ネタバレ注意












痛みのある虚構こと優作が死ぬのが
「太陽にほえろ」「竜馬暗殺」「腐食の構造」「蘇える金狼」「探偵物語」「死の断崖」


死なないけどヤバーイのが
「野獣死すべし」「断線」








「太陽にほえろ」

ジーパンとシンコ その愛と死



 



日本刑事ドラマ史上・・・というか日本ドラマ史上最も有名な殉職、死亡シーン。

若さゆえに共感し、若さゆえ無鉄砲に、若さゆえ敵を徹底的に懲らしめ
自分が身を呈して守った男に射殺される・・・そんな筋。


ショーケンよりもっとすごい、そしてもっと残酷な、若さゆえの死に方を果たした優作。



 


「なんじゃこりゃ!!」一番の演技どころは「会田」の姿を見送りつつ、
徐々に視線が下におり、ふと中腹に気がつくところ。


 



ジーパンのショッキングさは死に方、そのシチュエーションもさることながら
松田優作の悪役ばりの死に顔にあった。松田優作は凝ったメイクをしなければ結構キツい顔。


 

 



ともかく強烈な表情、正義のヒーローが顔をムチャクチャにして死ぬ。それはショッキング。
ジェームズ・ディーンも同じ感じ。素顔はキレイだが感情を爆発させるとブサイクになる。


 



それまた若さゆえと言える。






「竜馬暗殺」。自身がアニキと焦がれていた原田芳雄との初共演作であり
原田演じる竜馬の暗殺を目的にやってきた薩摩藩士の役。

 


自閉症みたいな感じで、あまり台詞はなく、でくの坊という感じ。
しかしわけの分からないところでブチギレ、それゆえ発狂するという難役。
化粧姿はなかなか美しく撮ってある。

 


最終的に竜馬を暗殺せず、何者かに暗殺される。
優作の死のシークエンスでは探偵物語に匹敵する静かな死に方。


 







1977年「腐食の構造」。結構知名度が低いが、かなりの力作。
森村誠一原作ということもあって出演したと思われる優作(同年に人間の証明)。

 


全7話中の4話目から登場。


話自体が「全日空機雫石衝突事故」をモチーフにしたもので
松田優作は、その自衛隊機に乗っていた元自衛隊員役。

まあなんやかんやあって最後の舞台へ。
一人だけ生存者がいるということで墜落現場を一ヶ月探し回っていた優作だったが
結局その生存者と言われる人は・・・と、ネタばらしがあって

結局自身の行動が全て無駄だったと分かった優作は、山頂、豪雨とあって
ついに発狂、幻覚を見、「俺は飛行機だ」と大ジャンプ、転落死する。

 


優作死のシークエンスという意味では最も強烈である、名芝居、ともかくやりすぎな感もあるものの
辛気臭い原作と本編が、彼のおかげで「跳ねた」し、なんか格が上がった。


 



「ありゃなんだ・・・来た!・・・オイ、来たぞ!オイ!・・・来たんだよ・・・オイ、ここだ!オイ!

来たんだよ!来たんだよ!


オイ ここだ! オイ! 来たんだよ! 


ここだ!オイ、ここだ!! 助けてくれ・・・オーイ!!ここだ!

来たぞ・・・オイ! 


どこ行くんだ? ここだよ!! どこに行くんだ! オイ!!!ここだ!


どこへ行くんだよ・・・



俺たちを置いてくのか!!?ええ!? 俺たちを置いていくのか!!!




・・・分かったぞ・・・分かったぞ・・・俺は飛行機だ・・・俺は飛行機だ・・・






テメエなんかぶつけてやる・・・テメエなんか殺してやる!!・・・アアーッ!!!!」


 






「蘇える金狼」。角川初の本格アクション大作の主演者に選ばれた優作が放つ最高のラスト。
勝ち上るために生まれた男が愛に死ぬ。金以外に何もなくなった男、虚無こと優作の名芝居。

 


飛行機機内、キャビンアテンダントに

「木星にはいつ着くんだ、ジュピターには何時に着くんだよ」

 


と真っ青な顔で語り、そのまま死んでいく。強烈であり、形式美である。

 







「探偵物語」。最終回のダウンタウンブルースではこれまでのコメディ調から一転
優作演じる工藤俊作の過去の葛藤や、その最期が描かれる、いわばシリアス全開に。

 


この町が好きだ・・・冒頭出てきた目つきの悪い店員に刺し殺される工藤。
冒頭、おつりが間違っていると工藤が言い、店員はそれをシカト。結局店長が出てきて店員を叱る。
彼はそれを根に持っていた。タチが悪すぎる・・・しかし工藤はそんな男をも許した。

 


「おい・・・忘れもんだよ、誰にも言わないから・・・これもって帰れ」


 


胸に突き刺されたナイフを投げ捨て、静かに死んでいく。
その後出てくる工藤は概念である。赤、怒り。青、中和。緑、許し。そしてジ・エンド。

雨のにおいが漂ってくる抜群のムードでしめくくった。


 







「死の断崖」。TVドラマ。今回の松田優作は屈折した高倉健である。
苦労し、耐えに耐え忍んだが結局破滅的な末路をたどる。

 


結婚していた女をはずみで殺してしまい、それを知った姉を監禁。
最後包丁を持った姉の突進を避けず、それを受け入れる。

 

「もうムリだよぉ」そう呟き、外に出て、雪の山道を歩き死亡する。

 







・・・





「野獣死すべし」。本人は死なないが、彼の持つ野獣が死んでしまった(ハズ)。

 


そうなると彼には何も残っていない。おそらく次起き上がったときには完全に狂っているか
廃人になっているのだろう。

 





「断線」。かつて一家心中に取り残された優作は、色んな女性と関係を持ち
一緒に死のうと計画を組むが、全てにおいて失敗、女性のみが死んだ。

 


終盤、一家心中が行われた場所で、ヒロインと一緒に死のうとするが
ヒロインが呼んだ警察を見つけ、包丁を置き、そのまま逮捕された。

 


最後、刑務所にいる優作の顔がズームされ映るが
もはや抜け殻、廃人である。最後まで死ねず、挙句裏切られた男、もう何もない。


 


 











 




松田優作はおもしろすぎる。








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