『IZO』で20年ぶりに主演!

中山 (突然)吉田氏には、ずっと会いたかったんだ!「こんな本を読んでシマッタ」っていうのが、俺の大好きなコラムでね。

あっ、どうもありがとうございます!

中山 去年の2月ぐらいかな?俺が尋常じゃなく落ち込んで、また世間を賑わして塀の中に落ちてしまいそうなぐらいテンパってたとき、吉田氏の記事を読んだんですよ。

中山さんの「刺されたいのか、主役はこの俺だ!」の書評ですよね。

中山 その本、俺も持ってないんですよ! やっぱり神様はいるっていうか、出会いって不思議ですよね。 吉田氏の批評を見て、この人は世界に出して恥ずかしくない逸材だと思った!俺は吉田氏の原稿に励まされたんですよ!ホント煮詰まってて、 ウドーさんに包丁持って殴り込んだ敬愛する内田裕也さん状態になる一歩手前で、あの原稿を見たからね。俺はハッキリ言って、吉田さんの自宅と思われる電話番号を入手して、もう100回ぐらい電話してるんだから!

ダハハハハ!そうだったんですか!

中山 でも、なんで電話つながんないんですか?違う吉田豪さんなのかなあ?去年の2月以来、周りの人間に「吉田豪ってやっぱり大物だからつながんないぞ」って言ってて。(携帯電話を見せて)これ違う?

違います(笑)。しかしホントに登録してるんですね!

中山 でも、不思議と留守電にもならないし人も出たことないから、やっぱり吉田豪はただ者じゃないなって(笑)。文章のまとまりといいキレのよさといい、これは絶対に天才だと思ったら、なんのことはない。真樹(日佐夫)先生の友達じゃん(笑)。

友達というか、ボクも真樹先生の映画「梶原三兄弟激動昭和史すてごろ」に出させていただいたから、中山さんとも共演してたんですよ。打ち上げでも一緒だったし。

中山 なんで声かけてくんなかったの!

さすがに当時はまだ怖ってイメージがあったんですよ。打ち上げでも「監督がちょっと頭きたんで、また1人刺したい人が増えました」って宣言してたし(笑)。 中山

中山 まあ、あれは本音だけどね(笑)。

あのとき会場は静まり返ってましたけど、ボクは爆笑しましたよ!真樹先生原作の「ワル」に出たときも、「俺は主役をやりたい!」って言って主演の白竜さんをずっと睨んでたから、「2人を一緒にすると危ないから、必ず現場にいてくれ」って真樹先生が頼まれたって聞きました(笑)。

中山 そのときは・・・・・・ホントにすいません(笑)。この前、白竜さんはある現場で缶コーヒー持ってきてくれましたからね。あの方も、やっぱり器が大きいですよ。ただ、真樹先生は、なんで俺に変態やシャブ中の役ばっかりくれるのかって思いますよ(笑)。

―『すてごろ』の変態役も最高でしたよ。

中山 嘘!あれがもしいいっていうんだったら、ホント嬉しいよ(笑)。今日は吉田氏に会うのが楽しみで来たの。もう俺のなかではスペシャル・オンリー・ワンだから。あのときの原稿でも、最後に「この男はいつか大物になるだろう」って書いてくれて。

それが今回、三池崇史監督の「IZO」主演で、現実になったと思ったんですよ!

中山 なったでしょ?おかげさまでここまで来ましたね。ありがとうございます!

あれだけ大物ばかり出ている映画で中山さんが20年振りに主演するという、その事実だけでも奇跡の一言じゃないですか!

