CGアニメコンテスト

1989年から開催されたプロ・アマチュア問わず参加できる「CGアニメコンテスト」の 第2回から19回までの傑作・名作を集めたベスト版DVDが出ていた。 それぞれの回ごとのまとまった物は通販限定、VHSで販売していたようだが現在全て廃盤。 このベスト版DVDは1990年(第2回)から98年(第10回)までをディスク1。 99年から2007年までをディスク2としている。ディスク1はVHSで出ていたベスト版の焼き直しというワケ。 そして今回紹介したいのは第2回から11回までである。つまり大半がディスク1であって そう、ディスク2はほとんど紹介しない。何故なら一気に汚くなるから。つまり雰囲気がなくなるというワケ。 既に2000年を越えるとCGは、ポリゴン剥き出しでなく、精巧な滑らかボディになってしまっていた。 いくつか光るものはあるが、やっぱり雰囲気第一ですよ、そこは愛したい。 実は第1回の作品は8ミリフィルムでの参加であった為、ほとんど残っておらず 内容はおろか作品数すらハッキリしない。 第2回からの収録となっているが、ハッキリいって1990年のアマチュアCGなんて ちょっとグラフィックを動かす程度かと思っていた。 それがまったく驚きましたね、しっかりCGアニメになっている。 第2回(1990年) 「デファイナブル・ファンクション」   既にここまで動かせる、魅せられるんですね。第1回の参加者の大多数が阪大や京大らしいので そういう予算、設備を使っての作業だからできたことなのかもしれませんな。 この作者である森山昇一は、この映像を独自のソフトを活用し仕上げたようなので モチ金持ちはあるでしょうが、それよりなにより個人の資質が大切というワケですな。 作者は、現在では国内CGアニメのトップクリエイターとして活躍中である。 実績にアニメ「ロストユニバース」CGシーンの担当など。     本作は当時としてもズバ抜けてクオリティの高い作品だったのだが入選止まり。 何故なら音声の状態が悪すぎて台詞が何言ってるのか分からないから。 姉が小さいモンスターに連れ去られ、妹がお供のモンスターと共に救出しに行くという筋。 モンスターは姉に「合体しよう」と言ってぶっとばされたりと コミカルな演出もイイ。ただ台詞が分かりにくいので・・・   バックのBGMなんかも全て自作。これをたった80日で仕上げたのは大した活躍と言うしかない。 この3年後に「スターフォックス」が発売されるが、映像的には五分だろう。SFCに匹敵する映像。   雰囲気抜群で、好きな世界観である。断絶した世界観が好きである。   次に優秀作品賞をとった「極上ロボ アジオージャ2」   8ミリでセルアニメとCGの合成を撮る、という極上の素材で そのCGの技術にしても「デファイナブル」を優に超える出来だったが 本編がパロディだらけだったため、VHS・DVD収録の際には10分を6分に短縮し しかもキャラクターの顔もモザイクがかけられ、パロディBGMも削除という 「何で収録したんじゃいな」と、怒りこみ上げる現在(いま)である。     昔は著作権気にしない内輪の集まりだったのが、現在では しっかりと権利を意識した伝統的コンテスト、と舞台が変わってしまったのでこの始末。     当時だけでなく現在でも画期的な作品であり、まったく惜しい。 雰囲気は味わえるが・・・生殺しである。これは本当に惜しい。どうせなら収録しないで・・・。   第3回(1991年) 常連の京大マイコンクラブの初期の傑作「CLOCK」。   ストーリーとかでなく、映像技術のプロモーションのような作品。 しかし91年とは思えない精密な映像がイイ雰囲気。これまでのどぎつい色あいでなく 殺風景な室内・・・というのがイイ。これまた断絶した雰囲気でよい。         続いてコンテスト初のグランプリをかっさらった「SWORD」   男がクリーチャーと戦っていくという、ゲームっぽい内容。 当時CGで人体を出し、指を動かす、という本格的な映像作品を作ったのはコレがはじめてである。 そんなパイオニアらしく男のモデルがかなり独特だが だからこその雰囲気。比較的暗い映像だからこその断絶感。     第3回、1991年にして64、PS1のクオリティを物にしたワケである。 ここからの技術の進歩、加速具合はまったく目覚しい。 第4回(1992年) 「猿蟹合戦」   CGと2Dで画像をグニャグニャ動かしたりするのが技術的な見所で それを音楽と合わせてリズミカルに流したもの。   いわばスタイリッシュなリズムがウケたというか、演出である。 当時からして突出した傑作であったとか。 