責任能力ある>法人格である。刑の執行を終えた人物を、<殺人>という非文学的な表現でしかゲスに語れない人間は、その時点で法治国家の枠外に出ているのであり、ペンの暴力を弄んでいるのであり、差別と嫉妬の餓鬼畜生と化しているのであり、その下劣な表現方法において、自らの尊厳をも放棄しているのである。
 私は、どんな凶悪犯や元凶悪犯でも差別しないし、現につき合いもしている。ただ、法的にではなく、人格的に汚れた人間とは仕事をしない、つき合いたくもないだけなのだ。


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