中山 信じらんないよね(笑)。

でも、200人以上の人をひたすら殺しまくるこの役を演じられるのは、おそらく中山さんしか存在しないと思いましたよ。

中山 原田龍二にも「これは一也さんにしかできませんね」って言われたよ。なんか自分の人生と境遇が似て る所があるのかな......。

人間としての尊厳を軽んじられた男が、権力者に天誅を下すわけですからね。まずは、そんな中山さんの1年 の人生を1から振り返っていただきたいんですけど、お父さんが借金作って夜逃げしたりとか、思わず自殺を決意したりとか、かなり過酷な少年時代を送ってきたみたいで。

中山 あのときは両親がいつもケンカするんだよ。俺たち子供の前で...。それで俺、尼崎の神崎川と言う所で死のうと思ったんだ。そしたらそこでセックスしてる2人がいてね。これは、まだ生きてた方がいいな、と思って(笑)。それが、たしか14歳ぐらいのときですかね。

それから歌手を目指すわけですね。

中山 結局、夜逃げして四畳半一間に家族何人かで入ったわけですけど、貧しいと親はケンカするんですよ。それを見て、親父をぶっ飛ばしてやらなきゃいけないと思って柔道始めたの。で、二段まで取ってね。また2人がケンカしたときに親父を引っ張り出したんだけど、ぶっ飛ばそうと思ったら泣けてくるんですよ。それで「この野郎、仲良くしろ!」と言って、家出したんです。

そしてアイドルの殿堂サンミュージックの新人募集広告を見て上京する、と。

中山 親父に「この野郎、離婚しろ!」って迫って、もし俺が家族4人養うとしたら、新聞配達じゃ無理だと思って。それで、歌が好きだったんでね。相澤さんに「おいで」って言われて東京行ったんだけど、最初だけいい話してたのに全然そうじゃなくて。それで家に戻されて。

『全日本歌謡選手権』に出たときには、筒美京平さんとも接点ができてるんですよね。

中山 うん。その番組に出た関係で京平さんとお会いして。「もっと人生いろいろ楽しみがあるんだから、田舎に帰った方がいい」と言われたんですけど、俺はしつこいですからねえ...。昨日も吉田氏の書いてくれたコラム見ながら自分でも笑っちゃうっていうか、結構やってきたんだなと思って。

だって、歌手志望のはずなのに「太陽にほえろ」のスタッフになって、シェパードの送り迎えをしてるんですからね(笑)。

中山 ところが、撮影のとき犬がいなくて大騒ぎになって、電話したら俺はまだウチで寝てたんですよ。それで向かったら車はオーバーヒートしちゃうしでね(笑)。そんなときに「このままいってもダメだな、やっぱり勉強しなきゃ」と思って、文学座を受けたんですよ。そこで山下真司に会って、あの頃は1年に360日は一緒でね。

そうなんですか? 確かに山下さんも『太陽にほえろ」に出てましたけど......。

中山 その後、真司はんが『太陽にほえろ』のオーディションを受けるとき、「『太陽にほえろ」ならみんな知ってるから、先に会っといたら印象いいんじゃないか?」ってことで、挨拶してね。そしたら、「中山さんのこと「徹子の部屋」山下真司がしゃべってたよ」「中山さんのお陰で芸能界入るきっかけ作ってもらった」って話を聞いたんだよ。俺のことは放送禁止かと思ったら。

それだけ仲良かったわけですよね。

中山 昔から、友達なのに「真司はん、悪いけど俺の方が大物だからな」「あとキンタマも俺の方がデカいぞ」とか言ってたからね。そうするとマジで怒るんだよ(笑)。

一体、何を自慢してるんですか(笑)。

中山 マジで怒るっていうことは、キンタマのことはやっぱり認めてるんだと思ってね。俺はどうしようもない生き方してるのに、真司はんには生意気言っちゃうから。それで青山の寿司屋で何年かぶりに再会したとき、真司はんに「俺はいっつもお前に感謝してるから」って言われて、俺、なんか胸つまっちゃってさ・・・・・・。寿司屋のカウンターで2人で泣いてたよ。他の客は「なんだあいつら、気持ち悪い」みたいな感じだったけどさ(笑)。 「なんで俺だけ生き残ってるんだろう........

