戻る
モーテルでのディナーの席にはジェイムズ、ローリー、スティーヴと彼のガールフレンドのリン、べヴァリー、ジェイ、そして後数人がいる。 映画会社内は年齢、髪の長さ、そしてとりわけそれぞれの持つ意識によって、分化が始まっている。 クルーの中で生真面目なメンバーは撮影のない夜はモーテルの部屋でテレビや映画を観るか、あるいは終わりのないポーカーに興じる。 その他のメンバーには、ジェイムズがいて、音楽があり、いつもの宇宙論ラップが交わされる。 この日のディナーのグループは、べヴァリーを除いて宇宙論のいわば中核だ。 話題はジェイムズのアップル時代の体験(彼にとってあまりいい思い出はない)からジョン・レノン、ボブ・ディランなど、スーパースターゆえの話題に及んだ。 ローリーの目が遠くで輝き、静かな微笑を浮かべている。「いつか有名になるの」。彼女の話の85%は冗談だ。 次の日も朝6時のコールでUTEステーションに向かう。広い草地にカメラがセットされる間、デニスは子供用のミニバイクで曲乗りに挑戦している。 「デニス・ウィルソン、セットへ!今すぐだ!」 「すぐ行く。」デニスはそう答えた。またトライする。失敗。「本当にこれで出来るのか?」 「うん、できるよ」と子供。しばらくするとデニスは諦め、撮影が開始される。しかし今度はジェイムズがいない。 ジェイムズはステーションのワゴンの尾板に座り、ギターを弾きながら新しい曲を作っているところだ。
ヘイミスター ジュークボックスの声は俺さ 俺がこの歌を歌ってるんだ ダイムを入れてくれる度、俺は泣く 悲しい歌を歌わせてくれよ もう一度
「フル・リハーサルを始めるぞ」 ウォルターが告げる、ジェイムズはギターを弾き続ける。「今すぐにだ!」 ウォルターが言い張るとジェイムズはうなずくが、さらにいくつかコーラスを弾きやっとギターを置く。 ジェイムズにインタビューをしたかったのだがうまくいかなかった。ここ何日かあれこれ喋っていたのだが、テープレコーダーが邪魔だった。 数分経ち、私は言った。「難しいな 何かヘヴィーなことでも言いたいなら別だけど、やめよう」 「ああ、言いたいことなんて考えつかない。」とジェイムズも私と同じように安心して言った。 「映画に必死になってるって以外は」。ジェイムズはにやりと笑った。「自分を大きくする体験だ」