戻る
まさに「大脱走」である。 何かっちゅーたら、2月12日 未明に東京・小菅の東京拘置所からイラン人の未決囚7人が逃げ出した事件のこと。
だって、雑居房の鉄格子を金属ノコのようなもので切断し、手製のハシゴで 塀を乗り越えたっつーんだから映画顔負けじゃ。
日本に4年以上住み、日本 人の奥さんを持つ、あるイラン人などは、 「(小菅では)40年ぶりの脱獄って聞いて、びっくりしてしまいました。しかも、それイラン人だったなんて、すごい!カッコいい!」のひと言。「法律を守らないことは悪いけど、脱獄に成功したのはスバラシイ!」
と、拍手喝采、ヤンヤの歓 声をあげる。
・・・。まあ、こう言いたく なる気持ちもわからないでも ない。なにしろ目撃者ゼロ。お見事な脱走劇であったのだから。
もともと、拘置所は裁判前係争中で保釈の認められない人の入るところ。その点、刑が確定した人間の収監される刑務所とは異なるというのだが......。しかし、そんなに簡単に脱獄できるものかね?
そう思い、東京拘置所を直撃してみた。
応対してくれたのは、拘置所調査官・稲田辰雄さん。50歳前後の優しそうなオジサンである。
「職員が15分に1回の割合で房内の見回りをしていたのですが、気づきませんでした。持ち込み品などのチェック態勢が不十分でした。反省をしております」
と、ひたすら平身低頭。
拘置所には、防犯線という、触るとベルの鳴る装置も塀に張り巡らされている。 監視カメラも数ヵ所に設置されている。どうして気づかなかったんだろう?
全国紙社会部記者は言う。
「防犯線はカラスが触ってもベルが鳴る。ちょくちょくそんな“事件”もあるみたいで、職員の中に『またか』という心の隙があったのではないか」
また、前出・稲田氏も、
「監視カメラには死角がありません。しかし、台数が限られており、カメラから距離がある場合、小さくしか映らない。それも反省材料のひとつです」
と、同拘置所の構造的な不を認めるのだ。
しかし、だからといって脱獄が簡単に成功する場所なわけがない。
自らも入獄経験のある作家 ・見沢知廉氏はこう言う。
「収監される時からパンツ一丁にされ、金属探知機で調べられる。もちろん、見回りも来ます。看守を買収するか、掃夫(所内の雑用を認められ模範囚)をオルグするぐらいしか方法はないですね」