それで所属事務所倒産後、「将来の大物、中山一也です。入れてくれませんか?」って手紙を各事務所に送りつけるんですよね。

中山 当時の主だったところ...少なくとも20社以上は出しましたね。それで結局、オフィス・トゥ・ワンに入ったんですけど。

―そのとき、三船敏郎さんの主演ドラマのオーディションに行った話が大好きで。

中山 ああ、俺が放送禁止用語を叫んだってやつね。やっぱりリラックスしたかったから。みんな緊張してるし、とにかく気合ですよね。世界に通じる中山だから何かないかな、と思ったら、オマ●コだと(笑)。そしたら、「あいつだ!」ってことになって。

なんで受かるんだって話ですよね(笑)。

中山 ハハハハハ!そのときいた西村潔って監督は「あぶない刑事」とか撮ってたんだけど、俺のこと可愛がってくれて、しばらくしてから新橋でばったり会ったんですよ。そのとき2人ともハッキリ言って落ち目というか、俺は事件2つぐらいやってて、西村監督もお風呂覗いて撮って捕まっちゃってたから、「中山、お前は世間をいろいろと騒がせてるけど、俺も変な方で売れちゃった」って言ってたよ(笑)。

あ、その人も捕まったんですか!

中山 それで、お互いに親近感が湧いたというか、最後は「俺はまだ200本ぐらいるから。今の日本には、勝さんみたいな豪快な良い役者がいなくなったなー!」「監督!俺がいます。」「わかった!とりあえず300万貸してくれ」って言われてね(笑)。そのうち、西村監督は入水自殺しちゃったんですよ。俺の知り合いとしては、荻野目慶子君とのことで有名な河合義隆にしても自殺しちゃってるんでね。なんで周りはみんな死ぬのに、俺だけ生き残ってるんだろうなって......。

一番死にそうなことしてるのに(笑)。

中山 そうそう(笑)。不思議だよね。

-TBSのプロデューサーに「いつも家にいるときなにしてるの?」って聞かれて、「マスターベーションしてます」って素直に答えたっていうのはホントなんですか?

中山 うん。正直にね。俺、ニンニク食べると5回ぐらいできるんだよ。だから女が嫌がるよ、「なに考えてんだ!」って(笑)。

――プロデューサーが「いや、そういうんじゃなくって、なにかしてるでしょ」って言っても「いや、だからマスターベーションしてるんですよ!」って言い張るし(笑)。

中山 その人、ちょうど会社が潰れそうだったから「人生ってどういうもんだと思う?」ってことを聞きたかったんだろうね。そんなときにマスターベーションの話されてさ。結局、あの人は家帰ってマスターベーションしたんじゃないかと思って。「そうか、やっぱこれしかないな」みたいな(笑)。

黒澤明さんの「影武者」のオーディションに書類選考で落ちたときも、即行動に移して二次面接に乱入 してましたよね。

中山 ええ、「これは行かないと」と思って。5人ずつ呼ばれる部屋に入っていったら、審査員が「あれ、すいません、なんか1人多いみたいです」って。それで「書類選考で落とされた者なんですけど、どうも納得いかないんで、お話聞きたくて来ました」って言って、黒澤さんの机をバーンッと引っ叩いて、「あんた糞ったれだよ!」って言ってやったの。

あの黒澤天皇にそこまで言って(笑)。

中山 そういえば、松田優作との話もあるよ。彼が「ア・ホーマンス』を撮る前、俺に「会いたい」って来たんですよ。だけど俺、ツッパッてたから「なんか仕事でもくれるんだったら会ってやってもいいぞ」って。その後、松田さんの訃報を聞き、飯茶碗を持ったまま号泣したの覚えてるよ。もちろん心のなかでは会いたかったわけよ、吉田豪に素直に会いに来たように。でも、そういう意地がなきゃ男は糞ったれだよね。俺は絶対ネバー・ギブ・アップだから。相手が誰であろうとも。