特に猿が蟹をぶった切るシーンはとてつもない迫力。   稚拙な部分もトーゼン目に付くものの、VHS画質とあいまってムードは感じる。 「Epa2 ビデオマニュアル」   再び森山がパイオニア精神を見せ付けた作品。 自作のペイントソフトを音楽と合わせて演出づけ リズミカルに紹介・・・まあ「猿蟹合戦」と同じ感じなのだが 本作はソレだけで終わらず、森山の持つ色気とギャグを大いに盛り込み 本大会屈指の意欲作と言える作品にまで仕立てた。   まずペイントソフトの紹介、これは、言ってしまえば全く分からない。 それもそのはず、ともかくテンポメインに解説どーでもいいから。 最初10秒ぐらいあった解説時間が、どんどん1秒とか、まあ理解させる気はないのである。 最後は宇宙を飛ぶペイントと宇宙船、大爆発!みたいな。その勢いで特別賞受賞。   そして宇宙を飛んでいくペイントソフトに付随する色気。彼のエフェクトにある。 イナズマ型のエフェクトだが、これがかなり気持ちいい。爽快である。 動きとか、いわば超時空要塞マクロスの板野サーカスみたいな。 第2回と比べてかなりグラフィックも進歩し 着実にアマCG界はパワーアップしているのであった。 第5回(1993年) 「CHUN CHUN WORLD」   完全2Dの作品。昔のNHKを思わせる感じ。どうかんがえてもアナログ。 ただ素朴なムードである。佐野元という人が作った本作品はNHKに注目され 「チュンチュンワールド」としてCDになったとか。   こういうアナログ的ムードは大事である。     第6回(1994年) これまたメッセージ性の高い作品が多い。 「青年と缶詰」   猿蟹合戦と同じグループが制作した作品。ハッキリ言って全然分からない。 アルミが爆弾になり、町が消滅する。おそらく2DとCGの合成技術でウケたのだろう。   実際一人称画面は滑らかでキレイ。2DとCGの合成は「グループあに作人」がベスト。   解説には「第5回の同作者の作品を見てようやく分かる作品」・・・って、それを収録しなされやい。 「A.B.C.Day」   これは内容的に一位二位を争うぐらい好きである。 線画、棒人間が変わらない日々を過ごす。それを上手く見せる。 最後主役は電車から飛び降り、そして海を漂う。         死んだのか、それとも精神の表れなのか。ともかく音楽もよし 最後の海がカラーなのもイイ。これではアニメーション賞を受賞。 繰り返し飽きない傑作と言える。世界観が凄まじい。   第7回(1995年) 「DRIVIN WOMAN」   かなり有名な作品。内容はドライブをする女が コッチを見て微笑むという、ただそれだけの時間にして1分もない作品なのだが 当時ここまで精密な人間の表情を描いたものはなく それだけで入選。     何がイイって、とてもキュートな表情なのだ。 モチロン表情に全振りした結果だが・・・「SWORD」の頃と比べると もはやCG技術は月とすっぽん、まさしく日進月歩だろう。   音楽も青空も背景も爽やかで、これまた雰囲気がイイのだ。 作者の由水桂はこれでナムコに就職し、そのままに活躍しているとか。   「電神ギガダイン」   製作日数270日という超力作である。8分30秒をロボと一人の少女が戦う。 少女のモデルは上と比べて少々貧弱だが今でも見られる出来。     アマチュア声優も雰囲気が出ており、特にロボットの迫力・・・   ハッキリ言ってロボット物は全て似たり寄ったりなので感じるところはない。 ただムードはいい。この世紀末のムード、背景の町なみがいい。夜なのも。   女の子は・・・可愛くないね。   「LowRoso」   映像の感覚からすれば、これまた上位3位ぐらいに入る傑作。 このCGは一つの完成形だと思う。そして これまた 90年代NHKっぽいCG。   既にテレビのCG作品と遜色ないレベルにまでCG技術は上がっている。 延々流れる音楽も心地いい。   内容も素朴な感動・・・といった感じでバランスがよく、プロの出来といえる。 作品賞受賞。 第8回(1996年) 本ディスクには2本しか収録されていないが そのどちらも名作である。 「Little Girl & The Thief」     一番好きである。キャラクター賞を受賞した作品だが その素朴なキャラクター、温かいストーリー、そして 最も気持ちいい時期のCG、その完成形・・・というワケで、ともかく温かいのだ。                     山田哲作。