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「ボクの芝居、ひどかったでしょ?」といきなりいわれて困ってしまった。そもそも風俗ものって好きじゃないし、ドキュメントといっても所詮ドラマですし、と彼は続けるのだ。いったい何がそんなに気に入らなかったのかな。
「どこか一方通行になっちゃってて。計算しすぎちゃったんですよね。結局、自分の役割を妙に認識しちゃって、こうすれば女の子たちが持ち上がるんじゃないか、ということを考えてやった自分がアサハカだったなと(笑)。そこまでの技量は自分には全くなかった、ということにふと気づきまして。作品全体の中で、 こことここを押さえておけばいいんじゃないか、という非常に安直なプランで撮影にはいっちゃったもんで。お恥ずかしいんですけどね」
新宿歌舞伎町のファッション・マッサージへ2人の少女を誘い込み、そのひとりめぐみ(樹本由布子)の情夫となるチンピラ、浩二に扮する佐藤浩市。麻衣子(橘美奈子)を囲う社長役の梅宮辰夫と共に、シロウトの女の子に胸を貸さなければならないタイヘンな役どころだ。彼女たちとバランスを取るのはなかなかやっかいですよね。
「いや、相手が芝居できないっていっち ゃあそれまででピッチャーが完投して点で押さえたのに、味方が打ってくれないから負け通しだった、というのと同じことで、それをいっちゃいけないこと。それをいうなら『KIDS』も同じで、なんかこのごろそういうのが多いんですねえ(笑)」
「KIDS」は早見優主演のアイドル映画。彼は彼女が恋するチンピラ青年を演じている。こちらは9月14日公開予定。
「『ブレイクタウン物語』で失敗したから、『KIDS」はなんとか自分のことはできたんじゃないかと思うんだけど。両方とも監督さんが若いでしょ、どこかで依存されちゃうんですよ。そうすると自分のことと周りのことと全部やらなくちゃいけなくなって。役者個人としてやるには比重の大きい、想像を絶することを、ボクは騙ってやってしまった。同じあやまちをくり返したんじゃないかな、とかいろいろ気にかかってるんです。まあ、『KIDS』の場合は、サンミュージック(優の所属事務所)が怒るような映画にはできたんじゃないかな。それし 主題がなかったですから、この話を受 けるにあたって(笑)」
受けるときは気軽にOKしといて、あとで悩むというのがおかしい。
「でも、こういう重圧がある作品って燃えちゃうんですよね。アイドル映画というのは、作品の良し悪しにかかわらず、その人のプロモーションであればよし、なんです。要するに周りを全部ギセイにする映画なんですよね」
この世界にはいって5年。今年は25歳。一作ごとに重量感を増してきている彼の自負心がことばのはしばしに感じられる。「重量感?そうですかね。つまりヘンに老成しちゃうんですよね。オトナになっちゃいけない部分だけオトナになってるというか。だから半面、子供の部分はいっぱい残しているつもりなんですけどね、野球大会やったりして(笑)。ボク結構シャレとかおもしろいこというんですよ、現場で。仕事はつらく、現場は楽しくというのが信条ですから」
次回作としては大林宣彦監督作品、井筒和幸監督作品が控えている。井筒作品では、同い年の親友、真田広之との共演を実現させた。「道頓堀川」から3年目、待ちに待った2度目の共演だ。
「また、広之を食いちらかそうと思って(笑)。でも、あいつがやろうぜって乗ってきたのってスゴイ。きっと自信つけてきたんだな。『麻雀放浪記』とかやって、修業してきたな、と思う。友だちっていったってライバルですからね、今から燃えてますよ、お互いに」 <構成・内海陽子>