自分の事務所を作ってからは、「オレたちひょうきん族」にも出てたんですよね。

中山 『ひょうきん族』では、もうちょっとで力也さんを刺すとこだったのよ(笑)。俺が中山プロを作って、マネージャーに「俺は将来の大物だから、そういう仕事を取って来い!」って言ったら、最初の仕事が『ひょうきん族』のエキストラだったからね。「なんで俺がこんな仕事せなあかんねん!」って言ったんだけどさ。将来の大物が着替える場所もねえのかって思ってたら、たけしさんが「こっちで着替えなよ」って言ってくれたの。そのとき、やっぱり大物は違うなって直感で思ったら、横で力也さんが酔っ払っててね。「脳みそあるのか、こいつ」「いつか一戦交えたいな」って(笑)。

相手は元キックボクサーですよ!

中山 それで撮影が終わって、力也さんが目の前にいたのね。「どうもお疲れ様でした、お先です」って言ったら「うあぁ~!」で、「なんだよ、耳聞こえねえのかよ」って。そのとき思ったの、いっぺん刺さなあかんなって(笑)。だか力也さんと再会するとき、ウチの女房に「力也さんが俺のこと忘れてたら、また新聞に載るからな。やっちゃうかもしれない」って言ってたの。でも、会ったら「おっ、あのとき現場で一緒だったよな」って(笑)。いまは仲良しで すけどね。

刺さないでよかったですねえ・・・・。

中山 あんなにいい人をね。だから「T(映画の脚本&監督も手掛けた原作者)にお礼言ってください」って(笑)。『ひょうきん族』の収録後、「真夜中のボクサー」って映画のリハーサルに行こうとしたら、マネージャーが血相変えて入ってきて、「主役を降ろされるかもしれない」って言うの。「俺もう1ヶ月トレーニングしてるのに、俺なんかした?」っで、俺はすぐ行動だから、じゃあナイフ買わなあかんなって。

ーダハハハハ!早すぎますねえ(笑)。

中山 世間はTとどっちがいけないと思うのか、勝負しようと思ってね。・・・でも、この話を詳しく載っけたらマズいよな(笑)。

ちなみに、そのTさんに対する思いっていうのは、もう収まってるんですか?

中山 いや、男だからケンカしたらその後は仲良しっていうか、お互いに非を認めて。いまは気の毒なことしたなと思ってますよ。和泉聖治監督と仕事してて、「中山、Tは俺のマブダチだから」「すいません、やっちゃって」みたいな。その後、糖尿病で具合悪いって聞いたから、生きてる間に機会があったら会いたいと思うね。俺、人を刺したことはあるけど、人を殺そうと思ったことは1度もないから。それほど憎い人間なんていないと思うし、ガキの頃は、オフクロにハエがかわいそうだから殺さないでくれ!!って泣いたらしいよ。信じてもらえないだろうけど

倉本聰宅前での割腹、松竹に自動車で突入

そして事件後は映画の主演も決まって。

中山 それが3人殺しの勝田清孝を描いた「冷血」って映画だったんだけど、もう覚えてないですね。今日はレイプする日、今日は殺す日って、それしかわかんなくて(笑)。

その後は、また仕事がなくてキツい時期が続いて、倉本聰さん宅での割腹自殺騒動に至るわけですけど、実は『北の国から』を見た感動を伝えたいのと、「俺も出たい」って言いたかっただけだったんですよね?