全編12分、製作日数240日というかなり手の込んだ作品であるが もはやかつてのようなシンプルに技術だけ、内容だけ、でなく 技術が成熟したからこそ総合的なムード・・・だからこそ この時期のCGアニメーションから俄然作品の質は上がってくる。 ストーリー、間、演出、絵力。   本編に台詞は一切なく、演出の上手さで魅せてくれる。主役と女の子の造詣が最高である。延々みるべし!   「Sensitive Tone」   感心した作品。もう商業でも十分戦える。当然グランプリ受賞。 映像的にも演出も、キャラクターの感覚、アマ声優のマッチ、そして 音符で想いを伝えるという・・・その全体的な世界観の強烈さは、まさしく到達点といえる。 これが本コンテストの一つ、到達点であると・・・。   藤原仁志作。製作日数270日、5分の映像だが、同作者のギガダインが同日数8分と考えると より短い時間にパワーを注いだか、その意味と熱気が、作品を観るだけでようく分かる。   これまた自然美がイイ。実写じゃないけど・・・上のもそう。色合いが美しい。 ただコッチの方が時代感は濃いね。90年代後半だと・・・。気持ちいいです。   第9回(1997年) これまた傑作目白押しの9章。技術も成熟しきり素朴さはないが だからこそ余裕、そこからくるクールさが出てきたと言える。 「かめちゃん海を行く」   「猿蟹合戦」のCG版と言える。カワイイ亀がリズミカルに 若者的感覚で活劇する。BGMとシンクロする技法が 絶大な人気を誇ったというものの、あまり感じるところはない。     まあ、ビデオ画質とあいまって雰囲気はある。妙な勢いも。   「BREAK RUNNER」   ギャグ物で、暴走するサラリーマンにエネルギッシュなパワーを感じる。 ともかく押し押し押し、という感じで、ただ勢いだけで押すというムード。         ただ、それもCGの成熟あってのこと。日常の風景を描けるレベルにまで達したCGは その怒れるサラリーマンを中心に、まあ背景がちょっとおかしかったりするんだけど 中々青空とオッサンと作者のヤケクソボイスがハマっており、爽やかである。     「Dance Planet」   3人の黄色いモデルがダンスをするといった内容。 こういうBGMとあわせる内容は大体技術を誇示している。 滑らかに動き、アート系な人気を誇った。     ただ、滑らかに。 「ONEDAY SOMEGIRL」   洋画チックな内容にちょっとのお色気、そして演出のスタイリッシュさ。 主役の女のキャラクターも含めて、堂々のグランプリ。余裕で海外と勝負できる。   ともかくセンスなのだろう。映画に出来る作品。 上映会でも騒然となったとか。作者はこれがデビュー作だったとか。 本DVDには最初にベスト5というのがあって、それの第一位がこれだった。 凄まじいほどの完成度。それに色気。格好いいのだ。     雰囲気もグー。こういうCGは本当イイですね〜。 第10回(1998年) 「超獣ロボ リューセイバー」   ロボット物、そして絵力と、この要素だけで言えば本DVD中トップである。 セル画調のかっこかわいいキャラクターに綺麗すぎるCG。     これが一本の起承転結にまとまっており、ロボット物のパロディとしても 一本のドラマとしても十分楽しめる出来。   もう、これまたスゲーと唸るばかり。CG調のアニメーションってのも度肝抜かれる。 98年の映像だが、既に2005年ぐらいの映像美である。   アマ声優の演技もよく、爽やかに終わる。雰囲気はないが・・・単純におもしろい。   「デファイナブル・ファンクション」の頃とは比べ物にならない映像。 これでは準グランプリ。同年にグランプリはなし。しかし十分な出来。   ただ・・・もうこの辺りになるとアマチュア的ムードもなくなっており 悪い意味で小奇麗になってしまった感がある。最初の頃のパワフルな勢いはない。   「ロボットニュース」   これまたCGではないが 昔の「みんなのうた」のようでムードがある。     デジタルだが、その空気は限りなくアナログに近い。 第11回(1999年) 「ある暑い日に」佳作。   個人的には最後の雰囲気CGアニメと言える。 夏のようだが12月の話である。大学寮で生活する大学生の 5分間の何気ない動きを描写したもので、断絶したムードという意味では 理想的な作品といえる。ギリギリPS1ぐらいのグラフィックだからこその感覚。     夏でいいと思けど、90年代後半のノスタルジックを この5分間に閉じこめたという点では満点。 雰囲気抜群。 これ以降は今風になるのでノーセンキューね。
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