中山 嬉しいねえ、そうやって解釈してくれるのは吉田氏だけだよ!単なるキチガイだと思われてるからさ(笑)。ほら、人間って美しいものを見ると死にたくなることがあるよね。落ち込んだとき綺麗な夕日を見たりしたら、死んでしまいたくなるような感覚っていうの?俺はあのときは落ち込んでたってこともあるし。スピルバーグの前で「ジャパニーズ・ファッキン・ビッグアクター」って言って、腹を切る映画を作るって話を会見で発表したら、記者がホントに2人来ちゃってね。これはやらないと嘘つきになるでしょ?だけど映画の制作資金も集まらないわ、スポンサーからもらった2000万円は使っちゃうわでさ。

ああ、ポーカーゲームでしたっけ?

中山 そう、ポーカーゲームで2000万なくなっちゃうんだもん(笑)。最後に残ったのがセンチュリーって車で、しょうがないな、これは玉砕だな、と。なんでこんなことしてるかっていうと、俺みたいな役者を使わない日本の映画界が悪いってこじつけして。自分は犯罪者になればいいんだから、日本の映画界はもっとたくさん元気のある優れ俳優さんを育成しましょうっていうキャンペーンで、車で突っ込んだの。

-銀座松竹の正面玄関にですよね。

中山 安全第一でね。だって、「あの人、いい人ですよ、クラクション鳴らして私たちをどかしてた」って通行人に言われたんだから!それで、受付の2メートル前で車を止めて、売り子さんの所までズルズル行っちゃったら危ないからサイドブレーキ引いて、役者だから一応気絶した振りして。そしたらパトカーが来て、警官が車をガンガン叩くんだよね。「大事な車がグチャグチャになったらどうするんだ!」と思ってさ。

もう、とっくに壊れてますよ(笑)。

中山 もう前がグチャグチャなの忘れててさ(笑)。それで救急車で病院連れてかれて。脚気とかさ、目とかさ、いろいろ検査するんだよね。俺、そこまで芝居できないじゃん。「この人、瞳孔反応あります」って(笑)。

ああ、「気い失ってないです」と(笑)。

中山 脚気もカッてやるとパッてすごい反応しちゃって。「反応しまくってますよ」って(笑)。本人はメチャメチャ深刻なんだけどさ、こういうコメディー映画をいつかやりたいね。しょうがないからパッと目開けて起き上がったら、みんな「うわぁ~っ!」「この人、生きてます!」ってさ(笑)。

そういえば「120」のスーパーバイザーは元松竹の奥山和由さんでしたよね。

中山 前に、あの人拉致しようと思ったことがあってね(笑)。偶然五反田で会ったら、奥山さんが「こいつとは会い「たくない」みたいな顔してさ。それが今度「IZ0」でやはり天才で大物の武知先生が声をかけ、バッタリ会って、「俺は奥山さんと一緒に仕事できるっていうことは、ホント光栄で幸せなんですよ」って言ったら、「中山君、君はそんないい人だったか」って言われたよ(笑)。

刺されると思ってたんですかね(笑)。

中山 でも、絶対もうあり得ないのにね。俺は台所でも、子供に「刃物しまわなきゃ危ないでしょ!」って言うから(笑)。

刃物の扱いは気をつけろ、と(笑)。

中山 そうそう、ものすごい危ないもんなんだから(笑)。いまは安全第一だからね。

結構、気を使うタイプなんですよね。倉本聰宅に行ったときも、目の前で割腹したのかとばかり思ってたら、刃物を刺したまま挨拶してお土産の鮭を渡してるし(笑)。

中山 それも刺す前に、やっぱりやめよう、痛いよなと思って。刺してもなかなか刃が入ってかないのよ。それで思いっきりギュッてやったら、予定よりたくさん入っちゃって、「うわっ、死ぬ!」みたいな(笑)。

ーダハハハハ!自分で刺したのに(笑)。

中山 しかも、そのとき勃ちそうになっちゃってね。脳内麻薬が出るんだよ、ドーパミンとかがブワーッと。それでもうね、初めて女性のあそこに入れたときの感覚っていうか、やめられねえな、みたいな(笑)。

もうやめて下さいよ、切腹は(笑)。

中山 それで玄関に入って、鮭を包んでる新聞紙をパッと開いたら「作家・倉本聰さん」なんて記事が偶然載ってたから、2人で記事読みだしたりしてさ(笑)。そしたら「あ、君!なんか血が出てるぞ!」「すいません、ちょっとそこで切腹してきたもんで」「え?っ!」「先生、鮭どうぞ」って。 中山鮭を冷蔵庫に入れるか、俺を病院に連れてくか、どっちが先かでパニックになってたよ(笑)。それで病院に連 れてってもらってね。何年かして赤プリで偶然会って、「中山です、その節はご迷惑かけました」って挨拶したら驚いてたよ。「今度は首切るんじゃねえか?」って(笑)。でもね、俺は上の人間とか大物とかにしか向かっていかないから。普段は街でも喧嘩しないし、逆に、電車の中でケンカなんかあったら、一番最初に飛び込んでって、パコーンなんて入れられながらも、止めるのは俺だからね。

-「ケンカはよくない!」って(笑)。

中山 そう、暴力反対。痛いの嫌い(笑)。でも、いいことしたときは、なんで誰も俺のこと見てくんないのかなあ?電車で手がはさまっちゃった赤ん坊助けたり、子供がうるさくしてて、おっちゃんが「お前らうるさいんだよ、この野郎!」って言ったら、俺はブチ切れちゃって「子供にこの野郎なんて、お前こそコラーッ!」てやるしね。税務署でもやったな、こないだ。

えっ?怒鳴っちゃったんですか?

中山 税務署で大暴れしたよ。「俺は高校しか出てないんだ、バカ野郎!わかんねえから聞いてんだ!」ってさ。向こうは「レシート持って来てない」って言うわけ。いつも使う手なんだけどさ、収入少ないから(笑)。またそ悪いから、「てめえんとこで一番偉いの誰だ、この野郎!」「来年は税金1億持って来るからな!」って、

来年は大物になってドカンと払ってやる、と。でも三池さんとの出会いぐらいから流れがどんどん良くなってきてますよね。

すでに世界進出のプランあり!

中山 三池との話は面白すぎて、これはちょっとお金にしたいから、別のときに使うね(笑)。最初に三池と会ったとき、直感で「日本の映画界の次代を背負って立つ人だな」と思った。安藤昇先生に「すごい映画撮る人がいますよ」って言ったんですね。先生はいまだに信じてないみたいですけど。三池に会う度に「俺は将来の三船敏郎なんだけど、三池さんは黒澤明でしょ?2人とも将来の大物なんだからやりましょうよ」って言うんだけど、あいつは「ヤバいからやめよう」とかみんなで話してて(笑)。

―そんな人と20年振りの主演作を作って。

中山 もともと、俺がテンパってるらしいって武知先生が感じたんですよ。先生は俺の大恩人。ちょうどハンミちゃん一家の日本領事亡命事件のとき、俺は朝ウンコしててね。女房に「おい、これから俺、中国大使館行くぞ。こんなとこでクソしてる場合じゃねえんだよ、俺は」って言ったら、女房はまた始まったって感じで「はい、いってらっしゃい」って。

奥さんもすごいですねえ(笑)。

中山 そんなときに、吉田氏の記事が救ってくれたんですよ。友達に「俺、ちょっとヤバいよ、なんかしないともう一発かましそうだよ」って言ってたら、「お前のことを書いてる奇特な人がいるから」って送ってくれたのがあの記事で。ホントに感激しましたよ!いままでやってきてよかった、よし、これから頑張るぞって思った。

そして、「1Z0」の企画が始まって。

中山 最初、脚本読ませてもらって、「すごいですね、これ。チョイ役でいいから出してくださいよ。で、この以蔵、誰がやるんですか?」って聞いたら、武知先生が、「お前だ」って。

他他のキャストもかなり豪華ですけど。 あ、なるほど!

中山 たけしさんには俺が交渉したんですよ。俺は誰でも直接口説くから。みんなダメって言うけど、ダメなんてないんだって。相手は待ってるかもしれないんだから!

中山 女だってしたいと思ってるのに声かけないのは可哀想だから、それは行くのが礼儀。内田裕也さんには10例年前に会いに行ったけど、いまの俺じゃただのチンピラだからもうちょっと箔つけようって思って、それから修行というか悪名を上げてね。

それで今回、会える段階になって。

中山 大晦日のニューイヤー・ロック・フェスに乗り込んで、裕也さんとか力也さんとか、ジョーさんとか最強、最悪チアリーダー部隊が「一也、行け!」って(笑)。それで一応跪いてね、「たけしさん、覚えてもらってるかわかりませんけど、中山と申します。今度「IZO」っていう映画があるんですけど、お願いします!」って。で、力也さんがさっそく援護射撃で「一也、あのときお前がTをやっちゃったのは、たけちゃんが煽ったからだろ?」とか言って くれて、裕也さんも「自分と性格が似てる中山です」って。

それはかなりのプレッシャーですね(笑)。

中山 でも、たけしさんが出たことで、バジェット(制作費)の0が1~2個増えたからね。俺が直接口説いたのは、裕也さん、力也さん、ジョーさん、原田龍二。それで結局、他にもあり得ないキャストになって。既成の考えで行くと、そんなところに連絡すること自体、頭おかしいんだよ。でも、武知先生と一緒になって、「最初からダメなんて言っちゃダメなんだ。やっぱりトライしてみなきゃ」ってことでね。また過激なこと言うようですけど、いま日本の映画を作ろうとしてる人間のほとんどがバカなんですよ!特に金を出すやつらが!昔の永田さんみたいな真に大物がいない!

ダハハハハ!そうなんですか!

中山 ホントに。金玉が飾りでついてるっていうようなさ。だから、「こっちは違うぞ!飾りじゃないんだ、見てくれ!」と。

-「俺の金玉を見ろ!」と(笑)。ぜひ世界に金玉を見せつけてほしいですね(笑)。

中山 だから俺はアカデミーでも出たときに、座右の銘を聞かれたら「沈黙は金玉なり」って言うつもりなんだよ。それを俺の友達の彼女に言ったら、「それを本当に言ったら、もう付き合うのやめる」って言ってた(笑)。

既に世界進出のプランはあるんですね。

中山 もう見えてますね。この前ジャック・ニコルソンの自宅に行ってきたから。

えっ?なんですか、それ!

中山 でもジャック・ニコルソンが留守で、パッと隣見たらマーロン・ブランドの家だったからチャイム押して。それで「ジャック・ニコルソンさんいないんだけど、手紙置いといてもらえますか?」って頼んだら、いきなブツッと切れて。頭にきてもう1回チャイム押そうとしたら、一緒にいた友達が「カズ、ポリスが来る。逃げろ」って(笑)。

いまだに直接行動してるんですね(笑)。

中山 これからさらにですよ。だって、俺がもし金正日を狙うとしたらとか考えるからね。俺はただじゃ死なないと 思うよ!壮絶な死に方をしたいと思ってるんでね。

そんな思いが込められてたから「IZO」にはリアリティがあったんでしょうね。

中山 やっぱり、心に何かあるかないかで絶対違うから。周りの人は「これを言っちゃダメだ」「役者が政治的なことを言ったらコマーシャル入らない」とか言うけど、そんなこと言ってる場合じゃないんじゃないと思うんですよ。今日は「吉田さんに会ったらどうしようかな、こういう話はしないで済めばいいんだけど」って思ったけどさ。

ただ、一切触れないのも不自然だし。

中山 やっぱり、映画で人を斬ったりなんてリアリティーないのよ。だけど原田龍二を切ったとき、龍二の奥さんとか子供がどんなつらい思いするかなと思ったら、自分のいままでの人生がグワーッと来て、すごい叫び声が出たの。いままでの俺のなかの恨みつらみ?ドブさらいみたいな思いで生きてきた昔の時代とかが全部、龍二を切ったときに出てきたんだよね。自分でもビックリしたよ。ウンコで言うなら、こんなデカいウンコはないだろうっていうさ(笑)。

ダハハハハ!つまり、今回は絶対流れないぐらいのウンコが出せた、と(笑)。

中山 出ちゃったね。だから、「120」を観たらなんだかわかんないけど震えが来たとか、飯が食えなくなったとかってヤツがいたからよかったな、と。予定調和というかね、普通にまとまっちゃったらねえ......。俺が生きてきてたことはこれなんだから!うまいとかヘタとか、いいとか悪いとかじゃなくて、それを感じてもらいたいね。「IZO」はコッポラの作品『地獄の黙示録」に相当するものだよ!

すげえウンコだぜ、っていう(笑)。

中山 そうそう!俺はあれだけのウンコを出したんだから(笑)。下世話な話だけど、でも芸術ってそういうもんだと思うからね。芝居っていうのは、その人のすべてを、その人の人生をそこに溜めこむことなんだよ。

近道行ったらつまんねえから、遠回りのほうがいい

ホントにこの4年間、近道は通ってないですけど、それが絶対に活きてますよね。

中山 まあ、生きるっていうのはとってもカッコ悪いことで、俺は自分で問題を起こしてきて、子供ができて、女房 に怒られて、結婚っていうのは戦争なんだな、戦争が終わった後に平和がまたあるんだなって感じたし、人間としてカッコ悪い生き方をしてきたんですよ。でも、矢沢永吉さんが言ってるけど、近道行ったらつまんねえのしかできないんだから、遠回りしなきゃいけないって。遠回りしすぎちゃったけどね(笑)。

いや、でもまったく問題なしですよ!

中山 しかし、今日の出会いは梶原一騎さんと大山倍達さんの出会いにも等しいんじゃないかな?昨日も女房とか周りの人に、「吉田豪って日本一だし、これから世界に俺が出てくためには必要不可欠な・・・・・・梶原一騎さんと大山倍達みたいなもんだと俺は思ってる」って言ったんだけどさ。だから、俺は死ぬまで吉田氏とそちらは嫌でしょうけど。

刺されない限りは大丈夫ですよ(笑)。

中山 あ、そうですか(笑)。

中山 今回の取材の前に自転車乗って近くのセブンイレブン行って、この雑誌を読んだんですよ。そしたら、桑名正博さんが勝新太郎さんに渡されたお金の残りを枕元にそっと置いて帰ったら、「マサ、エンジェルが来てお金を置いてった」っていう話が出ててね。あれこそ男のロマンっていうか、吉田氏が一番嬉々とするところなんだろうなって思うから、いまはちょっと約束できないけど、必ず俺もそういう場面作るよ!

中山 ちょっと待ってて。俺も負けず嫌いだからさ。「いまデ・ニーロとニューヨークにいるんだけど、ちょっと来ない?取材してくんない?」って話になるかもしれないから。実はもう実現間近っていうか、この前奥山さんにちょっと詰め寄ったから、「じゃあ行ってこいよ、紹介状書く」って話が出てるんだよ。だから俺が言ったら必ずやるってこと知ってるから、奥山さんも「ヘタなこと言っちゃったな」って(笑)。武知先生にも「俺、約束したんだけど、奥山さんって約束守る人だよね?俺がどういうヤツかわかってるよね?」って。

いちいちプレッシャーかけて(笑)。

中山 そうそう(笑)。俺、夢は絶対実現してきたしね。今日はロングインタビューだっていうけど、これはハッキリ言って2時間3時間じゃ終わらないよ!あとはトゥー・ビー・コンティニューでね。......そういう時代がね、必ず来る。間違いない!


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